2020.3.5 食べたものが身体になるとは言うけれど

健康診断に行った。場所は六本木の小綺麗なとあるクリニック。普段の平日の六本木を知らないけど、街は人が少なくて、きっといつもよりだいぶ静かなんだろう。コロナ対策の張り紙や消毒液がそこら中に置かれている。待合室で呼ばれるのを待ってる間に「世田谷の保育士さんで感染者が出た」というニュースで保育ママさんメンバーが騒然としている様子がメッセージで送られてくる。いよいよ身近に迫ってきたなという感じだ。

30歳に突入したので、今回ははじめてバリウム検査があった。まずいまずいと聞いていたバリウムは味はそこまでまずくはなかったが、粘土の高い液体を一気に飲み込むという行為そのものがしんどくて吐きそうになった。そして、まずい液体を飲み込んだあとは、回転する台の上にしがみついてごろごろごろごろ転がったり、傾けられたり、胃の中にまんべんなく薬剤が行き渡るように動き回る。言われたとおりに回転しながら、身体の中も重力の影響を受けるんだな、という当たり前のことに気づく。

健康診断は健康なうちはきっと何も引っかからないし、いつも流れ作業のように感じるから、前日や当日の食べ物や飲み物の決まりごとがどこまで影響あるんだろう?と毎回思ってしまう。たとえば普段はごはんを食べてから何時間くらいで胃の中が空っぽになるのかとか、直前に飲んだ甘いジュースが身体にどういう影響を与えるのかとか、繊細に意識することはほとんどない。それが、健康診断の時にだけ、翌日の検査結果に大きな影響を与えるというのがなんだかよくわからない気持ちになる。スポーツしてる人や鍛えている人は、もっと摂取したものがダイレクトに身体に反映する実感をもっているんだろうか。正直、ダンサーだった頃にもそれはよくわからなかった。

そんなふうに日頃ぼんやり生きてるだけの私達は自分の身体の中身についてだってものすごく鈍感なのに、医療関係者はIT関連の人がプログラムの挙動を把握しているみたいに、他人の身体に何をしたらどうなるのか、人間の普遍的な構造を把握しているんだと思うとすごい。自分の意思で一応動かせる自分の身体の外側の動きだって、こんなにも思い通りにならないというのにね。

そんなことをぼーっと考えているうちに健康診断はつつがなく終わって、特にその場では異常を指摘されることもなかった。変化といえば、血圧が下56上89で低血圧がより悪化していたことと、なぜか身長が1cm位伸びていたことと、体重は大学時代と変わらないのにウエスト周りが5cmくらい増えていたことくらいだ。

もうすぐ31歳なので、そろそろ食べる内容と適度な運動と規則正しい生活週間、に気をつけなければいけないのかもしれない。「生活習慣の改善に取り組んでいますか?」という問診の質問に、いつまでも「いつかやろうと思う」に◯をつけているけれど、そろそろQOLを上げるにはそこに取り組むしかなくなってきた気はしてる。うーん、でもやっぱりまだあんまりそれがどのくらい直接影響するのか、実感としてわかっていないんだよな。それはなんだかんだ言ってまだ若い、というだけなんだろうか。もう少し歳を取ると、あの頃からやっておけばよかった、と思うのだろうか。

たのしいものを作ります