はじめての本ができるまで③〜妊娠期間中の執筆活動について&参考にした書籍のまとめ〜
どうもちょっとお久しぶりです、早です。
先日、8月17日(水)に無事娘を出産しました!
本の執筆期間にちょうど妊娠しており、なぜか本の発売の直後に出産予定日、という謎の怒涛スケジュールになってしまっていましたが、なんとか乗り切りました。同時期に二重の産みの苦しみを味わうことになりましたよ。本当になぜなの。
今週でちょうど出産から4週間で、もうすぐ1ヶ月検診があります。産後全てのことを夫(育休中)に丸投げしてぐーたらできたので、そろそろ出産のダメージもだいぶ回復してきたかなーという感覚です。
ということで、ぼちぼち続きを書いていきますよ。
書籍発売にあたり、これまでの経緯や考えていることをnoteで更新しています。
1回目、2回目はこちら
販売中の本はこちらです!
きっかけはSNSのDM
自分が本を書くなんて想像もしておらず、まずはインテリアコーディネートの実績を積んだり、SNSの発信を増やしてそれから何かしらのノウハウをまとめられたらいいな……なんて思っていた、2022年初。
突然、各種SNSにDMが届きました。
過去のnote記事や寄稿記事を見て連絡をくださったようで、私の「海外みたいな部屋づくりのノウハウ」を書籍化しませんか、とのこと。
連絡をくれた出版社は大和出版さん。
たまたま、少し前に同じ出版社からエッセイ本を出版した物書きの友人がいて、あそこの会社か〜という安心感もあったので、すぐに一度オンラインでお話しすることになりました。
ただ、「本を出しませんか?」という話が来たもののいろいろあって出版に至らなかった、というケースもけっこう見聞きしていた(前職がメディアスタートアップ企業なので、その業界の知人友人は多かったりします)ので、実はきちんと話を聞くまでは本当の話なのか? とだいぶ疑っていました(笑)。すみません。
1時間ほどオンラインで会話をして、担当編集さんからかなりしっかりとした企画書を見せていただき、熱意あるオファーをいただいてはじめて、「あっこれマジな話なんだ」と気づきました。そりゃそーだ。
えっいま書くんですか? まじで? それ私でいいの? というのが最初の感想。
嬉しい気持ち半分と、書きためた原稿もないのにいきなり書き下ろしの単著なんて本当に書けるのか?という不安が半分でした。
さらに、冒頭でも書いたようにお話いただいたタイミングが妊娠判明とほぼ同時でして、つわりらしき症状が出はじめてきた時期だったのもあり、手放しで喜んで引き受けたというよりは「ひとまずできるだけやってみます」というあいまいなお返事をした記憶があります。(これもすみません……。)
つわりの体調不良と迷走期間
そうして、不安を抱えつつも本づくりがスタート。
いただいた企画案を元に構成案を私から改めて提案し、方向性のすり合わせを何度かやり取りしてからいよいよ執筆をはじめました。
最初の予定では、引越しシーズンの春の刊行を目指して2月中ばにはひととおりの原稿を、というお話でした。
しかし、スタート時点ですでに1月末。〆切まで1ヶ月を切っている上に私はその頃ちょうど妊娠10週前後で、つわりがどんどん悪化していました。
はじめの数日こそ体調がマシなタイミングになんとか原稿に向かってみたものの、すぐに本業の会社仕事すらままならない状態になっていき、ぶっちゃけ執筆どころではなくなりました。
とにかく常に気持ち悪い、だるい、なんだか全部がしんどい。
仕事もベッドに寝ながらクッションにPC乗せてやって、そのまま画面OFFでZOOM会議とか出てました。在宅勤務だから休みながらも最低限できたけど、出社だったら休職するしかなかったかもしれない。
そんな感じで、日々の最低限のタスクをこなすのも難しい状態で、もちろん原稿など捗るわけもなく。
書かなければとは思うものの、PCに向かうだけでしんどい上に、妊婦ネガティブメンタルでどんどん「私に書けるノウハウなんてなんもないです……ぜんぶ無理です……」というモードに。
せっかくの出版のチャンスなので、今が頑張りどき!! と馬力を出したいところだったんですが、もうね、そういう問題ではなかった。全世界のみなさんに知っていてほしい、妊婦の体調不良はやる気の問題ではありません!
どうにもこうにも頑張れず、なんでよりにもよって今なんだーと自分のタイミングの悪さを呪ったね。昔から、なんでかハードモードなできごとが同時期に重なりがちな人生……。
そうして、体調が悪くて無理そうです、とひたすら編集さんに連絡していたらずるずると時間が過ぎていき、このままだとまずいな一書けないなーと思っているところにさらに追い打ちをかけるように別の体調不良を併発し、2月末に一週間の入院をするはめに。
このへんの、体調不良と書けない時期が重なった時はなかなかしんどかったです。
無事に退院してからもしばらくはそんな調子で、書けない罪悪感と体調の悪さで私からの連絡も途切れ途切れにしてしまっていたので、もうこの話なくなっても仕方ないかも……とまで思っていました。
なるほどこうして出版の話が頓挫していくのか、と身をもって知るという。
そんな感じに不義理を続けていたにもかかわらず、担当編集者さんは「ぜひ一緒に本が作れたらと思っているので、体調回復されるまで待っています」と言ってくれました。
ここで根気強く待っていてくれて、書けなくてもこまめに声をかけてくれた編集者さんの熱意がなかったら、きっと本当にこの出版話は立ち消えになっていたはずです。
ありがたすぎて頭が上がりません。書籍の編集者というのはすごい仕事です。
役に立った参考書籍まとめ
そんなこんなで、順調とは言いがたい走り出しでしたが、妊娠20週を過ぎた4月なかば頃には体調も安定してきたので、8月刊行を目標に仕切り直しをすることに。
これだけ待たせてしまったしそろそろ本気で書けないとヤバイ、と元気も出てきたこともありやっとエンジンがかかってきました。
でも、書きたいことはたくさんある気がするのにいざ言葉にすると迷走してなかなかまとまらず。
何度か原稿を仕上げて送ってみたものの、自分自身でもなんだかしっくりこないし、編集さんからもたぶんもうひとつのところでイメージしているものとズレているんだろんなーという印象のフィードバックをいただいており、試行錯誤が続きます。
これはちょっとやり方を変えないと書けないぞ、ということで、とりあえずいろいろなインテリアの本を読み返し、あらためてインプットをしてみました。
ここでいろんな書籍を参考にしたことで、私のインテリアについての考え方を整理し直すことができたので、やはりインプットは大事。
たくさん読んだ中でも、私の部屋づくりと執筆に大きな影響を与えた本を挙げると、以下のタイトルになります。
これらの本はこの度刊行した私の本と合わせて読んでもらえると、より部屋づくりについての理解が深まるはずなので、もし興味があれば手に取ってみてください!
『人生がときめく片づけの魔法』(近藤麻理恵 著)
言わずと知れた大ヒット片付け本なので、すでに読んでいる方も多いかもしれません。本の中でも触れましたが、私がインテリアにハマるきっかけは、まずはこの本の通りに部屋の片付けをしたことでした。
片付けたあとの部屋を、どうやって自分の満足いく空間に仕上げればいいんだろう? と疑問に思ったのが、海外みたいな部屋づくりを研究し始めた理由です。
そういう意味でもすべての原点になった本です。
『今あるもので「あか抜けた」部屋になる』(荒井詩万 著)
部屋づくりのノウハウをわかりやすく、簡潔に教えてくれる情報としては、この本がいちばんだと思います。
タイトルの通り、いまあるもので、買い足さずになんとかする、というコンセプトなので、配置や組み合わせに重きを置いた内容です。
私の本はどちらかというと「どうモノを選んで、効果的に部屋のアイテムを増やしていくか」にフォーカスしているので一見正反対のようにも思えるのですが、最終的にはこちらの本で書かれているようなノウハウも使って部屋を完成させているので、実際は共通する部分も多いんじゃないかなと。
同じ山を別のルートから登っている、というイメージ。
この本がいちばん王道の登りやすい道だとすると、私の本は景色重視のマニアックなルート、みたいな感じでしょうか。
『北欧式インテリア・スタイリングの法則』(フリーダ・ラムステッド 著)
北欧のインテリアデザイナーが実践しているノウハウを、事細かく分類して解説してくれているのがこの本です。なんとなくこうだろうな、と思っていたことが明確に理論として確立されています。けっこう盛りだくさんで専門的な話もたくさん出てくるのでちょっとハードルが高いのですが、その分間違いのない一冊。
はじめて読んだ時は、「自分が試行錯誤の末に実践するようになった方法を、北欧のプロもやってるんだ!!」と答え合わせができたような気持ちになりました。いまいち自分のやり方に自信が持てずにいたのですが、執筆期間にこの本に出会えたことで自信を持って書き進めることができるようになったと思います。
『初めてのインテリア名作・定番チェアの本 』(Real Design編集部 著)
この本は、ずっと前にはじめてインテリアについて調べよう、と思った時に手に取ったものです。名作と言われる椅子がとてもわかりやすく解説されています。
高級な名作家具を揃えなくてもおしゃれな部屋はつくれる、とは思っているのですが、とはいえインテリアデザイン界で定番になっている作品をざっくりとでも知っておくとコーディネートの解像度が上がります。
『間取りの方程式』(飯塚 豊 著)
どちらかというとリノベのために読んだ本なのですが、インテリアコーディネートにも役に立ちます。人が生活する時の基本的なサイズ感を把握しておくのは大事。
特に、インターネットで実物を見ずに物を買う時などには、数値からだいたいの適正サイズをイメージできるようになっていると失敗せずに済みます。
『インテリアコーディネーター1次試験合格教本』(HIPS合格対策プロジェクト 著)
『スケッチ感覚でインテリアパースが描ける本』(中山 繁信 著)
この3冊は2020年にインテリアコーディネーター資格を独学で取得した時に勉強に使ったもの。
内容は内装に関するものがメインではあるので、家具や小物のコーディネートだけならすべて知っている必要は必ずしもないのですが、一般的な知識の全体像をとらえるためにはひととおり学習しておいてよかったなと思います。
インテリアパースとはインテリアの完成イメージを表すためのイラストです。コーディネーター資格を取るにはこのインテリアパースと平面図を描く実技の試験があり、インテリアコーディネーターをやるなら必須のスキルです。これを学んだことで、頭の中のイメージをきちんと現実的なビジュアルに表現して考えることができるようになりました。
BRUTUS 居住空間学シリーズ
BRUTUSの居住空間学シリーズはバックナンバーも含めてほとんどを集めています。デザインの引き出しを増やすのにも役立つし、何より素敵な部屋の写真を眺めるのは楽しい。
POPEYE 部屋とシティボーイシリーズ
私が理想とする部屋のイメージにもっとも近いのが、このPOPEYEが特集する「シティボーイの部屋」なのです。
いい部屋とは何か? に言及した最新刊冒頭のこの言葉は、私の目指しているものをまさに言い表している気がします。
『自信のない部屋へようこそ』(雨宮 まみ 著)
こちらはインテリアのノウハウ本ではなく、一人暮らしの部屋をめぐる雨宮まみさんのエッセイです。
インテリアを楽しむ、というと、どうしても家族がいて大きな家を買わないと難しいようなイメージがありますが、独身一人暮らしでも、若くても、お金がそんなになくても、部屋を楽しむことはできるんじゃないか? ということをずっと考えていました。そんな気持ちを代弁してくれるような本。
妥協したものばかりの暮らしへの葛藤、好きなものをひとつひとつ集めていく楽しさ、雑誌みたいなおしゃれな部屋ではなくても自分なりに愛着を持てる部屋を少しずつ作っていけばいいんだ、と思うまでの気持ちの変化など、「暮らしを楽しむ」ことに対して気づかずに持っていた思い込みをほぐして、新しい視点をくれるエピソード集です。
『取材・執筆・推敲 書く人の教科書』(古賀 史健 著)
原稿を進めていくうち、インテリア関連の本だけでなく、そもそも「文章を書く」ことそのものへの理解もぜんぜん足りていないのでは? ということにも気づきました。そこで、私がブログを書きはじめた当初からずっと参考にしている文章の先生、古賀史健さんの最新図書もじっくり読み込んでみました。
この本は、ある程度まとまった長さの商業的文章を書く時に必要な心がまえの全てが書かれています。
今回私が書いた本の長さは、だいたい5万字前後。これまでも文章は書いてきましたが、どんなに長くても数千字が限度で、数万字の原稿なんて未知の領域です。
そんな、長い原稿って、そもそもどうやって書くんだ? という状態だった私ですが、この本を読んでいくうちに、この通りに考えて書き進めていけば、なんか1冊書けそうな気がする……! という気持ちになってきました。
私が書く意味があることだけ書けばいい
最初のうちは、インテリアのことを書くなら、この観点についても触れなければいけないんじゃないか? と思って一般的な知識であるとか、家そのものを選ぶ段階からの注意点とか、あれもこれもと広く浅く詰め込んでしまっていました。
でも、そもそも私はプロとしてのインテリアの経験が豊富なわけでもないし、専門知識のようなことを書こうとしても、本やネットで仕入れた薄っぺらい情報になってしまいます。何回かの原稿フィードバックのやりとりを重ねるうち、そういう他のところでも読める情報や、私が書く意味のない部分については書かなくていい、ということにある時気づきました。
いまの自分の部屋を、自分の好きなもので溢れた海外みたいなセンスある部屋にする。そのために私自身が実践して役に立った、絶対に必要と思えるノウハウだけに限定して、それを素直に書いていけばいい。
それがわかった瞬間にばーーっと視界が開けて、そこからはどんどんと書き進められるようになったのです。それまでに書いた原稿も3割くらいはバッサリ切り捨てることになりましたが、結果的にしっかり密度のあるものに仕上げることができたと思います。
体調管理とNotionでの執筆スケジュール管理
最終的に、実質の執筆期間は4月末〜6月末までの2ヶ月程度でした。
4月末〜5月末の一ヶ月である程度メインの部分を書き上げて、6月中にはじめに・おわりに、などの前後の部分と写真の再撮影、構成の手直しなどをしていました。
6月末を最終出社として本業の会社員の仕事もラストスパートに入っていたので、この時期ばかりはしっかり自己管理をしないと確実に死ぬ、と思って人生で一番ちゃんとした生活をしていたと思います。
夜は23時ごろまでに寝て、朝6時ごろ起床、朝ごはんを食べてから7-9時まで本の作業、9:30-18:30まで在宅で会社の仕事。終わったら即ごはんを用意して食べて、たまに散歩とか行って、そのあとお風呂に入ってはやめに寝る。という感じ。
基本的には毎日のお風呂もめんどくさい、ごはん食べるのもめんどくさい、夜ふかしして朝はギリギリまで寝ている、という人間だったんですが、本当に追い詰められると人は変われるものらしい。
人生33年にして気づいちゃったんですが、きちんと生活すると健康だし、健康だとコスパがいいんですよね……。早寝早起き、3食しっかり食べる、湯船に浸かる、毎日ちょっとは歩く。それがいいなんてことは知っていてもさっぱりできなかったのに、いざやってみるとそのほうが断然楽だなんて。もっと若い頃から気付けばよかったよ。
安定期に入ってからはだいぶ体調が良かったのと、こうしたかなり健康的な生活を心がけたので、この期間はだいぶ生産性が高かった気がします。ちなみに会社の仕事も、この時期のほうが普段の健康体のときよりもいろいろと成果が出ました。余裕がある時よりもやることが多いほうがなぜか捗ったりしますよね。
(注:これはたまたま私が妊娠安定期に体調が良かったことや完全在宅勤務が可能だったことなど、いろいろなめぐり合わせやタイミングの結果なので、妊娠期にあんまり頑張りすぎるのは基本的におすすめしません。そして妊婦でもそのくらいできるんだね、とは思わないでほしいほんとうに! 個人差と環境差にかなり左右されるものなので)
それと、執筆ペースを維持するために、Notionで原稿の進捗スケジュールを作って管理していました。締め切りから逆算して途中経過の目標を決めて、いつまでにここまで書けていないとやばい、というのを可視化するようにしました。
これを早い段階から計画していたおかけで、最後のほうで間に合わない!!ってなることなく一定のペースで進めることができました。通常時だったら無理して睡眠時間を削ることで帳尻を合わせたりしていたと思うのですが、無理が効かない妊娠期だったことがむしろ良かったのかも。
このあとゲラの確認などもろもろのチェック作業などを経て、7月半ばすぎに見本の完成、8月4日に配本で本が世の中に出回ることになりました。
現時点ではやくも発売から1ヶ月以上が経過。配本から2週間ほどで出産となり、著者が大々的なプロモーションに動けない……というスケジュール感の中で、できる限りのことをやっていただいた出版社の編集さん、営業さんには大変感謝しています。
おかげさまで紀伊國屋書店 新宿本店はじめ、インテリアの棚のある書店を中心に大きく展開していただいています!
本のジャンル的にも、急にたくさん売れるようなものではないかなとは思っていますが、必要な人に届いていくように今後もじっくり取り組んでいきます。
気になった方はお近くの書店、もしくはAmazon等でぜひどうぞ。
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