ヨーロッパ旅行記2023夏ミラノ編①
これまでのあらすじ。私の家族の半分はストックホルムに住んでいるので、だいたい毎年訪問/里帰りをしているのだった。ご存じのようにヨーロッパの国々は地続きで近く、日本の感覚からいったら国家間の移動は県を跨ぐくらいの感じである…
今年は父が突然亡くなったり、父の死とは関係あるようであまり関係ない引っ越し等が重なりヨーロッパ行きが危ぶまれていたけれど、ある日インスタグラムで目にした
”Woody Allen And His New Orleans Jazz Band”の投稿。なんと私が偏愛するウディ・アレン監督のジャズバンドがこの夏ヨーロッパツアーに出るとのことだった!
ウディ様は御年87歳、いつかNYのカーライルホテルのカフェでウディの演奏を聴くのが夢だったけれど、コロナとハリウッドスキャンダルの飛び火によって、その機会は現時点では与えられていない。なので私はヨーロッパに行く。
ミラノ、アテネ、リヨン、ポルト、リスボン、ローマ、バルセロナ、パリ!手帳と睨めっこしたところ、ツアー初日のミラノだけ、他のスケジュールをかいくぐって行けることがわかった。イタリアのチケット販売サイトでは本人認証が携帯のSMSからしか行うことができず、何度試しても日本からは買えない。スウェーデンの友人に頼んでなんとか売り切れるギリギリのところでチケットを入手。
他の航空会社とは丸の数が違う有り難きエアチャイナで北京乗り換え、8時間。その後はびゅーんとミラノにひとっ飛び!
気づいたらブルーノートミラノ。気づいたらアジア系のお顔は私だけ。でも私は大切に扱っていただく術を知っている。それは言葉遣いとアティトュード、つまりエレガンス。これは長年のヨーロッパ体験で覚えたサヴァイヴァル術。なぜだか公式写真みたいなものを撮っていただく。NFTがどーのこーのということでした。
ライブは最高だった。ほんとうに素晴らしかった。詳しいライブレポはたぶんまた別枠でどこかに書きます。でもバンドの演奏を聴いて感じたことをひとつだけ書き記しておく。
スタンドアップコメディアンとしてステージに立つウディ、映画を撮るウディ、映画に出演するウディ、バンドリーダーとしてニューオリンズジャズを演奏するウディ。全てはひとつでした。
彼はクラリネットを吹くように映画を撮り、スタンドアップコメディアンのように演技し、映画を撮るようにクラリネットを吹いていました。そこに存在していること、何をやっても美しく、可愛く、チャーミングで、セクシーでした。
一筆書きで水墨画を描くように切り裂くクラリネット、吹いていないときの弛緩…というよりも、生きているのかしら?というほどの空の時間。あのとてつもないアンバランスが、彼を美しくしているのかもしれません。それは、彼が彼自身であり続けているからです。誰もが自分自身を生ききっている限り、その人はほんとうに美しい。
私の人生の中には数奇な運気があり、私に大きな影響を与えてくれた人たち全員に会ってきました。だからウディにも絶対会えると思っていました。そのうちソフィア・コッポラ監督にもお目にかかれたりして。続く…
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