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ついに年貢の納め時!と思ったら…

今月の初め、大阪は突然暑くなった。連日35℃前後。
これでウチの魔女(母)はやられた。

元々あまりお茶やお水を欲しがらない体質が災いして、脱水症状を起こした。

起床して、夫がまず窓を開けて空気の入れ替えをする。
いつもの癖でエアコンを切った。

それがまずかった。

動くことが面倒な要介護2の魔女は、その部屋の状態で椅子にぼーっと座ったまま午前中を過ごした。

お昼少し前に様子を見に行った時、
たらたら汗を流して、目も虚ろだった。

やっちまった!

夫になんでエアコン切って窓開けたままにしてるの!?
と当たってしまった。

夫は、暑かったら自分でやるやろ…
と思ってる。

でも相手は酷い面倒くさがり屋のうえ、認知症なのだよ。

昨年、腕を骨折して以来、首と背中がかなり曲がった。
座ったまま、普通に顔をあげられない。
ご飯を食べる時も肘をついて顎を支えながら食べている。

そんな状態なのにこの度の脱水。
さらに身体が思うように動かなくなってしまい、
椅子からすぐに立ち上がることもできなくなった。

慌てて水やお茶を用意しても、
「今は要らないよ、大丈夫」
って、とんちんかんなこと言ってる。
ダメだ…
無理やりにでも飲ませないと。
体も力が入らずガクガク震えてる。

いつも卑しいほど食い意地がはってるのに、食欲がない。

とにかく部屋を涼しくして、経口補水液やお水やお茶を飲ませ、ゼリーやプリンなど流し込めそうなものも用意した。

夜になって落ち着いたものの、今度は足の脛が乾燥しすぎて痒がる。
見たらただれていた。

脱水症状って、こんなことにまでなるんだ…

翌日、ホームドクターの所に行くと、もしかしたら甲状腺機能の低下かもしれないので、検査しましょうと。

甲状腺癌で全摘しているので、時々こういうことが起きる。

結局、甲状腺は異常なく、やはり脱水症状だった。

せっせと水分を摂り、ご飯もたべられる分だけ食べてもらった。

オムツはいつもは数回替えるのだが、、
それすら面倒で朝から夜寝るまで変えていなかった。

案の定、膀胱炎になり抗生剤を飲むことになった。

ドクターには毎日水を1500ml飲ませるようにと言われた。

6月までは自分の食事は自分で作っていたのが、今月になって材料を冷蔵庫から出したところで事切れるようになった。

魔女の部屋に行くと、野菜や生の肉を流し台に出したまま、眠ってしまってることが増えた。

眠ってる魔女を見ていると、憎たらしいことをいっぱいやってきた魔女の姿が走馬燈のように脳裏を流れた。

あなたのせいで実家を売る羽目になったよね。
あなたのせいで私のピアノも宝物も思い出も全て手放したよね。
色々あったけど、いよいよ年貢の納め時だね。
言われたとおりにやらないから自業自得だわ。


そんな時、
ちょうどケアマネさんの訪問があったので、
このままだとこちらの仕事にも差し障るので、夏の間だけでも短期入所できないか聞いてみた。
すると、できますとのことですぐに書類を持ってきてくれた。

診断書をホームドクターに書いてもらわねばならないので連絡したところ、
短期でも老健に入れると認知症が進みますよ、と言われた。

そうか…
それならそのままお世話になり続けるのもありかな、
もう充分私は魔女には尽くしたし。
と、思っていた。

すると、その気持ちを察したのか、1500mlの水が効いたのか、
魔女はみるみる元通りに戻ったのだ。

日に日に普通になって、「お腹すいたよ!」って大きな声も出るようになった魔女を見てると、
これは白紙だな…と。

恐るべし母。
この人はやっぱり魔女だ。

今日は焼きそばを作っていた。



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