伊勢神宮の参道

伊勢詣とイベント参加の心得

伊勢詣とは、古くから人々が伊勢神宮を目指し、時には長い旅をして参拝を行う、言わば一大イベントです。先日、会社を代表して初めて大きなイベント「Adobe MAX Japan 2019」に参加させていただきました。大きなイベントに参加させていただく機会が初めてだったということもあり、終了後に反省点が多く見つかりました。今後のためにもまとめておきたいけれど、どうやったら自分の身になるように整理できるかなと、しばらく考えていました。

Adobe MAX Japanで撮影した写真を整理していたとき、ふと夏に行った伊勢神宮の写真が目にとまりました。大学時代に伊勢詣の歴史について少し調べたこともあり、もしかして伊勢詣にはイベント参加のためのノウハウが詰まっているのでは…?と、急に思いつきました。伊勢詣の出発〜帰着までになぞらえれば、個人的に忘れないだろうと考えたため、伊勢詣に触れつつ、「Adobe MAX Japan 2019」に参加して得た気づきや反省点をまとめます。

1. 見聞を深めておく

伊勢詣を行う人は、十返舎一九の「東海道中膝栗毛」などの旅行記を読んだり、伊勢詣に行った人から話を聞いたり、出発時期やルートを決めたり、多くの準備が必要でした。

今回のAdobe MAX Japanでは、昨年行った先輩がまとめてくださった資料を読んだり、公式の過去のビデオアーカイブを閲覧したりしました。本国アメリカで開催された時の情報を仕入れて準備しました。

しかし、実際に参加した際、セッションやブースの内容を昨年と比較しようと思った時に、あれ昨年のAdobe MAX Japanやアメリカではどうなっていたかな?となることが多かったです。事前に調べた際に、情報を断片的に頭に入れていて、包括的に見られていない、自分のものにできていませんでした。事前にイベントについて調べる際には、当日参加した時をイメージしながら調べると自分が知りたいことを調べておけるのではないかと思ったため、次回実践してみます。

2. 伊勢講

江戸時代、伊勢神宮への参詣は非常にお金がかかりました。何日もかけて歩いて向かうわけですから、遠方から訪れる人には宿泊費と食費だけでも相当な負担となったようです。どうやって当時の人々が旅費を用意したかというと、その方法に伊勢講が挙げられます。

伊勢講とは、伊勢詣を目的に人々が集まり、旅費を参加者で積み立てておき、くじで代表を選んで交代で参詣を行うという仕組みです。1人では困難な伊勢詣を、皆で協力して実現していたのです。

あれ、この話どこかで聞いたことがあるなあ…と思いました。自分の状況によく似ています。今回のAdobe MAX Japan参加も、会社から支援を受けて参加が実現しました。今は大阪から東京まで行こうと思えば行けるのですが、金銭面だけでなく、Adobe MAXの情報や、参加しませんかという声かけだったり、様々な面で助けてもらって行くことができたのだと思います。当たり前と思わず、会社から支援を受けて行っているという意識を忘れないようにしたいと思いました。

3. 体力

何日もかけて伊勢神宮まで歩き通すため、当時参詣した人たちは相当な脚力、体力を持っていたことでしょう。

私はというと、Adobe MAX Japan数日前から体調を崩しており、当日も不調なまま参加しました。体調はなかなか自分の思い通りには行かないものですが、食事や睡眠時間など、風邪を引かないように努力できることはあったなと今になっては思います。事前準備をしっかりしておくと、当日体調がすぐれなくても、精神的に余裕が生まれるため、過ごしやすくなることにも気がつきました。

4. 道中日記

道中日記は道中記とも言い、旅行中の見聞を記録したものや、旅行の案内を記したものになります。江戸時代には、伊勢詣に関する多くの道中日記が記されました。道中日記は多くの人に読まれ、伊勢詣を広め、一大ブームを巻き起こす要因の一つにもなりました。

イベントですと、道中日記はメモにあたるかと思います。今回のイベントでは、単純に発表の内容を記すだけでなく、その時自分がどう思ったか疑問に思ったこと、など自分の考えも書いておきました。後で見返すと、そういえばこんなこと考えていたなと思い出したのと同時に、自分が考えていたことでも、すぐに忘れてしまうことに気づきました。メモは大事です。

私はその時の情景をメモしておくと後で思い出す助けになるため、端の方に書くようにしています。(照明が眩しい、寒い・暑い、隣の人とやたら近い、など)

メモには手のひらサイズのクロッキー帳を愛用しています。立ったままメモしなければならない時も、片手で簡単に保持できるサイズのため使い勝手が良いです。絵が描きやすいことと、ページ数が多いことも気に入っている点です。

AdobeMAXで書いたメモ

5. いざ参拝

当時の参拝方法については調べきれなかったのですが、外宮から内宮へ回る「外宮先祭」、朝早くにお詣りする早朝参りなどは昔からあったようです。夏にお詣りした際にも思いましたが、伊勢神宮の参拝方法は事前に調べておくとスムーズです。(伊勢神宮公式HPではモデルコースが複数用意されています!)

Adobe MAX Japanではランチセッションの整理券が配布されていたり、ショートセッションの内容がHPで公開されていたり、事前に知っておかないと見逃してしまう情報が多くありました。当日セッションでは時間ギリギリに行くと座席が埋まっており、立ちっぱなしで聞くということもあったため、スケジュールにも余裕を持たせておく必要がありました。ブースを巡る際には積極的に質問することで、+αの話を聴けることがあったため、自分から情報を得ていく姿勢も大切でした。

6. 寄り道する

伊勢詣では、伊勢神宮だけでなく、近隣諸国を巡ったり、長野県の善光寺、香川県の金刀比羅宮などに寄ることもありました。伊勢詣には旅行の側面もあったこと、お金や時間をかけて行ったため、当時の人々は伊勢神宮以外の場所にも寄り道したいという気持ちになったのではないでしょうか。寄り道することで、より多くの情報を得て、持ち帰ることができたはずです。

私はというと、Adobe MAX Japanでは、体調不良でどこにも寄れず、中華街や赤レンガ倉庫を横目に帰宅しました。しかし、遠出した時には他のイベントや展覧会など少し寄り道をして、普段見られないものを見て見聞を深めると、機会を有意義なものにできると思いました。体調を整え、体力をつけておくと、寄り道できる余裕が生まれるため、体力は本当に大切です。

7. みやげ

伊勢講の部分にも書きましたが、伊勢詣を行った人々の多くは他の人の協力を得て、代表として参詣を実現しています。手ぶらで帰ると怒られるわけです。現代のようにインターネットがない時代ですから、人から伝えられる情報は今よりずっと重宝されていたのではないでしょうか。

みやげにはお札やお守りなど実際の品物だけでなく、見聞も含まれます。当時、人が集まる伊勢には新しい知識や技術も集まりました。農具などの最新の技術や、娯楽の流行、道中記などを持ち帰り、共有することも伊勢詣から帰った人たちは行っていました。

私はこのnoteをみやげにするつもりでしたが、最後まで書いた結果、みやげになっていないと思ったため、別でまとめて共有しようと思います。


これは フェンリル デザインとテクノロジー Advent Calendar 2019 12日目の記事です。

参考




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?