2021年に読んで印象的だった本を薦めてみる
今年はたくさん本を読もうと昨年思い立ち、月に5冊の読書を決意。カウントに間違いがなければ、無事達成した年。わーい。
たくさん本を読むことで得られるものや自身の変化はとても感じていて、幸福度は結構高いのが印象的。おそらく、本を読むことで知的好奇心が満たされることと、新たな知的好奇心が複数生まれるこの連鎖が良いのだと思う。
そのおかげで、1冊本を読むごとに複利のように積読は増えているので、来年も多くの本を読むことになると予想できる。
もちろん、読んでいてつまらなさに途中で投げ出す本もあれば、もっと早く読みたかったと感じる本もある。今回は特に、様々な理由で印象に残った本を紹介する。
ハードスキル編
ハードスキル編からは2つ紹介。無意識だが、多分今年読んだ本の半分以上はハードスキル系の本が多い。これは、データの利活用や事業マネジメントに課題やらレベルアップの必要性を感じていたことと、好奇心がわかりやすく向いていたからだと思う。この辺りも自身の変化の一つなのかなと。
1. 効果検証入門
データサイエンス界隈で良書と話題になった『効果検証入門』
あまりに良書でかつ興味関心が強い分野だったのでかなり印象的。
効果検証≒因果推論の基礎が事例をもとに実践的に解説されている。特に、「単純に比較すると間違った結論に導くデータ」から、より正しい結果を導くための分析手法と考え方が丁寧に解説されているのが良かった。
マーケティングやPM、企画職、etc...のように、データサイエンスやデータ分析を専門職としてはいないが、原因と結果を適切に認知することで、施策や意思決定の質を高めていきたいという方にもぜひ薦めたい一冊。
2. 最高の結果を出すKPIマネジメント
もっと早く出会いたかったと強く感じさせられた一冊。
約11年間にわたってリクルートグループの社内勉強会において「KPI」「数字の読み方」の講師を担当した中尾隆一郎氏のノウハウ本であり、これを読めばKGI/CSF/KPIがなんたるかがおよそ理解できると言って良い。
図解とか業態に合わせたKPI設定の事例とかとにかくわかりやすい。
自分の組織で運用されるKPIと比較してみたりするとすごく面白いと思う。
メタスキル編
昨年よく読んでいたのはメタスキル系の本だと思う。そんなに数読んでないけど。ロバート・キーガンの『なぜ人と組織は変われないのか』『なぜ弱さを見せあえる組織が強いのか』などの成人発達理論の本とかよく読んでた。
この辺のトピックって参考文献やら論文やらが盛りだくさんでのめり込んじゃうのが特徴。もはやある種の娯楽になりつつあるけど、日常や仕事にうまく活かせないかなーと思考するのが大事だよとよく自分に言い聞かせている。
3. ファスト&スロー(上下)
色んな所で薦められているのでせっかくなのでと手にとってみた名著。
正直、だらだら書きすぎていて長いし読みづらい。一貫して伝えたいこととしては、人の思考のシステムは、「システム1:直感(ファストな思考)」と「システム2:論理的思考(スローな思考)」の2種類で考えられるとし、自身の思考について認知することで、うまくセルフコントロールしましょう、意思決定できるようにしましょうねということ。
印象に残った背景は、今年に入って心理学の再現性の危機についての言及が話題になったこと。(心理学は信頼できるのか? 再現性の問題【心理学】)
本書で紹介される心理学的実験には、すでに再現性の危機について言及される実験結果が多く引用されており、それをもとに論じられる内容が多かった。
周辺知識を集めつつ、情報をクリティカルに咀嚼、解釈しながら、自身の経験や思考、意思決定を一般化してそれらに落とし込む作業は結構楽しくて印象的だった。
4. 失敗の本質
これも名著の積読リストからとりあえず手にとったものの一つ。
結論、すごく良かった。というより好き。歴史に関しては恥ずかしながらほとんど無頓着だったが、これをきっかけに歴史ジャンルの積読が増えた。
太平洋戦争(大東亜戦争)を振り返り、各戦況にて日本が犯したあらゆる失敗の多くは、一般化すると組織特性や戦略の欠陥が大きな要因となっているとし、今日の日本の様々な組織にも、それらが悪い意味で継承されていることによる課題等を論じている。つまり、過去の失敗からどう学び、現在の課題にどう活かすかというある種の実践である。
漫画『キングダム』も好きでたまに読むのだが、似たジャンルの面白さを感じた。それは史実からの学びという共通点というより、目的論的生き方への共感だと思う。
個人の経済的、時間的自由や組織のあるべき姿など、目的/理想は少し離れたところにある中で、社会人として生きねばならない状況でとりあえず走り続けなければという人が大半のはず。
今一度、目的に対して適切な戦略であるか、戦略を戦術や現場の工夫に依存させた構造になっていないかを見直すきっかけとしてや、オリンピックやみずほの不祥事、政治のもろもろなどの時事ネタと重ねて見るのもまた面白い。
娯楽編
仕事などに直接関係はないが、何かをきっかけに興味が向いたりした時に読むのが娯楽編にあたる本。ジャンルは結構バラバラで、日に日に広く浅くなっていっているのを感じている。なんだかんだ遠回りして仕事に役に立つことも多い。
5. ハイデガー『存在と時間』入門
昨年、父親に『哲学的思考 フッサール現象学の核心』を薦められてから、余裕がある時に哲学系の本を手にとるようになった。中でも印象的なのがこちら。
正直、内容は難しく、適切に理解できているかと言われるとかなり自信がない。ただでさえ哲学系の本は読解が難しいのに、ハイデガーの『存在と時間』は特に難解と言われる。
ただ、このよう難解な概念に触れた後、他の文章や会話に触れると不思議と頭が良くなった気分になれるのが少し心地よい。ベンチプレスのあとにスマホいじると異様に軽く感じるのとすごく似ている。本書に関しては、もともとフッサールの現象学に触れていたのも良かったかもしれない。
なんかそういう体験したいとか、難しい本を読みたい方などにはおすすめできるし、内容としても十分面白い。
ハイデガーの「存在への問い」は、「現存在(人間)」本来の在り方、「生」の本質について迫る問いであり、『存在と時間』が未完に終わったが故に「存在の意味」が解明されていないことにより、思索は常に変化し続けている、多様であることと、「生」に関するテーマであることが面白さのミソ(だと思う)。最近ではコロナとかもあって特に興味関心は持ちやすく、色んな示唆が得られるはず。日本人は宗教文化も薄いので。
6. イスラエルとユダヤ人 考察ノート
昨年とある記事をたまたま目にしたことで、色んな本や記事を漁るようになったことがイスラエルへの興味のきっかけ。まず読んだ『タルピオット イスラエル式エリート養成プログラム』もすごくわかりやすくて面白かったのでおすすめ。
イスラエルの面白さは大きく3つ。
・過去・現在・未来が混在している
・第2のシリコンバレーと言われるほどスタートアップが盛んでIT技術力が高い
・国を上げたエリート育成の文化と仕組み
もともとのイメージでは、戦争、砂漠、中東くらいのイメージしかなかったが、すべてのイメージを覆された。やっぱりこっちもおすすめするので興味あったら読んでほしい。
この本を手にとったのは、イスラエルのエコシステムの側はなんとなく理解できたが、積み重ねられてきた歴史的背景、文化について理解を深めたかったから。
冒頭、『サピエンス全史』で知られるハラリ氏の『ホモ・デウス』が引用されているのだが、上述の前置きに多少興味を持ち、『サピエンス全史』や『失敗の本質』を面白く読めた方はおそらく同様に楽しく読めると思う。
7. ロスト・ラッド・ロンドン(全3巻完結)
ジャケ買いした漫画。とりあえず絵と話と間が良い。
ああ、時間がない、もう2022年になってしまう、、、
とりあえず読んでみてほしい、間違いないので。
みなさんのおすすめ本あればぜひ教えて下さい!
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