詩「城」

限られた時間の中で
あなたと過ごすため
本当は限りのないものたちを
バインダーノートに綴じていく
カフェで
わたしの時間を世界の時間に換えて
いつ消えてもいい支度をする

名前がない、ということが
いちばん幸せな状態である気がします
ソーサ―に世界でいちばん重大な秘密が
隠されている気持ちでカップを浮かせる

あしたがない世界より
きのうがない世界にいけたらな
毎日死にたいなんて思わないのに

ショートケーキのイチゴは、最後に食べますか
そもそもイチゴはあまり好きでないけど
あなたが笑ってる
そのことが嬉しいのは
わたしたちにきのうがあるからなのかな
わからないけど

ゆっくりと崩れていく、生クリームの城



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