詩「空がきれい」

今日という日を宇宙は殺す。
そう伝えるために空は夕焼け色に染まる。
ありのままでいたかったのに、
今日も何かを演じてしまった心の
錆びた香りのなかに思いだす優しさ。
あなたのことが嫌いなわたし。

嘘みたいにきれいだったものは、
基本的にぜんぶ嘘だった。
もうじき絶える今日のなか、
綻ぶ水色のなかに
過去のわたしの門違いを見送る。

(でも空が、やはり、嘘みたいにきれい。)

淡々と殺されてくれる世界で、
ほんの一瞬立ち止まる。
美味しいものを食べて、
きれいな写真を撮って、
あたたかい肌に手を伸ばしても、
それでもまだ救われないものに美しさが宿ると
信じたくなった、こんなわたしの夕暮れに。



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