見出し画像

就活初期に聞く「やりたいこと探せ」って不毛じゃない?

就活を始めて間もない学生から「やりたいことが無いんです…」
そうやって相談を切り出されることが多い。

1. 就活スタート期に聞く諸々

就活をスタートしようと思って情報収集を始めると、途端に情報の渦に飲み込まれる。SNSでちょっと就活のことを調べようもんなら、おすすめでやたらと就活関連情報が上がってくるようになる。最初の関門である。

そんな中で、いろんな人が就活について発信していて、いろんな意見があることが見えてくる。あっちではこう言ってるけど、こっちでは違うこと言ってる…どういうこと?!と混乱する学生も少なくない。第二の関門である。

「自分のやりたいことを探ってみてください!」先日もそんな案内をしている人を見かけたが、就活初心者の学生にとって「(仕事として)やりたいこと」を探すことほど難しいことはない。第三の関門である。
(だってサラーリーマン/OLやったことないんだから)

2. やりたいことの意義とは?

私も学生に対して「何かやりたい事とかないの?」と聞くことはあるが、たいていの学生が「特にないです」と答える。「仕事とか関係なしに、今やりたいことはある?」と聞くと、いくつか答えが出てくる。

「ずっと昔から宇宙に携われるような仕事がしたいって思ってました!」そう言う学生にも会ったことはあるが、その学生は就活において目標が明確に見えているので行動するのみである。

就活で一番厄介なのは「悩む」ということ。何も生み出さない上に時間ばかり取られていき、行動も起こしにくくなる。「悩む」状態に陥れがちな内容が「やりたいことの探索」である。やりたいことを聞かれて、即答できないのであれば、やりたいことは「現状ない」のである。無いものを無理やり掘り起こす必要はないんじゃないかな。

「やりたいこと」が無くたって就活はできる。

「やりたいことの探索」=「就活の第一歩」みたいに捉えさせてしまう伝え方をする人もまだまだ多いのも事実である。「取り合えず、やりたいこと探せ!」というのも定番なフレーズである。

3. やりたいことを持たない場合の対処法とは

さて、明確に「やりたいこと」を携えて社会人になっていく学生はどのくらいいるのだろうか。少なからず私は、新卒の頃に「やりたいこと」は明確に決まっていなかった。

考えてみて欲しい。小学校入学時・中学入学時・高校入学時・大学入学時、それぞれ明確にやりたいことを携えて入学しただろうか。

なんとなく友達が沢山欲しい、部活動やってみたい、勉強したい、遊びたい、バイトしたい、、、などふんわりした考えが多かったのでは?
(勿論、明確に〇〇先生のゼミに入りたい、など目的が明確だった人もいると思う)

小学校入学時に「やりたい」と思っていたことが、大学入学時に「やりたい」と思っているかどうかは、大抵の場合、違うことに興味を示していたのではないかと思う。

「やりたいこと」は、その場その場の環境や、自分の経験値如何によって、変わっていくものである。

営業やりたい!と思って商社に入社したら経理任されました。など配属ガチャなどもある。営業やりたかったのに…と落胆から始まるかもしれないが気付いたら簿記の勉強を始めているかもしれない。

身の回りの環境で変わる「(今は)これをやりたい」という考えについて、就職する前から無理に考えなくたって。

4. 自分に合った仕事を見つけるポイントは?

もしこの企業の従業員だったら、もし営業職だったら、、など、「もし自分が〇〇だったら」というシチュエーションを設定して考えてみると、こんなことやったら楽しそう、こうしたらサボれそう…など、色々と浮かんでくるのではないだろうか。

多くの場合、未知の領域や興味を持たなかったことに挑戦することで、意外な自己成長が生じることも少なくない。「やりたいこと」だけが成長への道ではなく、新たな経験や挑戦も思いがけない成長につながることを是非覚えておいて欲しい。

私は学生によく「やりたいこと」と「向いてること」は違う、という話をする。私自身は今の職場を「向いてること」で選んでいるが、「向いてること」で仕事を選ぶとどんなにつまらない仕事でも、手抜きで仕事したとしてもパフォーマンスは発揮できるし評価が得られる。私は周りから評価されたり頼られると調子に乗るタイプなので、つまらないと思っていた仕事でも気付くと楽しみを見出していたりする。

誰しもが私と同じタイプではないと思うが、常に少し無理して120%でフル稼働しないと業務が追い付かないという場に身を置くと体が壊れてしまう。もし、自分の憧れの仕事にやっと就くことができたとしても、一向に心身が適応しないようであれば、その職に向いてない可能性が高い。

「やりたいこと」と「向いてること」が近ければ近いほど、職業選びは簡単だし、その職に就いたときパフォーマンスも十二分に発揮できるだろう。ただ、そうではない場合、つまり「やりたいこと」と「向いてること」が離れている場合、私個人的には「向いてること」を主軸に考えていった方が後々楽であると考えている。
(HUNTER×HUNTERで言えば、フルで肉体強化したいけど、具現化能力者のクラピカ(黒目状態)にはそれが難しい…みたいなことが言いたい)

おわりに

「向いてること(適性)」と「やりたいこと(興味)」のバランスを見つけることが、より良いキャリア選択につながると私は考えています。

「やりたいことがないんです…」
そうやって自信なさげに相談する学生が多いものの、そんなことに悩んでいる場合ではない。自分自身を客観体に見た時にどんな傾向がある人間なのか、を探求する方が就活においては優先順位は高い。

「やりたいこと」は知らないうちに後からついてくる。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?