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ヨーロッパ旅行記(前編)

﨑原は今スペインにいます。現地時間は2月12日16:30。
旅はまだ中盤なのだが、不慮の出来事が起こって命を失ってしまうと記事を残せないので、とりあえず現時点までの経過と感想を記したい。

出発(2月7日)

まず初っ端から寝坊。恥ずかしながら今回が初めての海外だったので、荷造りの勝手がわからずダラダラと先延ばしにしていたら出発日前日の深夜。結局寝るのが遅くなり寝坊するというお決まりパターン。しかし、同行者(以下Tとする)も「うんこをしていたら家を出るのが遅れた」とのことで一安心。2人とも遅れるなら定刻など存在しない。予定より遅れてしまったものの、まだ余裕があったので、成田空港で最後の日本食として「日本の中華そば富田」にて特製つけ麺を頂いた。

腹も満たされたところで、チェックインも済ませ搭乗。12:20発の便でMadridに向かった。
「機内は快適」とのことだったが、ここから14時間のフライト。14時間も空中にいることが快適とは思えず、旅が始まらぬうちに帰りたくなっていた。「なんで瞬間移動できねえんだよ」と謎の苛立ちを覚えもした。しかし搭乗してしまった以上、大人しく到着を待つしかない。これが現実。この限られた環境下でベストを尽くすことが機内にいる全員に求められるのだ。映画を見たり眠ったりしつつ、少し対応が雑な機内スタッフとやけに態度がでかい高齢搭乗客たちと共に「快適」な時間を過ごした。

到着、そして1日目(2月7日)

総距離1万kmを超える超空の大移動もついに終わり、スペイン首都Madridに到着した。現地時間は18:30。まず最初の関門と言えば入国審査だろう。

“What’s the purpose of your visit?”
“Sightseeing.”

というやり取りが交わされると聞いていたので、ワクワクしながらゲートへ向かった。しかし、入国審査官は﨑原のパスポートを受け取るとやや荒い手つきで許可印を押し「早く行け」と言わんばかりに一瞥したのだった。恐ろしく速い審査。クロロ団長の手刀を見逃さなかった彼もこればっかりは見逃してしまうに違いない。とにかく無事入国できたようだ。
次なる関門である移動だが、Tがスペイン経験者なので空港からホテルまでの移動は彼に任せておけば問題ない。空港から同じ市内にあるホテルの最寄駅までは地下鉄を使ったのだが、初めて乗ったスペインの地下鉄は少し汚かった。また、スペインの鉄道は自分で開扉ボタンを押して降りるタイプのようでJR高崎線などを彷彿とさせた。突然車両内でラップコンサートが開催された以外は特段日本と変わらぬ車内風景であった。
40分ほどでホテルのあるSol駅に着いた。観光地なのか賑わっていて、どうやらスペイン在住者ではない者も多くいるようだった。駅近くにあるOrangeという現地キャリアの販売店にてSIMカードを購入し現地でのインフラを整え、ホテルへ向かった。あてがわれた部屋は男2人で一泊するには正直狭かった。少し大きなベッドに枕が2つ置かれただけの「ダブルベッド」と手洗い場、申し訳程度のクローゼット。トイレと風呂は他の宿泊客と共用。とはいえホテルのクオリティを気にするほど神経質ではないから寝床があるだけ満足だったのだが。ただ最近ホテルに寝泊まりすることがほとんどなかったので、少し驚いた。
そんなこんなで荷物を整理し終わる頃には19:30を回る時間になっていたから、ディナータイムということで近くのエビ料理店へ。スペイン初ご飯はGambas al ajillo(いわゆるアヒージョ)。スペインで料理店に行くと、注文したメニューの他にバケットが付いてくるのだが、それをオリーブオイルへヒタヒタに浸けて頂くと昇天モノの美味しさ。初海外の﨑原に「スペインに来て良かった」と思わせるには充分すぎるほど鋭いパンチだった。ニンニクや唐辛子が効いた中にプリプリのエビがこれでもかと言わんばかりに存在感を主張し、それをオリーブオイルが上手く援護する。なぜそこらへんにあるような陳腐な食材でこれほどまでに強烈な味わいを生み出せるのか。

初手で強力な洗礼を浴びたところで、さらなるスペインを求めて市街を歩く。スペインでは1つの街には必ず中心広場Plaza Mayor(プラサ・マジョール)が存在し、人々の憩いの場となっている。そんなPlaza Mayor近くに構える店をターゲットに定めた。

写真手前からPimientos(シシトウの素揚げ)、Tortilla con patata(スペイン風オムレツの中にジャガイモが入ったもの)の2品を頂いた。両者とも実に味わい深かったが、特にTortilla con patataが心に刺さった。店によって味や卵とジャガイモのバランスが違っていて、シンプルながら無限の可能性を見せてくれる逸品。何度も言うが、なぜそこらへんにある陳腐な食材でこれほどまでに強烈な味わいを生み出せるのか。この国の持つ悪魔的な何かの片鱗を感じられたところでホテルへ帰還。

2日目(2月8日)

時差ボケも抜けきらない2日目。この日はMadrid観光をした後に、スペイン最古の大学が位置し街全体が世界遺産に登録されているSalamancaへと向かう予定だ。
腹が減っては戦ができぬということで、まずはカフェにて優雅な朝ご飯。Pan con tomate(名前の通りパンとトマト)を頂いた。パンにトマトペーストを塗りたくり、オリーブオイルと塩をかけただけの料理。料理と言えるのかどうかすら怪しいほど単純な構成なのに脳が溶ける。もう一度念押しするが、なぜそこらへんにあるような陳腐な食材でこれほどまでに強烈な味わいを生み出せるのか。この国は狂っている。

腹も満たされたところで、次は王宮に向かう。現在王室の方々はここには居住しておらず、公的行事で使う他は一般公開されており半ば博物館のようになっているこの建物だが、かつて「太陽の沈まぬ国」として世界中を支配したスペイン帝国の中枢。当時の煌びやかさを今に伝えている。また、王宮の中に宗教施設があったことが新鮮だった。当時の政治がキリスト教と密接に結びついていたことを改めて感じた。

王宮の荘厳さに影響されてか腹が減ってきたので、早めの昼食を取ることにした。﨑原は美味しかったものを狂ったようにリピートしてしまうという癖があるから、1日目に食べて感銘を受けたGambas al ajilloをもう1度、しかも同じお店で頂くことにした。付き合ってくれたTには感謝である。2回目なのに美味しい。
そしてついにMadridを離れなければならない時間になった。1日目の夜から2日目の昼までの短い間ではあったが、食から街並みまで楽しい時間を過ごすことができた。スペインを走る高速鉄道renfeで次なる目的地のSalamancaへ移動する。
SalamancaはMadridから西へ200kmほど移動した先にある。鉄道では乗り継ぎも含めて3時間ほどだっただろうか。SalamancaにてTの後輩で、現地に半年間留学しているMと合流したのだが、いかんせんMとは初対面なので人見知りを発動してしまった。しかし、夜にはお酒を飲む予定なので多分そこで打ち解けられるだろう。Salamancaは市街地全体が世界遺産に登録されているという恐ろしい街で、なるほど街並みは趣があって散歩が楽しい。Plaza mayorもスペイン随一との呼び声高くかなりの賑わいを見せる。そして街の核をなすUniversidad de Salamanca(サラマンカ大学)はスペイン最古の大学で800年の歴史を持つ名門。石造りの校舎に施された彫刻は鬼気迫るような迫力。こんな大学があってたまるかと思わず溜息が漏れた。大学のお膝元ということで、世界遺産であると共に学生街でもあるため、美味くて安いお店がたくさんある。ビール小瓶が€1(約¥120)、美味しいワインも€2足らずで飲める。料理も同じような価格。また、スペインではいくつかの店をハシゴするのが基本なので日本の1軒目にかかるぐらいのお金があれば、ここでは3軒は周れるというわけだ。日本の有名な学生街である高田馬場も安くて美味しいお店が集まっていると思っていたのだが、Salamancaのこの有様を見ると高く感じてしまう。この日の夜はMが半年かけて開拓した選りすぐりのお店を5つほど食べ歩いた。どこも飛ぶほど美味しく身体がいくつあっても足りないという状況であった。こんな街があるなんて、つくづく恐ろしいなこの国は。

3日目(2月9日)

楽しい夜が明けた3日目。正直2日目の反動からか何もしない日になった。せっかくSalamancaという素晴らしい街にいるのに。コインランドリーで洗濯していたら機械が不調をきたし、我々の2日分の衣類が取り出せなくなってしまったこと以外に話すことがない。結局衣類も取り出すことができたので、いよいよ何もない。Salamancaの空気を吸えるだけで満足、そんな調子であった。夕ご飯には近くのburger kingでハンバーガーを買って部屋で美味しく頂いた。急に手を抜いたように思われるかもしれないが、ほんとにこの程度の出来事しかなかった。

次は美食の街、San Sebastianに向かう予定だ。一体どんな料理が待ち受けているのか...
(後編へ続く)

#日記 #スペイン #旅行記

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