詩「流れ星」

胸の奥にひとすじの
流れ星が流れ、流れて消え
これが最後であればいいと思いながら
眠りに落ちた

いらないものなど一つもない
かといって手放し難いものもない
小さい粒になって
ただ底へ、底へと落ちていき
光の速さで擦り減りながら
輝いて、最後に底にコツンと当たる衝撃で
燃え尽きる
そんなはずだった
落ちているあいだは夢なんて見ていなかったよ
ただ感覚がどんどん抜けていき
そのうち光も闇も一緒になってしまうはずだったのにな
見たこともない部屋の見たこともない闇の底で
明けてゆく夜のことを思う
どうして死なないでと祈るたびに
空は白けていくのだろう
宇宙に生きるわたし達は
拡がりつづけ
等間隔に離れつづけ
光る星にふと泣きそうになっている
遠い空っぽはまるできれいな宝石でした
抱いたままあなたは闇へと眠る

中身を大事にされることが憎く、辛く
ただ綺麗というだけがすべての流星群に
わたしもなってみたくなるのだった
たぶん大気圏に飛び込むことも
そんなに怖くはないだろう
目が覚めることほどは

選んで勝ち得た中身なんて
一つもない
いつも諦めてばかりのわたし
もう外の世界になんか行きたくないと
布団に丸まった背中に
流れ星が光ってる



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