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私はピアノの先生に「なりたかった」わけじゃなかった

 私の記憶に間違いがなければ、「ピアノの先生」としての仕事を始めたのは音大在学中の20歳の頃です。
 近所の方がお子さんのピアノの先生を探していらして、「近所の音大生のお姉さん」である私に白羽の矢を立てた。それが始まりでした。

 私を選んでくださったことは嬉しかったけれど、初めての仕事しかも相手は、3歳の女の子。10代~20代の頃の私は、ピアノの先生としてはあるまじき「子どもが苦手」な人だったので、この3歳の女の子をどういうふうに導いたらいいのか、ということは全く分からなかったのです。
 幸いにして、この最初の生徒は聡い子だったこともあり、彼女のお話の3分の1くらいは私にも理解できました。 逆に、大学生の私はつい難しい言葉を使ってしまい、語彙が少ない3歳児には伝わっていないなと感じることも多々あったのです。
 このように、ピアノの先生になりたいと思わずにピアノの先生という仕事を始めたため、

「ピアノの先生になりたいんです!!!!!!!!!!!」
(!の数に注目。笑)

と、目を輝かせる方のことは全く持って理解できなかった。なんでそんなにピアノの先生に憧れるんだろう、と不思議な気持ちになったものです。

 だから今私がこうして、自分が「望んでなった」わけではない仕事を「長く続けて、天職だと思える」のがとても不思議。人生って何があるかわかんないもんだな、と思います。

 そう。

あんまり若い頃に「これしかない!」って決められないことで自分を責める必要はないんじゃないかなって今の私は思うんです。

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