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悩みの花

またひとしきり 午前の雨が
菖蒲のいろの みどりいろ
眼うるめる 面長き女
たちあらわれて 消えてゆく
たちあらわれて 消えゆけば
うれいに沈み しとしとと
畠の上に 落ちている
はてしもしれず 落ちている

「六月の雨」中原中也

東京にも、やっと六月らしい雨が降りました。朝から空から絶え間なく、しゃらしゃら注ぐ雨音が、たまの休日には心地よくありました。

六月は水無月(みなづき) 。昔から、田植えのはじまるこの時期は、あちこちで田に水を引くため水が無くなる。故の「水無し月」と呼ばれる説です。

とはいえ東京にいる限りは、近年の六月は雨も少ない空梅雨。容赦なく降り注ぐ日差しに、さっそく萎えた花もありました。なので今日の雨には、花木も安堵したんじゃないかしら。

一方こちらは、年々ながく厳しくなる夏を前に、今年はどう過ごそうかと思案する頃。

何をしようか、やめようか。あれにしようか、よしとくか。

たちあらわれては消えていく悩みの種。と思いきや消えるどころか、種は枝葉を広げるばかりです。

しかしこの悩みの種にも、待てば花は咲くのかしら。どうせ時間をかけて悩むなら、綺麗な花を咲かせたい。日陰でも光る花。小さく咲いても強い花。

今日もいちりんあなたにどうぞ。

ヒメシャラ 花言葉「謙虚」

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