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マーダーミステリーができるまで:BKK②

今つくっているBKKは、なるべくハンドアウトをシンプルに、文字数少なくまとめようと思っています。そのかわり、リアルタイムに入手するヒント――つまりカードを多めに配置してワクワク感を出しつつ、その都度内容について吟味してもらうような形を考えています。そこで問題になるのがカード配置なので、今回はそれについて書いていこうと思います。

●カードを取らせる順番をコントロールする方法

カードをたくさん配置する場合、考えなければいけないのはカードの取得順ではないでしょうか。どのヒントも等しく重要!なんてことはまずありえないので、大抵の場合は「できれば早めに取ってほしいカード」と「できれば終盤に取ってほしいカード」があるのではないかと思います。

では、それをどうやってコントロールするかという問題になってくるのですが、参考までに今まで遊んだオンライン・マダミスですと――

①特定のタイミングで見せたいカードをオープンにする

②取得回数(ターン)によってカードを取れる範囲が決まっている

大体このどちらかだと思います。①は、「10分経過後(あるいは1回目の議論終了後)に追加情報として特定のカードを全体公開する」みたいなタイプで、②は「最初のカードはこの青いエリアの中から選んでください」みたいなタイプです。振り返ってみると①が圧倒的に多かった気がしますね。

自分がプレイしたときは、別にどちらでも気にならなかったんですけど、いざ自分がつくる側になってみると、なんかこうもっと自然にできないかな?という気持ちがわいてきました。どうにかシステムに落としこめないかな、と。特に①の場合は、PLではなく制作者側がタイミングもカードも選んでいるため、納得感を与えるという面でちょっと損をしているんじゃないかと感じるんです。(このことについて説明をはじめると長くなるので、後述します)

なので、どうにかカードをPL側に選ばせたい、でも選ばれる順番もコントロールしたい!と思案していたら――ふと、私の脳裏を大好きなゲームが過りました。

Cluedo(クルード)です。※リンク先は私がよく遊んでいるSteam版

私もうこれほんと好きで、無限マトリックスパズル最高ー!っていつも言っているのですが(笑)、このゲームは自分のターンが来た時にダイスを振るんです。そして出た目によって移動できる範囲が決まります。つまり、限られた範囲でしか動けないんですよ。

😲!!!

この仕組み、使えるのでは……?ということで、マーダーミステリーではあんまり見ないですが、自分の駒を動かしながら艦内を探索するシステムを採用することにしました。これなら1回に進める範囲が決まっているので、近場には早めに見てほしいカードを置いて、遠くに終盤見てほしいカードを配置することで、自然にコントロールできます。要素としてはさっき書いていた②に近いんですけど、ハッキリと区切られているわけじゃないのでPLとしては全体から選んでいる気分になれるのではないかと思います。

ただ、ダイス移動にすると運が悪い人がカードに辿り着けない可能性があってかわいそうなので、全員一律で10マスまでの範囲内で動けるということにしたほうがいいかな?と思案中。(Cluedoで部屋に辿り着けなかった時のかなしさは異常…)

さらに、せっかく実際に移動して探索するのですから、もっと意味を持たせたいなと考え、もう一捻りすることにしました。そこで考えた条件が以下のとおりです。

①カードは取得するのではなく、あくまでも見るだけ。

②カードを見るにはそのカードと接している必要がある。

③PLの意思によるカードの全体公開はナシ。常に自分だけ見る。

④カードの内容を人に伝えるのはOK。嘘もOK。

こうすることにより、実際に艦内を移動する意味が生まれます。また、他の人が見たカードの説明を聞くことになるので、ちょっとした伝言ゲームのような面白さもあると思います。カードの内容が文字であれば説明も楽ですが、イラストだった場合は見る人によって説明が全然違ってきますし、そのイラストに大事なヒントが含まれていた時、鋭い人なら気づけるものを、鈍い人はスルーしてしまうかもしれません。

説明を聞いて「怪しいな?」と思ったカードがあったら、何人かで確認したほうがいいでしょう。でも移動回数が決まっているので、どのカードをダブルチェックするかが鍵になってくるかもしれません。

Excel艦内マップ

マップのイメージをExcelで簡単につくってみたのがこれです(カードがカラフルなのは、こういう色にする予定というわけでなく、駒がとまったときに見られるカードをわかりやすくするために塗りました)。序盤は各部屋の情報から見てもらって、もしいったんコントロール・ルームのほうに戻っても、途中で全員がミーティング・ルームに集合するイベントがあるので、そこから一緒に再スタートできるようにします(なるべく公平にしたいので)。

で、このマップでいくと、いちばん怪しい大事なヒントがありそうなのが奧の鶏小屋ですね(笑)。部屋の名前が思い浮かばなかったので適当につけたんですが、謎めいていて結構いいかもしれません。ちなみに、ジェネレーター・ルームもほとんどの人が想像するものとはまったく別の設備になっています。詳細は秘密!(そして宇宙監獄に欲しい部屋・設備を緩募中!)

とりあえず、このシステムを思いついたことで私の中でだいぶイメージが固まりました。あとはまだ背景がちゃんと固まっていないキャラを決めつつ、カードの内容を決めていくくらいですかね……。いちばん大変な部分を後回しにしているような気がしますが考えないことにします😑

●PLにカードを引かせる意味について

最後に、途中で飛ばしたこの話をしたいと思います。

そもそもPLにカードを選ばせるのってなぜだか考えたことはありますか? なんだったら最初に自分で配役を選ぶことにも同じ意味があるのですが、実際に選んでいる人たちは「やりたいからやる」くらいの感覚しかないのではないかと思います。カードを選ぶのもそのほうが楽しいからですよね。

自分がPL側で遊ぶだけならそれで全然問題ないと思いますが、つくる側になったらやっぱりあらゆることに意味を見出したいし、意味がないものは極力削りたい。というわけで、カードを選んでもらう意味について考えました。――いえ、正確には考えたというか、私が以前から常々思っていたことではあるのですが。

私が考える「ゲームを面白いと感じることができる要素」のひとつに「制限された自由」というものがあります。これは、PLに選択の自由を与えるということです。ただし、「どれを選んでいい」とか「選択肢がやたら多い」とかだと選ぶこと自体がストレスになるので、適度に制限をかけたうえで選んでもらうわけです。

これの効果は、もしPLにとって満足な結果が出なかった場合でも受け入れてもらいやすいということ。それを別の言い方にすると「納得感を得やすい」になります。

多分この説明ではうまく伝わらないと思うので、具体例を書きます。

某ゲームにセレクトガチャというものがあり、ガチャの中身を決められた範囲で自由に選ぶことができました(ここが「制限された自由」)。ユーザーはSSRを1種類、SRを3種類、Rを12種類くらい選んでボックスの中に入れ、ガチャをまわします。基本的にRはいらないものですが、その中でも特にいらないRは自分の意思で弾くことができたし、当たったら嬉しいSSR、SRも数は少ないけど選ぶことができました。

その結果、出たのはRでした。この場合の心理をちょっと考えてみましょう。Rが出たという結果だけ見れば残念ですが、絶対に当たりたくないRは最初から弾いていたのでそれではありませんでした。また、たとえRだとしてもそれを選んでボックスに入れたのは自分なので、「まあしょうがないか」という気持ちになれる人が多いのではないかと思います。

でも、セレクトガチャでない場合は、自分の行動はガチャの結果になんら関係していません。同じRでもいちばんいらないものが出る可能性もあります。だから腹が立ってイライラする~なんてこともあるかもしれません。

つまりなにが言いたいかというと、結果にほんの少しでも自分の行動が関与していると、もしあまりよろしくない結果が出たとしても「まあ選んだのは自分だし…」と心理的に受けとめるハードルがさがるのです。その結果として、相対的に納得感が増すという感じです(笑)。

これを配役の選択に例えると、自分で選んだ配役がすごくモブだった場合、「自分で選んだし仕方ない」となりそうですが、GMに決められた配役だった場合を考えると、GMのせいとは言いませんがちょっとモヤッとしたものが残ると思いませんか?(笑) おそらく、誰のせいにもできないから納得しづらいんじゃないでしょうか。

PL側に選ばせるというのは一種の保険的な意味があると思うんですよね。それで成功した時は「自分の選択が正しかった!!!」って喜べるし、失敗してもその結果を受け入れやすいのがメリットなんです。なので、できれば配役は自分で選んだ方がいいと個人的には思うし、カードもPLに選ばせてあげたいなぁと思っています。……最終的にはこれも自衛ですね!😉

実は私が考える「ゲームを面白いと感じることができる要素」はもうひとつあるのですが、どうもBKKには組みこむ余地がなさそうなので、次につくるときはそっちをメインの要素にしても面白いかなと思っています。ただ、それをやると今度はTRPGのほうに近づきそうな予感がするんですが……(笑)。

それではまたなにか進んだら書きに来ます!

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