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卒業できなかった私と卒業の言葉。【エッセイ】

こんにちは。花巻です。

私は2020年3月に専門学校を卒業しました。
……いいえ、卒業するはずでした。

この年、世界を揺るがす大事件が起きました。
新型コロナウイルスの流行です。
色々なものが中止されました。
それは私たちの卒業式も例外ではありませんでした。

私は卒業生代表として卒業式で華々しく言葉を発表するはずでしたが、それは叶いませんでした。
「いつかウイルスが収束したら、私達だけで卒業式をやろうね。」と、約束してからもう1年と半年が過ぎました。
きっと、あの時の約束をもう同級生達は覚えていないでしょうし、覚えていたとしてもどうでもいいとすら思っているでしょう。

卒業式が中止になってから、私はモヤモヤとした日々を過ごしていました。
なんだか卒業した実感が湧かなかったのです。
卒業式が行われるはずだった日から2週間程が経ったある日、家のインターホンがなりました。

クロネコヤマトでした。
荷物を受け取り開けてみると、中身はなんと卒業証書でした。

いや、そんなことある?
荷物を開いた私はめちゃくちゃに笑いました。
卒業証書授与が校長とか理事長じゃなくて配達員て。

卒業式が中止になった時、私は酷く落ち込みました。
ちゃんとお世話になった方々にご挨拶出来なかったことや、2年間共に切磋琢磨しあった同級生達ときちんとお別れが出来なかったこと。
いろんな想いがあって、コロナウイルスを恨みました。

だけど、このクロネコヤマトとの卒業証書授与式があって、すごく笑いました。
「むしろ、こんなに記憶に残る卒業式ないな。」って前向きに捉えることができるようになりました。

唯一の心残りとすれば、世界で一番おもしろい演説をするはずだったのに、それが叶わなくなってしまったこと。
一生懸命文章と演出を考え、喋り方まで細かく練習したのにそれをお披露目できなかったことです。

そこで、今回は文章だけにはなってしまいますが、今日この場で発表させて頂きたいと思います。
もし良ければ、最後までお目通し頂けると幸いです。

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(持っている紙に目を通す)
こんな紙で私の言いたいことが伝わるか!
と、いうわけで今日は紙を置いて、生徒代表いや、漫画家 花巻さきのとしてお話します。(紙を置く)
 私はワンピースに続くヒット作を生み出すべくAMGの敷居をまたぎました。
すぐにデビューして2年後には連載していて、世界的にバズる漫画を描くんだと意気込んでいました。
しかし、現実は甘くありませんでした。同級生たちはレベルが高く、入学早々に絶望しました。
初めて描いた2ページの漫画は周りと比べても散々な出来でした。
この人たちがプロになれていないなら私は20年かかってもプロになれない。
その後、周りのみんなは担当をつけ、賞を獲り、在学中にデビューした人もいます。置いて行かれた焦りと不安は募る一方でした。

…ここであきらめるのは凡人の発想です。私はあきらめませんでした。
私はまず、自分のことを天才だと思い込むことから始めました。
天才の私は凡人どもと圧倒的な差をつけるために、人一倍努力をしました。
私を突き動かしたのはひたすらな嫉妬と劣等感です。
そんな努力し続けた私ですが、この2年間で力の差はひっくり返ることはありませんでした。でも着実に縮まってきたはずです。
もうすぐひっくり返すのでマンガイラスト学科の皆さん、覚悟しとけよ。

実力や実績では1番になれなかった私ですが、胸を張って1番だと言えることがあります。
それは、挑戦の数です。
学内で行われた批評会やコンペには必ず作品を提出しました。
学外でもできることはなんでもやりました。
この2年間、今も含めてかなり好き放題やらせていただきました。
そんな私を先生たちは否定するのではなく、背中を押してくれました。失敗も成功も糧になると教えてくれました。たくさんの失敗を経験して挑むことは楽しいと気がつきました。
最近では新たな挑戦としてマンガを動画にするべくYouTubeを始めました。
これからも漫画家としてできることを模索し続けようと思います。

こんなクソガキの面倒を見てくださった先生方、熱く語り合った友人達、皆さんが自慢したくなるような女になります。それまで私は絶対に努力をし続けます。
最後に尊敬する出川哲郎さんの言葉を引用して、終わります。
私に5年の時間をください。頭出します。
私に10年の時間をください。有名になります。
私に20年の時間をください。頂点を獲ります。
そして、私に30年の時間をください。世界に羽ばたきます。
私の成長を絶対に見逃さないよう、YouTubeのチャンネル登録お願いします。
2年間本当にお世話になりました。ありがとうございました。

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今思えばこんな演説を許してくださった寛大な講師の皆様方には本当に頭が上がりません。
また、現在全く動かせていないYouTubeの宣伝もしていて、本当になんというかクソガキだなぁと思ってしまいます。
でも、そんなクソガキだったからこそ今の私があるのでしょう。こんな私も愛してあげたいと思います。

本当はこれをみんなの前で読みたかった。それは今でも思っています。
言うなれば、この演説は私にとって決別と決意の現れだったと思います。
そんな決意表明をできないまま終わってしまいましたが、この経験もいつかきっと花開くと信じています。

それでは、本日はこのあたりで。
またお会いしましょう。
最後まで読んでくださってありがとうございました。

よろしければサポートお願いします。サポートしてくださった方に後悔は絶対にさせません。進化する私を見てください。