詩「神の子」

朝陽が嫌いな君のこと
頭の片隅に追いやるようだと
カーテンを開けながら少し思った
ならばいっそ
と思い立ち
窓も開けてやる
頬ではじかれる寒さが
網目の向こうの世界が
君につながっているのかは知らん
知らんけれど空は高くて
もしも君が死んでしまうなら
こんな日がいいと思う
変に湿った日じゃなくて
こんな日に
願うことすら思いつかないような空の向こうに

薄い雲がお絵描きみたいに浮かんでて
あれを描いた子供は
きっともうこの世にはいない
そんな気がする

わたしは
そんな神の子のような子供には生まれなかったから
大人になって
息をする方法を
きちんと忘れました
誰かのためを思って
生きていてほしいと言うことなんて
必ずない
正解のない世界で正しくあり続けるため
生まれてきたことを肯定するしかなかった
わたしたち
生きていてと願うのは
君が神の子になるのが
少し赦せないのかもしれないよね

空が青くて花が黄色い
こんな寒い日のかすかな白さから
春の波が寄せる
クロネコ便のトラックが
脇道を通り過ぎていく
それを眺めながら
一人
朝陽が嫌いな君のこと
思いながら薄い雲を追う
空は遠く遠く広がっていく
そしてわたしは
いつのまにか君の心の
中にいるような気がするんだ



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