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「マティス展」東京都美術館

2023.06.04

マティスといえばフォーヴィスムの代表として、派手な色彩で油絵を描いていた人…というイメージが強かったのですが、晩年寝たきりになった後に制作された切り絵(ジャズシリーズなど)が、ハンデを全く感じさせない力強さを放っていて特に印象的でした。
フォーヴィスムの荒々しい作品群からは瞬間風速的な情熱を受け取るのですが、やはり活動期間は短かったそうです。周囲が新しい世界へ転向する中マティスもキュビズムに惹かれたこともあったそうですが、最後まで色彩に対するこだわりを捨てなかったとのこと。
感性がしっかりしている人は作品からも主体性が失われることがないのですね。

79歳の頃に手がけたヴァンス・ロザリオ礼拝堂のデザインも彼らしさが色濃く、どこかユーモアもありました。海藻の形を気に入っていたらしく、もくもくした形を随所に配置していましたが、意味するところが謎で…そんなところも素敵でした。
しかし死に向かう直前の作品が教会というのは信心深さや死生観が問われそうです。パッションの人でしたし、あまり恐怖はなかったのかな?

▽best
黄色と青の室内

ここで終わらせられるのが
センスなんだな…と感じました

「座るバラ色の裸婦」
「赤いキュロットのオダリスク」
「赤の大きな室内」
「緑色の大理石のテーブルと静物」

くすみカラーが流行っていますが、原色のもたらす根源的なメッセージ性も捨て難いですね。

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