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オリンピック開幕男子バレーボールチームメダルへの道 準々決勝イタリア戦

すごい試合でした…多分私が今まで見たどの試合よりも。

そしてどの試合よりも応援した試合でした。

金メダルを取ると言ってみんなが望んだこのオリンピック。
きっとこれ以上のチームはかつてないとメンバーみんなが自負していたから、掲げられた目標だったのだと思います。 

それが、予選リーグで苦しみ、やっと掴んだベスト8。
石川キャプテンの調子が上がらないまま迎えたイタリア戦。

私は旅先の京都の旅館で見ることになりました。

スタートから日本は、よく動き自分たちのペースで試合を運んで行きました。
特に、心配していた石川選手が良い!!
攻撃もそうですが、心配していたサーブレシーブをはじめ、レシーブが素晴らしく、どんなボールも落とさないという気持ちの表れたプレーが見られて、これはいける‼️と思いました。

とにかくこの2日間、神社仏閣を訪れるたびに
「選手全てが、力を出し切れるように。チーム一丸となって戦えますように」
とお願いしました。
もちろんメダルを取れるようにと言う思いがあったのですが、それよりもみんながひとつになって楽しんで欲しいと言う思いの方が強かったです。

私は信仰心がすごくある訳ではありません。
でも自分にできるのはそれくらいだ、と思ってやり始めたのです。でも不思議なことにお参りしていくうちに落ち着くというか、心が静かになるというか。
そんな気分になってゆきました。

メンバーみんなのことを思いながらお参りしましたが、とにかく石川選手のことが心配だったので彼が落ち込まないで本来の力が発揮できるようにと言うことを一番にお願いしました。

その思いもあってスタートから調子が戻り、ギアが上がってきた石川選手を見て、
「やっぱりご利益あったかも」
と、気分よく応援を始めました。

最初から本来の日本のバレーができていました。
とにかく山本選手をはじめ、ディグが素晴らしい!!
そして繋いで打って、決まらなくてもリバウンドを取って、また繋ぐ。
最後に石川、西田、藍選手のスパイクが決まる。

こうなったら日本は強いです。
関田選手のトスワークもさえ、ミドルも決まる。
選手みんなが、ほんとに自分のやれることをやり、吠えてコートを走り、お互いの顔を見ながら戦っているのがよくわかりました。
楽しんでいるなあと。

私もうちわをたたき、声を張り上げて応援しました。
一応ここは、旅館だと言う意識はあったので少し抑えてはいましたが…

イタリアは、硬さが目立ち、レセプションも乱れることも多く、攻め切ることができませんでした。
競った展開が続きましたが、日本が2セット取り、あと1セットと取れば、無敗のイタリアに勝つのです。

思ってもみない展開でした。でもプレーを見る限り気力の面でもチーム一丸となって戦っている戦略の面でも日本の方が上回っていると思いました。

ああ、これは私たちの応援の力もきっと届いているのだと。現地の応援も圧倒的に日本が多かったです。
私も最初は、
イシカワ👏👏👏イシカワ👏👏👏
だったのが、
ユウキ〜
とかなりハイテンションの応援になってました。
楽しくて楽しくて!

そして3セット目、マッチポイントを迎えたとき、私は会場にいるみんなと一緒に立ち上がっていました。
ほんとに、勝てる!
勝てたら明日はお礼参りに行かなきゃ!
神様に頼んでよかった!
と。

そしてイタリアのジャネッリのサーブ。
でもその時、一緒に応援していた夫が、
「サーブミス、とかあるよね?」
と言ったので私は即答で
「いや、ジャネッリだからそれはない」
ときっぱり。
そうなんです。どこかでイタリアがこのまま終わるなんてあるのか?と思っていたのです。

私の予想は当たってしまいました。ジャネッリのサービスエース!
そして、追いつかれて逆転でそのセット取られてしまいました。

「そうだよね、このまま終わってしまう訳ないし、もっとこのすごいプレーを、みんなの笑顔を見ていたいと思うもの」
と気持ちを切り替えて引き続き応援だ!と気合いを入れ直しました。

そして4セット目は、高橋藍選手が活躍。レシーブだけでなくアタックでも当たりはじめました。
「そうだよ、藍ちゃんの活躍は欠かせない。このために彼は一人でイタリアで頑張ったのだから。」
と多いに期待。

彼は初戦こそ硬かったですが、とにかくレセプションが素晴らしく、エースを取られても不思議ではないサーブも、跳びこんてあげ、それを関田選手にきっちり返す。
山本選手と一緒に日本のバレーをするには彼がどれだけ必要か。
この日もほんとに彼の良さが発揮されていて崩れない日本を支えていたと思います。そして攻撃でも得点が増え、最後に託される選手になりたいと言っていたアタックでも得点が増えてきて、
「よし!よし!」とまるで監督のような私になっていました。

でもその頃からイタリアが徐々にボールを落とさなくなり、センターの攻撃も増やして形勢が逆になってきていました。

私も途中から胃が痛くなり始めました。試合を見て胃が痛くなったのは初めてです。
「これは、やばい!私最後まで持つか?」
と言う思いと、
「いや、選手たちはもっときついだろうからとにかく頑張らないと」
と言う思いの中、4セット目もジュースの末に取られてしまいました。

5セット目。
このセットで勝負が決まる。

どちらも譲らない展開が続きます。
健太郎選手に代わって小野寺選手が入りポイントを取ります。
石川選手も必死に吠えている。
深津選手がリリーフサーバーに入り守備を固める。
ベンチも取れる策はみんな取っていると思いました。
ポイントをリードされるたびに、コーチの伊藤さんがブランにデータを知らせる。
ほんとにみんなで戦っていました。
イタリアのミケレットがブロックしたあと、腕を回すポーズが見られて余裕さえ感じました。

この頃から私の頭の中にも、
「ひょっとして負ける?」
と言う思いが出て
「いや、そんなことは考えてはいけない。それより、私にできるのは応援することだったでしょ!」
と、声が届く訳でもないのに声を上げて。
その一方で、
「もし、負けても、こんなすごい試合が見れたこと、選手たちが楽しんで力を出し切ってバレーボールをしている姿を見れたことがすごい!!」
と自分を納得させようとしていたたというか、自分が辛くならないように予防線を張っていたと思います。

そしてマッチポイントを日本が取って。
「お願い、あと1点!」
でも日本のミスで追いつかれてしまい、最後の1点が決まらない。

石川選手のスパイクがブロックされでしまい相手にマッチポイント。
そして最後ボールが日本のコートに落ち…
ゲームセットの笛が鳴ってしまいました。

最後どうやって決まったのかよくわかっていません。
とにかく最初に思ったのは、
「終わった」
でした。
そしてそのあと予防線を張っていたのと同じく
「勝負だからしょうがない。すごい試合だった。チームで戦ったし、私の願いはとにかくみんなが自分の力を出しきって戦って欲しいと言うことだったのだから、その願いは叶った。」となんとか自分の気持ちを整理しようとしていたと思います。

でもなんだかよくわからなくて。

涙は出ませんでした。
悔しいと言う言葉も出ません。
いや、「疲れた」が大きくて何も考えられない感じだったと思います。
胃が痛いのは、不思議なことに収まっていました。

選手のみんなにはとにかく
「お疲れ様でした。」
としかそのときは声がかけられませんでした。

友達から、メールが色々届いてきました。

“ほんとに悔しかったです😭”

“惜しかったけれどとても感動しました。”

“次のオリンピックに向けてこれからも応援頑張ります。”
など。

その中で東京オリンピックのあとからこの3年間ずっと一緒に応援してきた友達から、

「空っぽ…」
とメールが届きました。

ああ、そうだね。そうだ。「空っぽ」だよ
と思いました。それが一番近い言葉だと。

そんなことをメールしている間に画面では、ブラン監督の胴上げがあって、

ああ、このチームはこれで終わってしまうんだ。
ブランはもう監督ではなくなってしまうんだ。

と思ったら涙が出てきました。

寂しいね

と友達にメールを送ったら

寂しい…

と。そうです。
とにかくこのときの涙は寂しいの涙です。そして
“ブラン、ありがとう”
と。

ブランがインタビューをしているとき、いつも通訳をしてくれているスタッフが、途中言葉に詰まり涙ぐんでいました。

「これからは、日本の一番のファンになる」

選手だけでなくスタッフにも愛された監督でした。

中垣内前監督が連れてきたブラン。
7年間チームを育て、日本人より日本人らしくて。涙脆くてすぐ泣いちゃうし、石川キャプテンには怒られることもあるし、西田選手がほんとにつらくて大変なときでも諦めず使い続け、こんなに活躍するまでにして。
ほんとに素敵な監督でした。

「このチームを誇りに思う」

そう言ってもらって、ほんとに嬉しい。
これが勝って言ってもらえたならば最高だったのですが。

こんな素敵なチームを作ってくれてありがとうブラン!!


「終わった。
そして寂しい。」
この日の感情はそれに尽きるのかなと思います。

まだ、選手たち一人一人の感情を感じる余裕はこの日はなくて。

しばらくは、この試合を振り替えられないなと思いました。

そして、
「白峯神宮にはとにかくもう一度行こう。お礼参りをしなくちゃ。」
と思い、そうしたら少し落ち着いて寝ることができました。

うーん、まだ次に続きます。
もう少し感情を言葉にしたいと思います。

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