まるのさき/ 絵本屋

新潟県三条市に移住して小さな絵本屋を始めました。 2022/10/15- プレオープン 2023/04/22- 本オープン「絵本の店 omamori」

まるのさき/ 絵本屋

新潟県三条市に移住して小さな絵本屋を始めました。 2022/10/15- プレオープン 2023/04/22- 本オープン「絵本の店 omamori」

マガジン

  • 独りごと

    Twitterに書くには少し長すぎる、でもそのくらいの軽くて浅い温度の文章です。(店関係ありません)

  • 絵本屋さん日記

    絵本の店 omamori が開店しました。 日々、大切なことを忘れないようにするための記録です。不定期更新。

最近の記事

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【絵本屋さん日記】 プレオープンの前日

※1ヶ月前に書いた記事です。 2022年10月15日に絵本の店 omamori をプレオープンして、早3週間が経った。一日一日はかけがえのない言葉や感情との出会いに満ちているのに、タスクに忙殺され、いつの間にか最初から無かったことのように忘れていってしまう。 お店を始めたばかりの今の時期は一生に一度の大切なものなので、せめて少しでも記憶が続くように、そして誰か必要とする人へ届くように、簡単に日記をつけてゆくことにした。 お店では主にお客様と接するなかで言葉や感情が生まれ

    • 無個性の価値はなにか(仮)

      ずっと、個性がないことがコンプレックスだった。(わたしは本当にコンプレックスが沢山あるなぁと書きながら呆れる。) 最初にそれを認識したのは中学生のときで、クラスに「かわいい子」「面白い子」「頭のいい子」と判りやすいカテゴライズが出来上がってきた頃、自分に突出して優れているものが無いことに気づいた。「〇〇〇ナンバーワン」に絶対選んでもらえないような感じ。そのことが、急に恥ずかしくて悲しくなった。 一番悩んだのは20歳前後。当時、わたしはスタディツアーやボランティアに参加して

      • 28歳までの生活

        今年も写真を撮ってもらった。少し痩せて、本が増えた。 去年はこちら(撮影は misaki さん) 28歳は、別れの1年だった。 本当に大切だった人たちと、さまざまな形で離別を経験した。あたらしい出会いは生活にじわじわと喜びを運んでくれるのに、別れは突然に傷つけてくるのがフェアじゃなかった。苦しかったし、いまでもまだ、苦しみの後味が残っている。 別れを何度か経験したあと、春、制作活動を始めた。この半年で本を2冊つくることができた。moufu シリーズも100匹ほど作り、

        • 哲学カフェで考えたこと、わたしの場合(仮)

          昨晩、omamori で開かれた最後の哲学カフェ。世代もバックグラウンドも異なる方々が、約20名も参加してくれて、とても嬉しかった。 わたしはその場で言葉をまとめるのが不得手なので、キッチンカウンターのなかでただ耳を傾けていたのだけれど、強く心に残った話がいくつもあって。 一晩経ってもまだ余韻が残っていたので、それらの話を受けて考えたことを、とりとめなく文章にしたためました。超、とりとめない。 ※具体的な発言内容や発言者については伏せています。 ✴︎ 昨日のトピック

        • 固定された記事

        【絵本屋さん日記】 プレオープンの前日

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        記事

          【絵本屋さん日記】 ベンチ日和

          店の中だけでなく、店の外にも愛情を持ち出していきたいと思う。 店の外にはベンチが2つある。青色と桃色の手作りベンチ。そこは商店街を歩く人にとって休憩スポットにもなっていて、年配の方々が腰をかけてくれていると嬉しい気持ちになる。そして、わたし自身もお客さんが居ないとき、休憩に座っている。 ベンチに座っていると、必ずといっていいほど、誰かが話しかけてくれる。店の中では、店内にいる人だけがお客さんだけれど、店の外にいるだけで、その範囲はぐんと広がる。それが楽しくて、ひとつずつの

          【絵本屋さん日記】 ベンチ日和

          【絵本屋さん日記】 omamori の早朝オープンの話①

          omamori を朝6時からオープンする日がある。週に3回ほど。まだその時間をなんて呼んだらいいか、決められていない。 最初の2時間は私語厳禁(厳禁、という言葉は少し強いのだけれど)。 普段はにぎやかな店内も、ここでは黙々と静かに、自分だけに向き合う時間へ。それぞれ、パソコン作業をしたり、絵を描いたり、縫い物をしたり、積んでいた本を読んだり。 その後の30分は、来てくれた方どうしで、朝の時間でやったことや、いまやりたいこと、最近の悩みなどを、ゆっくりおしゃべりしている。気

          【絵本屋さん日記】 omamori の早朝オープンの話①

          開店1年目・ 絵本屋のお金のこと

          4月22日をもって、絵本の店 omamori は本オープンから1年が経ちます。この機会に、omamori の実績についてお話しします。 「絵本屋さんになりたい」と思ったとき、書店の情報が世の中に少なくて、困りました。 カフェや美容室における、開業や運営のノウハウは沢山見つけられるのに、個人書店に関してはかなり少ない。特に、お店のコンセプトや想いの話だけでなく、具体的な経営の話まで載っているものはなかなか見つけられなかった。(「これからの本屋読本」や「夢の猫本屋ができるまで

          ¥800

          開店1年目・ 絵本屋のお金のこと

          ¥800

          絵本屋でお酒のイベントを開く理由

          「絵本屋なのに、どうして関係ないイベントをやってるんですか?」と、よくお尋ねいただくので、いまの自分の気持ちをしたためます。 ✴︎ まず、わたしはイベントに対して「なんでもやってみよう!」という明るい気質ではないことは、ちょうど昨冬に書いています。 それから春になり、絵本の店 omamori を本オープンしてから、店内の間貸しを始めました。 「間貸し」という言葉って、どのくらい浸透しているのだろう。 わたしにとっては、店を始めるまで、まったく馴染みのない言葉でした。い

          絵本屋でお酒のイベントを開く理由

          2023年振り返りと2024年について

          昨年はありがとうございました。店ではなく個人として一年を振り返る日記を書きました。 ✴︎ 2023年は、大変な年だったなぁ、と思う。 仕事もプライベートも、休まることなく慌ただしかった。休む必要がないくらい、とても充実していて楽しかった。omamoriの実店舗オープンを大きなきっかけに、得たものや新しい出会いが沢山あって、ずっと夢のなかにいるみたいな幸せがあった。忘れたくない思い出を挙げたらきりがない。 でも一方で葛藤も多く、自分のせいで失ったものもあった。そんなときは

          2023年振り返りと2024年について

          27歳までの生活

          27歳の最後に、生活を写真に残そうと思った。撮影はカメラマンの misaki さんにご依頼した。 misaki さんとは昨年知り合って、被写体なんて無縁だったけれど「いつかもしそんなタイミングがあれば、撮ってもらうのは misaki さんがいいな」と思っていた。そうしたら偶然また新潟で会える機会に恵まれて、ちょうどそんなタイミングだったので、撮影をお願いすることができた。 朝の光のなか、misaki さんは300枚ほど写真を撮ってくれた。緊張でカチカチだったわたしを、お喋

          いつまで寂しいつもりなんだろう?(仮)

          さびしさは鳴る。 強い寂しさを感じたとき、もしくは誰かの寂しさに触れたとき、この一文を思い出す。『蹴りたい背中』の冒頭だった。 この書き出しが素晴らしいのだと中学の国語の先生が板書で強調し、授業で習うより前に作品を読了していた自分は、ウンウンと知った顔で共感したのを覚えている。 でも、その音色がわかるようになったのはずっと後だった。 そして、それはわたしにとっては、鈴のような切なくて綺麗な音ではなかった。 うまく言えないけれど、けたたましく鳴る警鐘のような、ハッと身の

          いつまで寂しいつもりなんだろう?(仮)

          【絵本屋さん日記】 お店ができました

          2023年4月22日。お店ができた。 商店街の通りに面していて、大きなガラスのショーウィンドウと黄色の柱が目印になる。入口の両隣りに、青色と桃色のベンチがひとつずつ。アーケードではツバメが次々と巣をつくっていて、カラスや雨風に抗いながら、新しい命を迎えている。 お店の後ろでは五十嵐川がさらさらと流れていて、新緑を纏う草花がまぶしい。 あたたかで、やさしい季節から始められたことを、幸運に思う。 店をつくることは簡単じゃなかった。分かっていたけれど、分かっていたよりもずっ

          【絵本屋さん日記】 お店ができました

          【絵本屋さん日記】  イベントをしない絵本屋でありたかった

          昔から冬が苦手だ。寒いのが大嫌いだ。 寒いと動くのが億劫になるし、布団から出るにも気合いが要る。 電気代も嵩む。服を何枚も着るのだってしんどい。 日が落ちるのが早いから、なんだか損した気持ちになる。 長い夜には、余計な感情が入り込みやすい。 身体が内側から温まって、こころも少し元気になるような、なにか無いかな。そう思って、絵本屋の新作ドリンク試作会と称してチャイを振舞うイベントを開催した。1月22日、日曜日のこと。 当日も雪が舞う寒い日だったけれど、60人近くのお客さん

          ¥300

          【絵本屋さん日記】  イベントをしない絵本屋でありたかった

          ¥300

          【絵本屋さん日記】絵本屋のわたしに、絵本を贈る人たち

          絵本屋のわたしに、絵本をプレゼントしてくれる人がいる。 それは前職の会社で一緒に働いていたお姉さんだったり、 三条で出会って仲良くしてくれるお姉さんだったり、お兄さんだったり、 ずっと近くにいるけれど絵本の話なんかしたことのなかった友人だったり。 それは誕生日や店舗プレオープンのお祝いだったり、 なんでもない日のプレゼントだったり。 絵本屋になるまで、絵本を貰うことなんて殆んどなかったのに 絵本屋を始めてから、絵本を貰う機会に恵まれている。 そのことが、矛盾を孕んでい

          【絵本屋さん日記】絵本屋のわたしに、絵本を贈る人たち

          1,716人との出会い・再会のなかで

          2022年7月1日に新潟県三条市へ移住して、 絵本の店 omamori を開業してから半年が経とうとしています。 半年間、ありがとうございました。 最初はイベント出店からスタートした当店も、 10月以降は実店舗にてプレオープンすることができました。 沢山の方々のお陰様です。 数えてみると、 イベント出店は 18回。(オンライン除く) 店舗での営業日数は 47日。 上記のイベント出店と店舗営業を合わせると、 絵本の店 omamori に立ち寄ってくださった方は 1,

          1,716人との出会い・再会のなかで

          【絵本屋さん日記】 プレオープン初日のこと

          2022年10月15日(土) プレオープン初日の朝をよく覚えている。雲の切れ間から青空が覗き、秋らしい柔らかな日差しが嬉しかった。寝不足の身体はふらふらしていたけれど、頭も心もエネルギーに満ちていた。 シェアスペース Arbor Brownには開店の2時間前に着いて、オーナーさんから鍵を受け取り、パン屋さんから商品を受け取る。二人とも「楽しんでね」と言い残して次の仕事へ向かい、わたしはまだ空っぽの店内でひとりになった。 今日からしばらく、ここがわたしのお店だ。 はじめて

          【絵本屋さん日記】 プレオープン初日のこと