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「なりたいものになる」より「何をして毎日を過ごすか」 『生きのびるための事務』 読書メモ2024.07.10

ここ数ヶ月、育児等のドタバタですっかり書けなくなっていたので、リハビリとしての日記。


『生き延びるための事務』(坂口恭平 著)を読んだ。

内容をかいつまむと、「自分の理想の1日のスケジュール」と「その中でする活動による収入の内訳」をノートに書き出して明確にしていって、それに向かって淡々と事務をこなすように毎日をやっていけば理想は実現するよね、というようなことが書いてある。


これは言われてみれば当たり前なようでいて、意外とできていないことが多かったなと気づいた。

職業や肩書きなど、「何になるか」ということより、「何をして毎日を過ごすか」の方がずっと大事だ。そこの思い違いで、私はこれまで右往左往してきた。


漠然とこうなりたい、という想いがあっても、それを実現するための毎日のタスクがどういうもので、実現した結果何をして日々を送ることになるのかは、ちゃんと理解できていないことが多いと思う。

かく言う私も、かつて「競技ダンスのプロになろう」と活動していた頃、「ダンサーとして踊る自分」は想像できても、その生活を維持するための収入源である「ダンス教室でダンスの先生をする自分の毎日」は、ぜんぜん想像ができていなかった。

プロダンサーといえども、毎日踊っているだけで生活が成り立つわけではない。もちろんそういう人も一握りはいる。でもその人だっていきなりその段階にたどり着いたわけではないはずだ。大抵はそのほかの仕事やダンスを教える仕事など、「自分が踊る」こと意外の何かによって生計を立て、日々の生活を送っている。

社交ダンス界の場合は、プロの多くが「ダンスの先生」をしながら自分のダンスを続けているのが一般的だ。

そして私はダンスはそこそこできても、この「ダンスの先生」の仕事が絶望的に合わなかった。それにダンス教室で働きはじめてから気づいた。少しくらい想像したらわかりそうなもんだが、わからないのである。若かったからね。

毎日何時間も教室の受付に座って、お客さんと話して、掃除して、たまに来るお客さんにレッスンして、営業が終わった後や始まる前のわずかな時間だけ自分のための練習をして、休みの日に競技会に出る。それが一般的な「駆け出しの競技ダンスのプロ」の毎日。

そこには私の好きなものづくりも、創意工夫を発揮する機会も、ちゃんとした睡眠と食事も、何もなかった。

なりたいものになろうとしたら、全然自分の理想と違うスケジュールで毎日を過ごすことになってしまったのだ。

それはかなりしんどいことだったので、案の定半年で「ダンスは好きだけど、ダンサーの生活は無理」と悟って辞めた。


プロダンサーを辞めた後は、それなら自分が好きなものづくりの仕事である「ドレス屋さん」になればいい、と考えてフリーランスでドレス製作業をしはじめた。

これはダンスの先生の毎日よりはかなり性に合っていたが、「ドレス屋さん」として生活を成り立たせるための労働量について見誤っていた。

ドレス屋さんが収入を得るには、当然、一定量のドレスを作り続ける必要がある。ドレスを作ることは好きだったが、毎日何時間もドレス作り作業を続けることは想像以上に身体に負担だった。ものづくりは肉体労働である。しかも誰も代わってくれないフリーランスだ。注文があり、締切があったら、すべて自分で作って完成させるしかない。そしてどんなに頑張っても、残る利益はそんなに多くはない。

そうやって余裕なく作業に追われる日々が、私が送りたかった毎日なのだろうか? ちょっとしんどすぎるのではないか?

今度はそう思って、緩やかにIT企業の仕事とのパラレルワークに移行していくことにした。

本当はちょうどいいバランスで留まって、ものづくり仕事半分、会社仕事半分、くらいのところに落ち着ければよかったのかもしれない。しかし、またこれが極端な私である。いつのまにかフルタイムのIT会社員になっていた。


それ以降の数年間は、会社員としてPCの前でSlackと管理画面の操作をしつづけるデスクワークを平日の8時間行い、それ以外の時間でドレスを作ったりインテリアを作ったり物を書いたりしてきた。

そして今、また気づいた。


結局、労働時間増えてないか!!??


たしかにドレス製作よりはデスクワークの方が身体の負担は少なく感じるものの、フルタイム会社員1日8時間×週5日にプラスアルファでドレス屋さんやそのほかの作業をしているのだから、総労働時間は確実に増えている。時間に余裕が欲しくて会社仕事を始めたのに、いつのまにか会社員仕事の外側にどうやって時間を確保するか? を常に考える生活になってしまった。本末転倒もいいところである。

この敗因は、ある時期から「どうせ会社で働くなら、正社員になりたい」と欲が出て、毎日やることの内容よりも「正社員という身分」を得ることを目的としてしまったことだった。やはりここでも、「何をするか」よりも「何になるか」を優先した結果がこれだ。つくづくこの点に関しては学習しないな!!


でもまあ、それもちょっと仕方がないなとも思う。

だって小さい頃から、「大人になったらなりたいもの」はしょっちゅう聞かれるのに、「大人になった時に具体的にどんな1日を送りたいか」は聞かれることも考えることもなかったんだから。

我々平成初期生まれは(他の世代もそうなのかもしれないが)、ずっと「好きなことで、何者かになる」ことが最高の人生である、と教えられて育ってきた。あらゆるコンテンツが、魅力的なキャラクターをそういうふうに描いてきたから。明確な「何かになる」ことができなければ、自分の人生に意味がないようにすら思えてくるくらい。まあそれは私が影響を受けすぎなのかもしれないけれども、個人的にはそう感じていたのは確かだった。

しかし、令和も6年目の今、そういう平成的価値観は手放したほうが自由だな、と感じている。

令和のヒロイン成瀬あかりも「何になるかより、何をするか」って言ってるし。


だから改めて、毎日何をして過ごしていくのが私の理想なのか、考えてみることにした。


で、考えると案外サクッと「理想の1日のスケジュール」ができたのでここに載せてみる。自分の中では、すでに明確なイメージができていたらしい。

こんな感じ。

現在は昼間が完全に会社仕事で埋まっているので、すぐにこの理想通りというわけにはいかないが、「これが理想なのだ、これを実現できる毎日を目指すのだ」という意識が生まれただけでだいぶやることが変わってくる気がしている。

まずは、昼間の仕事時間(9:00-18:00)の外側にあるところから、理想の1日をやってみることにする。

その第一歩として、5:00に起きて、散歩してコーヒーを飲んで、5:30からとにかく何かを書く、というのを実践したのがこの文章である。理想を実現できると、なかなか気分がいい。

これからできるだけ、毎日このスケジュールを目指して、朝に何かを書く生活をしてみたいと思う。

こんな感じの軽い日記で慣らして、不真面目更新になってしまったインテリアのニュースレターもまた定期刊行できるようにしたい。



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