藝大DOOR 選択授業はくじびき

4月から参加している藝大のDiversity on the Arts Project (通称:DOOR)

「アート×福祉」をテーマに「多様な人々が共生できる社会」を支える人材を育成するプロジェクトです。 講師として、現代の社会に生きづらさを感じている当事者、社会と関わりを持ち表現を行うアーティスト、現代の福祉をより広い視点で捉え直す多様な分野の専門家を迎えます。アートと福祉が滲みあうフィールドをお互いの作用において拡張しながら、体系的かつユニークなカリキュラムを展開していきます。

というプロジェクトです。受講料を払って参加すると、講義だけでなく、プロジェクトに参加したり、図書館が使えたりという特典がある……という、地元に住んでいる人にはものすごくメリットがありそうなプロジェクトです。

と、前回書いたのですが、授業開始から一ヶ月たって、少しずつ詳細が見えてきたので、取り合えずのメモを。

すごく期待していた大学図書館の利用については、毎回申請を出して、許可証をいただいて持参すると、大学の図書館の中に入れてもらえる、貸し出しもしていただける、というものでした。遠方の方は、本を送付してもらうサービスもあるとのことです。
許可証をGW開けに発送しますという連絡がきたものの、その後動きはありません。もちろん、オンラインで文献を見ることもできません。大学の蔵書の検索をして、見たければ行ってみることができる、という程度。
あまり「活用」することは想定されていないんだろうなぁ、と思います。

昨年までDOORの社会人定員は50人でした。
これが、今年は倍に増えて100人。受講料も上がりました。

チラシには、必修科目のケア原論などの他に、藝大から歩いて一番近い都立美術館とのコラボのワークショップ(複数)や日比野教授の色彩論、フィルムメーキングのワークショップなどが受けられると書かれていました。
が、フタを開けてみると基本的に、全員受講の可能なオンラインの3教科以外は全てくじ引き。
受講料を払う前にくじ引きがあることがわかったので、
全然当たらなかったらどうなるんだろう
と質問したところ、基本的には一人一科目、なるべく公平にみんながとれるように采配する(それはくじ引きというのかという疑問はおいておいて)という返事でした。
が、実際にフタをあけてみたら、最初に結果の出た都立美術館とのコラボワークショップは、当たった人がたった二人。

受講生を50人から100人に拡大し、受講生がたった二人という授業も「こういう選択科目があります」の中にあり、その記述からは希望すればとれそうな印象を受けていたので、抽選結果であたった人が二人というのには目が点になりました。

受講生が100人いてさ、最初のくじびきであたった人は二人だけだった。
社会人の友人にそういうと、彼らの多くは「なんだ、そりゃ?」という反応なのですが、大学側にその話をすると、この科目の希望者は12人で、100人に2人ではなく、12人に2人だからそんなに競争率は高くない、という返事。

いや、くじ引き科目6科目のうち、そんなのばっかりだったら、16人しか選択科目とれないことになっちゃうでしょ?
と思うのだけれど、なんだか話がかみ合わない。
ちなみに、私があたった科目の受講生は12人。両方あわせて18人。
残り4科目で88人を振り分けたのかしらん?

どうもね、話を聞いていると、最初から全員が抽選の科目を希望することはないだろう、地方の人は来られないだろう、という前提に立っているのかなという印象が拭えません。
だとすると、くじびき科目をとらない人は受講料に差をつけるとか、最初から地方でオンライン受講のみ(ワークショップは東京だから通えないけど、オンライはぜひ受けたい)の人と、オフライン授業もあわせてとる人の2パターンで受講生を募るとかっていうのが筋では、と思うんだけど、どうなんだろう。あのチラシから、この状況を読み取れっていうのは、無理があるなぁと思います。

いや、せめて、人を集めるときに、選択科目は全員とれる科目はこれとこれ、それ以外は希望してもくじ引きがあるから、取れない可能性が高いといったことをちゃんと明示すべきでは?
少なくとも、受講科目、受講者数、くじ引きの有無くらい、出願段階で一覧表にしてだすべきだよな〜と思いました。(って文句いってるだけでは申し訳ないので、一応こういう表を事前に提示してくださいっていう表は作って大学に送りました)。

完全オンライン化一期生なので、大学側も混乱が生じているのかもしれません。が……なんとなく誇大広告的な印象がぬぐえないなぁ、というのが、一ヶ月たったところで感じるところです。


得意技は家事の手抜きと手抜きのためのへりくつ。重曹や酢を使った掃除やエコな生活術のブログやコラムを書いたり、翻訳をしたりの日々です。近刊は長年愛用している椿油の本「椿油のすごい力」(PHP)、「家事のしすぎが日本を滅ぼす」(光文社新書)