バツイチになって初めて知った社会人男女の「食事に行きましょう」から始まる関係について

私がまだ既婚者だった頃、独身の友人たちの恋愛の話をこっそり「下界」と呼んでいた。

結婚すると、当然のことながら恋愛市場のプレーヤーから抜けることになる。

すると、いろんな人の恋愛の相談や報告を外から眺めて聞くだけの人になるのですね。もう当事者になることは(結婚生活を脱落or法的にアウトな関係にならない限りは)ないし、一応の恋愛のゴールとされている結婚をした、ということでいわゆる「アガリ」の状態になるわけです。

や、まあもちろん結婚はゴールではなくスタートだよ!とか本当にアガって勝ち組になれるのかとか結婚してないから負けとかそういうんじゃないだろとかいうツッコミはいろいろあるかと思いますが、単語の響きのしっくり感からそう呼んでただけなので怒らないでね。今回のところは細かいことは置いておいてね。


とにかくその蚊帳の外感のある既婚者から見る独身の恋愛への視点を「神々の視点」恋愛市場を「下界」と呼び、そして下界ウォッチングを「暇を持て余した神々の遊び」としてしばらくは楽しんでいたのです。


しかし、そんな折に紆余曲折あって、離婚。

優雅な神々の世界から人間世界へと強制送還され、3、4年ぶりに下界へと華麗なる出戻りを果たしました。


そして数年ぶりに恋愛市場に帰ってきて、そんなにまともに参加しているとは言えないのですが間近に見るようになって、その世界の様変わりっぷりにちょっとびっくりしています。


私は大学卒業してわりとすぐに結婚したもんだから、社会人の恋愛というのを経験していないのです。

だからもうすぐ27のアラサーとなった今、バツイチ子ありという重傷を負いつつ悪夢のような結婚生活から命からがら帰還して、20代最初を過ごした懐かしい故郷にたどり着いたらすっかり別世界だったなんじゃこりゃ!!というような衝撃を受けています。



隣に5分いたら人を好きになるような学生時代の恋愛。将来とか特に考えずに好きだから付き合えたあの頃の恋愛。その純粋でピュアで香ばしいもの、それが恋愛だと信じて疑わなかった若かりし日の私。

特に大それた計画や努力をしなくとも、自然発生的にロマンスの神様が降りてきてFall in LOVEに発展していたあの頃。

そんな時代はとうに過ぎ、社会人の恋愛というのはお互いをほとんど何も知らないところから


「お食事に行きましょう」



から始めなければならないのだということ!!!


これ、結構難易度高くないですか?

だってそもそも、お互いのことそんなに知らないのに、そこから「二人きりで」「長い時間を一緒に過ごす必要のある」食事に行くのって、最強レベルのコミュ力を要求されると思うんですよ。

っていうか、ご飯に誘って断られないって結局お互いにある程度「アリ」じゃないと起こりえない関係なわけで、そこまで一体どうやって持っていってるの?

みんなこんなことを普通にやってるん?すごくない??めちゃコミュ力高くない??

恋愛の基本戦略を「彼女候補圏外の仲の良い女友達からの昇格」として過去戦ってきた私といたしましては、この友達段階をすっ飛ばしていきなり勝負を仕掛けるような社会人恋愛ルール、これはもうお手上げです。白旗振るしかないですわ。こうさーん!


「なかなか恋人ができない」

「結婚したいのに相手がいない」


という下界の悩みを、まだ既婚の頃はそっかー大変だねーくらいに聞いていました。

それどころか、みんな理想が高すぎなんじゃねーの?自分を高く見積もりすぎて選り好みしすぎてるだけなんじゃねーの?

なんて思っていた。

だけどそうではなくて、単純にステージが進んで難易度が上がっているだけのような気がする。学生の頃に私がいたのはトキワシティくらいで、倒した敵はせいぜいビードルとかコラッタくらいだったのかもしれない。

社会人恋愛は一気にセキエイ高原で四天王に挑戦するレベルなんですよね。大変ですね。

既婚者として余裕ぶっこいてました。

調子乗ってました、失礼いたしました。





ま、とはいえ今の私の状況だと下界に降りたもののあまり積極的なプレーヤーではないので、その攻略をしようという気はあまりなく結局蚊帳の外なのは変わらずなんですけどね。

仮に男性と飲みに行こうとなったところで、わざわざバツイチ子ありの女性に積極的に行こうなんていう男性はおそらく多くはないので、逆にお互いに緊張感なく、「(この人と何かが起きて付き合うかも?)」なんてハラハラせずに普通に楽しく会話して過ごせるのでそれはそれでいいなと思ったり。

男女をあまり意識しない、人としての付き合いをバツイチになって作りやすくなるような気もしている。どうだろう。


このへんの社会人恋愛の話を一緒に飲みに行く人に聞いて回るのが新たな下界での遊びになっているので、しばらくはウォッチングを続けます。


死神ばりに下界に降臨した今、かつての神の視点を活かして、今後の身の振り方を考えたく存じます。


ウォッチング対象となってくれる方、ぜひ一緒にお食事に行きましょう。




たのしいものを作ります