異物混入⁈
チーズって、
白っぽいクリーム色のものだけじゃなく、
真っ白なものもあればオレンジ色のもあったり、キャラメルみたいな茶色のものもあって、いろんな色のチーズがある。
色だけじゃなくて、
大理石模様のチーズもあれば、
真ん中に黒い線の入ったチーズもあります。
Morbier モルビエ
フランスのジュラ地方で造られるAOPチーズです。
コレ、オシャレでラインを入れてるわけではありません。
ジュラ地方といえばComte コンテ。
モルビエは、コンテを造る時に余ったミルクで造られたとか言われがありますが、ホントかどうかはわからない。
でも、
1個のチーズを造るのにミルクが足りなくて、
翌日の搾乳までの間、カードを保護するために
銅釜の底の煤をつけていた
と言うことです。
翌日搾ったミルクでまたカードをつくり、
前日のカードに重ねて1つのチーズを造ったんです。だから、真ん中に黒い線がある。
モルビエは、非加熱圧搾タイプと呼ばれるチーズ。硬くもなく軟らかくもない、モチモチしたテクスチャー。セミハードタイプとも言われることがあります。
非加熱圧搾というのがあれば、当然、加熱圧搾と言うのもある。
非加熱と加熱は何が違うのかと言えば、
ミルクを固めた後「カード」が出来上がるわけだけど、そのカードを、楽器のハープのようなもので細かくカットしながら撹拌していくの。
釜の中にはカードとホエイ(水分)が入ってて、その釜の中の温度を40℃以上に上げながら撹拌する場合は「加熱」、40℃以下で撹拌する場合は「非加熱」となるわけ。
ちなみに、加熱圧搾タイプの方が、カードの中の水分が抜けやすいのでより硬くなる。
コンテなんかは加熱圧搾タイプ。
水分が多いと雑菌が繁殖しやすくなるから、何年にも渡る長期熟成には向かない。
でも、水分が多い方がしっとり、モチモチしたチーズになるんだよね。
モルビエも、
モチっとしたテクスチャーと、濃厚なミルクの香り、
あと、表皮をちょこっとウォッシングしているようで、ウォッシュタイプのような古漬けのような独特の香りもある。
この香りがきつくて苦手だったら、表皮を取って食べるといいです。臭うのは表皮だけだから。
今では「ミルクげ足りなくて…」なんてことはないから、敢えて食用の植物炭粉を真ん中に入れてるんだけどね。
でも、この線があるからモルビエなんです。
まぁ、異物混入と言えば異物混入ですけどね。
仔牛のためのミルクを人間様がいただいているわけだから、無駄にしないよ、と言う昔の人の
知恵と愛情の「異物」の一線
なのかなぁと思うのです。
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