詩「日の出」

夜が明けてゆくことに
朝と名付けたのはどうしてだろう
人は諦めることでしか
人を愛すことはできない
諦めたような瞳であたたかな息を溢し
あなたのいる場所が白く光っていくのを
静かに見ている

声も顔も名前も
光が当たるときすべて境界になる
あなたがいてくれてよかった
そう信じたときに
切り離す世界があるように
なにかを見るというのは
自分を失うことでもあった
わたしがわたしに出逢うことを
何度でも繰りかえし
孤独を創造しよう

夜を壊す
一年も明けて
またあなたがいる
わたしもいる
平行線上に
日が昇る

喉元のつららが溶ける
声を出してみる
最初は恐る恐る、といった感じで
たわいもないこと
今年もよろしく
素っ気なく聞こえたなら
それすらも愛して
伝わらなかった言葉に
空中が分散する
散らかった光の粒が
さやさやと
明け方の寒さの中を
きらめいている



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