
脳の作りで猫を理解する(猫脳がわかる!より④)
前回の記事はこちら↓
今回も今泉忠明先生の著書「猫脳がわかる!」から、興味深い内容を取り上げていきます。
今回はタイトルにもある「猫の脳」についてです。
猫の脳の構造を知ることで、他の動物では見ないような猫特有の行動など、猫の行動の理由が理解できるようになった(と思う)ので、個人的にはとても勉強になったと感じる内容です!
猫の脳の基本構造は、人間と同じです。
大きくわけると三層にわかれています。
一番外側にあるのが大脳新皮質、真ん中にあるのが大脳辺縁系、一番内側にあるのが脳幹です。
各部位はそれぞれ役割を担っているので、各部位の説明を織り交ぜながら、お話させてください。
人間の脳ですが図解されているサイトがあったので、参考までに。
(参照元:http://e-enaruterasu.jp/post-2129/)
(1)大脳新皮質
役割:
思考全般を司る部位
人間であれば合理的な思考や倫理性などを司っている
猫の脳はこの大脳新皮質が非常に小さく作られています。
なので物事を筋道立てて考えたり、高度な情報処理は物理的にできません。
しかし全くない訳ではなく薄ら存在はしていることから、猫を見ていると、ごくたまに思考的な行動が垣間見える瞬間もあるので面白いです。
(2)大脳辺縁系
役割:
海馬や扁桃体がある部分 ※後述
本能や性衝動、情動を司っている
猫の脳はこの大脳辺縁系が発達しており、人間よりも猫の方が大脳辺縁系が脳内で多くの割合を占めています。
そのため本能的な行動が多く、また繁殖力が高いです。
具体的には以下のような部位が内包されています。
①扁桃体
役割:
不安や恐怖を司っている
安全か危険かを嗅覚などを通して判断する
猫の警戒心が強いのは、この扁桃体が大きいことが由来しています。
扁桃体が大きいことで猫は物事の多くを「危険=不快」「安全=快」で判断しているため、
安心感を感じることが愛着形成にもつながっています。
②海馬
役割:
記憶を司っている
猫はこの海馬の占める割合も多いので、記憶力がよいとされています。
例えば、缶詰の音を聞いて「ご飯だ!」と思い近寄ってきたり、キャリーを見て「病院に連れて行かれる…!」と思い逃げる、などです。
短期記憶に関しては犬よりも優れていると言われています。
またこれは生存本能にも関係していますが、
群れで生きない猫は縄張りに異変があると生死に関わるので、外でも室内でも一度通った場所は覚えていて、入念にパトロールをします。
不安や恐怖を感じやすい一方で記憶力はよいこと、また群れではなく個で生きることから、猫は危険だったり不快である記憶を長く保持する傾向にあるようです。
また、猫はよくパニックになってしまう生き物ですが、これも扁桃体の大きさからきています。
パニックになった猫は五感が研ぎ澄まされ視覚聴覚嗅覚で最低な経験として脳に記憶を残そうとするので、猫がパニックを起こした時は、飼い主さんは最低な記憶に組み込まれないようにその場を離れた方が嫌われないで済むんだとか。
(3)脳幹
役割:
視床下部が体温・ホルモン調整/自律神経が心拍・呼吸・代謝など、無意識で行われる機能を調整している
視床下部は種の保存としての役割を担っており、繁殖行動を促しています。
暖かい時期は寒い時期に比べ餌が豊富で子育てしやすいため、一日の日照時間が長くなると視床下部と接している脳下垂体が刺激をうけ、生殖腺刺激ホルモンが分泌されます。
ちなみに最初に発情するのはメスのみで、オスはメスの発情期の鳴き声とフェロモンで発情が誘発されます。
また研究の結果、猫も自律神経失調症にかかることがわかっています。
「猫のキー・ガスケル症候群」と言われるこの病は、食欲不振や体温調整ができなくなるなど、人間のそれと似た症状がでます。
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まとめると、猫は脳の構造的に以下のような特徴があることがわかります。
・大脳新皮質の割合が少ないため、合理的な思考は得意ではない
・大脳辺縁系の割合が多いため、本能や性衝動、情動に突き動かされる行動が多い
・大脳辺縁系に含まれる扁桃体の割合が多いため、不安や恐怖を感じやすい
・大脳辺縁系に含まれる海馬の割合が多いため、記憶力がよい
・結果、特に不安や恐怖を感じた不快な出来事を忘れずに覚えている
・視床下部、自律神経の働きは人間と同じ
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自分が接する猫たちと照らし合わせて考えると、あのパニックも、ビビり具合も、ご飯の前の俊敏な動きも、脳の構造からきているものだと納得できました。
次回につづきます。
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