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最近の曲の長さが短くなっている問題(みなさんの考察まとめ)

以前、SNSに、

「最近の曲の長さがどんどん短くなっている」

というような投稿をして、そこにみなさんからいろいろな意見をいただけたので、こちらでそのみなさんの「考察」をまとめてみます。

※当記事はこちらのポッドキャストの内容を編集/再構成したものです。


私の投稿詳細

まず、私がした投稿の詳細は以下のようなものです。

  • 最近の売れている曲の多くは、長さが短い。3分台の曲は当然のごとくある。曲の長さが4分を超えるともう長い曲の部類に入る。3分台前半(2分台になるくらい)の短い曲もよく見かける。

  • 【私の考察】現代は娯楽が多くて音楽にあてる時間がどんどん短くなっている。だからおのずと曲の長さも短いものが好まれている?(昔は娯楽がなかったから長い曲が多かった?)。

実際のところ、例えばサブスク音楽サービスの「(邦楽の)Top50」のようなプレイリストを見ると、そのほとんどを占めているのが3分台の曲で、2分台もちらほら。反対に、5分を超える曲を見つけるのは難しいくらいです。

一方で、例えば「ミスチル世代」の私として当時の彼らのヒット曲を例として挙げると、

  • 「Tomorrow never knows」=5分08秒

  • 「innocent world」=5分45秒

  • 「名もなき詩」=5分28秒

  • 「HANABI」=5分42秒

  • 「終わりなき旅」=7分04秒(!)

のようになっていてすべて5分を超えているため、「最近の曲の長さが短くなってきている」という状況はリアルなデータからもわかります。

みなさんの考察

上記の投稿に対してみなさんからいただいたいろいろな考察を、以下で整理してみます。

1. 印税のシステムによる影響

まずひとつめとしてあったのが、「印税のシステム」を前提とした考察です。

これによると、

昔の曲が長かったのは、その当時の印税が「5分」を超えると2曲分としてカウントされて、印税がより多くなる(倍になる?)システムになっていて、それを前提として、より多くの印税を得るために意図的に曲を5分以上にしていたのではないか

とのことでしたが、これは確かなんらかの記事で読んだとか、どこかのプロミューシャンがそんなことを言っていたとか、わりと信憑性の高い考察だと感じました。

2. 「サブスクでの視聴」が主流だから

ふたつめにあったのが、最近の音楽の視聴環境が「サブスク」になってきていることから、「1再生=〇〇円」という収益構造上、再生回数を稼ぐために1曲をあえて短くしているのではないか、という考察でした。

またこれに関連して、曲を短くして、そこに情報を山ほど詰め込んで 1度聴いただけでは処理できないような聴きどころ満載の盛りだくさんな曲にすることで、「もう1回聴きたい」という、聴き手のリピートの中毒性みたいなところを狙っているのではないか、というような意見もありました。

3. 結局のところ3分程度がポピュラー音楽に最も適している

また、これまでのポピュラー音楽の歴史を踏まえた他の考察として、

70年代・80年代の曲はそもそも短かった→それが90年代・00年代で長くなっった→現在また短くなっている、という状態を踏まえると、結局のところ3分程度がポップス・ロックの曲を過不足なく聴かせるベストの長さだからではないか

という意見もありました。つまり、

「原点回帰」のような状態として、曲の長さがあるべき姿に戻ったのが現在の状況なのではないか

という説です。こちらも個人的に確かにそうかもと思えました。

4. 購買層の低年齢化によるもの

他には、

ヒットチャートの購買層がさらに低年齢化している→若者は元来短い音楽を好む、だからヒット曲の長さがおのずと短くなっている

という考察もあり、こちらも確かにヒットチャートのラインナップにはより低年齢層向けのものが増えているような気もします。

他の意見

また「曲が短い」の理由ではなく、そこに同調するようなものとして、

  • 10代向けのヒップホップのイベントなどでは2分ぐらいの曲がすごく多い

  • 世界的に曲のイントロが短くなっていて、ギターソロが消滅して、サビから始まる曲が増えている

というような意見も寄せられて、特に後者については、確かにイントロが無い曲が増えていて、ギターソロなども最近の曲では本当に見かけないと感じます。

いわゆる仰々しい壮大な間奏のようなものは絶滅しつつあるし、そのあたりについては「SNS前提で曲制作をしているからなのでは?」というような意見もいただけました。

テーマから結構ずれるビートルズファンの感想

また「最近の曲が短い」というテーマからは結構ずれますが、個人的に「そのとおり!」と感じたのが、

「ビートルズの曲は3分を切っているものが多いけど、全く短さを感じない」

という意見で、そもそもビートルズが活躍していたのが1960年代で、その頃はまた曲の長さが3分台や2分台になっているケースが当然のごとくある時代でどの曲もすごく短い印象を受けますが、それでも特にビートルズの曲からは短さが感じられず、聴き手として満足できます。

だからやっぱり改めてビートルズすごいなと感じたわけですが、これは既に述べましたが「最近の曲が短い」とは全然関係ない、ただのビートルズファン(=私)的な視点ですね。

長い曲も好き派

また、他にも、

短い曲に馴染みがあるのは確か、でも長い曲もまた聴きたくなる時がある

という意見もいただけていて、

つまり、

「短い曲」の確固たる位置づけが現在固まっていて、一方で昔ながらの「長い曲」を好む層もいる、さらには日頃「短い曲」を聴くひとも「長い曲」を聴きたくなる局面があり、その両方が混在して、「短い曲」「長い曲」の両方の良さがみんなに認められている時代(=現代)

というようなことなのかなと解釈しましたが、私個人としても、短い曲だけではなく長い曲も同じくみんなに求められて、両方がまんべんなくヒットチャートに入ってくるような状況になったらいいなと思っています。

こんなかたちで、みなさんがこの「最近の曲が短くなっている」という点に対していろんな思いを持っていて、いろいろな考察があり、このひとつのテーマですごく楽しめました。

それとともに、私は普段作曲を教える立場にあるので、この「最近の曲が短くなっている」という状況を踏まえると、自分の中にあったこれまでの常識を変えなければいけないと感じています。

すなわち、これまでのレッスンでは

「曲は4分台程度にまとめられると望ましい=聴き手にとって聴きやすい曲になる」

というようなことを伝えていましたが、現状を踏まえると

「曲はなるべく3分台にまとめましょう=最近は4分台に入ると『長い曲』だと感じられやすい」

という伝え方にすべきかも?ということです。

さらには、上記で述べていた「イントロが無い曲も多い」という点を踏まえると、

「イントロをどう作ればいいか?」

という観点も、

「そもそもイントロを作るのか/イントロを無くすのか」

という議論から始めるのが標準になってきそうです。

ここで述べているような内容は曲分析に近いものだと感じますが、ぜひ同じ観点から、サブスク音楽サービスなどでヒット曲の長さを分析してみて欲しいです。

3分台の曲が多くを占めていて、2分台の曲も当然のようにたくさん見つけられて、特に90年代~00年代の曲の長さに慣れている世代としては、その「最近の曲が短くなっている傾向」に驚くはずです。

(終)


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