見出し画像

作る前にこれだけは知っておきたい音楽理論3項目

「音楽理論を身につけるべきか?」という話題は作曲するひとたちにとって永遠のテーマともいえそうですが、個人的には、作りたい欲求が強いなら理論の勉強に時間を割くよりも作ることを優先していいと考えています。

作ることを通して学べるものがあるし、先に経験を積んでから理論を身につけた方が知識を定着させやすいのも事実です。

特に始めたばかりの段階で「勉強勉強…」となると堅苦しくて楽しめない可能性も高いため、体を動かして作る経験を積む方が満足感を高める意味でも、また上達を考えるうえでも大切だと思います。

そしてこれを前提としつつ、実際のところこの「理論よりも作ることを優先すべき」という点にごくわずかな例外も存在していて、つまりは「作ることよりも先に身につけた方がいい理論的知識がある」ということですが、こちらでそのあたりを書いてみます。

※当記事はこちらのポッドキャストの内容を編集/再構成したものです。


最低限これだけは学んでおくべき

上記で述べたとおり、私の持論は「理論よりも作ることを優先すべき」で間違いないですが、一部の例外として「最低限の理論としてこれだけは学んでおくべき」という事柄が存在しています。

これは、私自身の経験と様々な人を見てきた経験から得られた考えで、特に初心者に対して「このあたりの理論を最低限覚えておくと、圧倒的に作曲が楽になる」と明言できます。そのような意味から、「学んでおくべき≒学ばなきゃいけない」というより、どちらかといえば

「学ばずに苦労する人が多いから学ぶとそれを回避できる」

というニュアンスに近いといえます。

その「作曲初心者がこれだけは学んでおくべき理論的知識」として挙げられるのは、

  1. メジャースケール

  2. キー

  3. ダイアトニックコード

の三点です。

それぞれについて簡単に触れておきます。

1. メジャースケール

「メジャースケール」は、音の選び方や並び方(構造)を意味する概念です。

音の種類は全12種類で、それらは等しい価値を持ち等間隔に並んでいるような状態にあるため、やみくもに音を扱うとぐちゃぐちゃなものが出来上がってしまいます。

そのため、まとまった雰囲気を生み出すことを目的としてその中から「メジャースケール」という構造に従って音が選ばれます。

これは簡単にいえば「ドレミファソラシの構造」に相当するものですが、その点が理解できていれば、12種類の中から音を選んでいろいろなメジャースケールを構築することができます。

▼関連ページ

2. キー

上記で述べた「メジャースケール」は、中心に据える音によって12パターンに細分化されますが、その12種類のメジャースケールのうちどれを使うかを定義するのが「キー」の概念です。

ポップス・ロックの曲はほぼ全てがこの「キー」のルールによって成り立っており、音がやみくもに扱われることはなく、「キー=それを成り立たせるスケールの音」を主に使いながら、まとまった雰囲気を維持するようにメロディやコードなどが組み立てられます。

▼関連ページ

3. ダイアトニックコード

キーの音使いをコードに置き換えたものが「ダイアトニックコード」です。

ポップス・ロックの曲がキーの概念によって成り立っているのは既に述べたとおりですが、その「キーの音」をいくつか重ね合わせることで和音=コードを生み出すことができます。

コードの展開にこの「ダイアトニックコード」を扱うことで、ハーモニーにおいてもキーのまとまりを維持することができます。

▼関連ページ

作曲が楽になる

上記三点が理解できると、キーに基づいた音使いを意図的に行えるようになります。

特に作曲初期の段階でも「どのような音を使うか」は重要な観点となり、その知識が無いと、やはり曲はぐちゃぐちゃなものになってしまいます。

まず根本的なメジャースケールの構造とキーのルールを知り、そのうえで

  • メロディはそのキーのメジャースケールの音を主に使って作る

  • コードの展開はそのキーのダイアトニックコードを主に使って作る

という基本的なルールだけでも覚えておくと、作曲をはるかにスムーズに進めていくことができます。

【メモ】私が作曲を始めたばかりの頃はこれらの基本的な知識が不足していたためどの音を使えばいいかがわからず、曲が不自然なものになることも多かったです。特にコードは無数の選択肢を片っ端から試すように選んでいたため、メロディに合うコードを探すのにとても時間がかかりました。

曲作りで扱う素材を知る行為

ご紹介した三点の知識を身につけることは、曲作りにおいて扱う「素材」を知る行為ともいえます。曲作りを円滑に進めるためには最低限素材の成り立ちや種類を知っておくべきで、それらの効果的な扱い方については、実際の曲作りを通して理解を深めていくことができます。

特に未経験者や、少し作曲を始めていて勉強が必要か迷っている場合にはここまでに述べた三点だけは最初に覚え、そこから曲作りに取りかかることをおすすめします。

知識の土台になる

ここで挙げている三点の知識は超基礎の理論であり、その後に位置するさまざまな理論的概念の土台になるものだといえます。

つまり、これらの知識がそれ以降にあるハイレベルな理論を理解するための前提条件のようなものとなり、言い換えればこれらを理解していないと、それ以降の理論に深入りすることが難しくなります。

そのため、今後知識をより深めていくことを考えるうえでもこれらを理解しておくことはとても意味があります。

【メモ】これは、数学で言うところの「足し算や引き算がわかっていないと高度な問題が理解できない」というような状態に近いものです。

ここで紹介している

  1. メジャースケール

  2. キー

  3. ダイアトニックコード

の三つの知識は、作曲初期の負担を軽減するためにとても役立つはずです。

特に、こうした超基礎的な情報はインターネット上で幅広く扱われているため、少し調べるだけで簡単に入手できるはずです。

ざっくりと理解するだけでも十分ですが、余裕があれば深いところまでの理解を目指し、積極的に活用してみてほしいです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?