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読書感想文~ほめるのをやめよう

こんにちは、ともです。
「ほめるのをやめよう 岸見 一郎 著」を読みました。アドラー心理学についてのヒット作 嫌われる勇気の著者の本です。
アドラー心理学では、人を貶すことはもちろん、褒めることも良しとしません。「褒める」という行為は立場の上の者が下の者に対して行う行為であり、アドラー心理学においては全ての人は対等であると考えられているからです。
仕事においてはたとえ上司であっても、部下を褒めることは認められていないのです。
そこで、アドラー心理学に基づいた上司のあり方、リーダーシップについて、著者が考えがまとめられています。

・民主的なリーダーシップ
・僕の個人的な経験
・リーダーに向いていない?
・リーダーがするべきこと、してはいけないこと

・民主的なリーダーシップ

では、リーダーとしての正しいあり方は何なのか、それを一言で表したのが「民主的なリーダーシップ」です。リーダーと部下は対等であり、「力」で率いるのではなく、部下を認め、尊敬の念を表す言葉で協力関係を結ぶことを目指すべき、というものです。叱る・褒めるというのは、上述の通り対等ではない関係で行われることであり、「力」で率いることになります。では、部下を認め、尊敬するとはどういうことなのでしょう?

本書では、その具体例として、部下に敬語を使ってもいいことや、「ありがとう」を伝えることが挙げられています。考えてみると当然の事ですよね。自分が部下の立場なら、上司から敬語とは言わないまでも、命令されるよりお願いされる方がやる気が出ます。上司に「ありがととう」とお礼を言われると、素直に嬉しいです。

・僕の個人的な経験

僕は元々小児科医を目指していましたが、働き始めた後に救急医へと進路を変更しました。救急医療に魅せられたのもありますが、小児科での人間関係に失望したのも大きな理由のひとつです。
研修医として小児科で勤務していた頃、まさに「力」で率いるタイプの上司ばかりでした。知識が足りなかったり失敗すると叱られますし、勉強していくと褒められました。初めての検査手技を「失敗していいと思うなよ」と言われた時には驚きました。そのような上司の元で働くと、日に日にやる気が無くなっていくんですよね。「仕事に取り組む勇気」が削がれてしまうんです。力不足の自分が原因でしたので上司のせいとは言いたくないですが、アドラー心理学の考えとは合わない人であったと思い返します。
それに対して救急科は、少なくとも自分が仕事に貢献しているという「感覚」にさせてくれる場でした。仕事の方針について「任せた」「好きにしろ」と言ってくれて、「責任はとる」と断言してくれる上司は偉大でした。その言葉が仕事に取り組む勇気を与えてくれたのだと思います。
今、僕は少しずつ部下(研修医)が一緒に働いてくれる立場になり、小児科にいた頃の僕と同じような嫌な思いをさせないよう努力しています。部下へ敬語を使ったり、「ありがとうございます」と伝えること。場合によっては「任せるね」と言って放置してみること。自分が心がけていた事が本書でも挙げられていて嬉しくなりました。

・リーダーに向いていない?

ここでは、リーダーになることに自信を持てない心理について記載します。僕も元々「後輩」というものが苦手でどのように接したらいいか分からず、リーダーとして振る舞うことに自信を持てません。それが、この本のタイトルが目に止まった理由でもあります。
本書では、アドラーの教えに基づき、自分がリーダーに向いていないと思う目的は「リーダーとしての仕事で失敗した時に、自分がリーダーに向いていないことのせいにするため」とされていますが、それを承知の上で敢えて僕は「苦手」だと名言します。
自信は持てませんが、少しずつ部下を持つ立場になってきているので、そうも言ってられません。本書では、リーダーの素質についてエピソードを引用していくつかヒントが挙げられており、参考にしたいと思います。リーダーとして自信を持つ必要はなく(自信のあるリーダーは、問題発生時に独断での行動が増えたり、自分を改善する余地を検討しない)、部下を含めた仲間に正しく助言や協力を仰げるのが重要である、という事でしょうか。

・リーダーがするべきこと、してはいけないこと

ここまでの所で、部下を尊敬し、信頼することなど、リーダーとしてのあるべき考え方を学びました。しかし、概念だけでは実践には移せないため、リーダーのするべきこととしてはいけないことの具体例がいくつか語られていました。
〈するべきこと〉
①自分に出来ることを考える
組織に問題が起こった時には、部下や他の仲間が原因ではなく、自分に原因があるとして、対応を考えることです。人を操ることは出来ないので、自分に原因を見出して改善することが、唯一の解決に繋がります。

②笑いのある職場を作る
失敗したら怒られるような職場では、部下は本来の力を発揮できません。ふざけた空気感が必要なわけではないですが、リラックスして仕事に取り組める環境を作ることが、リーダーの仕事のひとつでもあるでしょう。そのためにリーダーは、きちんと睡眠を取ったり体調を整えたりして、元気な姿で出勤しなければなりませんね!

〈してはいけないこと〉
①嫌われてはいけない
上司の「嫌われる勇気」は、指導やパワハラの言い訳か、必要なことをきちんと伝えられないなどの部下への対応の問題を諦める言い訳として使われてしまいます。リーダーには、例え下手でも必要なことはきちんと説明したり、リーダーとしての仕事をこなそうと努力する「不完全である勇気」が必要です。

②部下のせいにしない
これが本当に難しいですが、大切なことだと思います。上司は部下を信頼して仕事を任せるが、部下のミスは上司の責任となる、という事をきちんと理解しなければいけません。僕自身も上司から責任を押し付けられそうになり反発した経験がありますが、本当に1度で信頼を失います。「責任はとる」を実践できるリーダーになりたいです。


今回は以上です。アドラー心理学に基づいたリーダーのあり方について見ていきました。僕の理想のリーダー像に近い助言が多く、大変参考になりました。今後は毎年部下が増えていく仕事ですので、何度か読み返して自分の振る舞いを振り返りたいと思います。

感想文で紹介できたのはほんの一部です。部下との接し方に悩んでいる方はもちろん、人間関係の悩みを抱える人皆さんに読んでほしい1冊です。ぜひ!

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