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声が出なくなった痙攣性発声障害

いつものように歌いながら車で会社へ向かっていた。
昔から歌うことが好きで、車でのその時間は私にとって楽しい時間だった。
ふとした瞬間、急に声が出なくなった。本当に突然だった。
あれ?ふざけて歌いすぎたかな?と思ったけど、特に喉も痛くないし、発熱もない。大きい声で歌っていたつもりもなかった。
それから15分程で会社へ着いたが、声が戻らない。
声を出そうとすると苦しく詰まって出ない感じ。
ふざけ過ぎたのかも…やってしまった…と自責の念のようなものがあり、気持ちはオロオロしていた。
今までも風邪や気管支の炎症で声が出なくなることは何度かあって、その都度治ってきたから声が出ないことへの心配はなかった。

この日の夕方、仕事を早退してかかりつけの耳鼻咽喉科を受診。
鼻からカメラを入れてもらうと、声帯と気管支が真っ赤で炎症を起こしているとのことで、ネブライザーして薬を1週間分処方してもらった。
服薬して4日目くらいに声が出るようになった。
治ったと思っていたら、2週間程して朝起きた時にまた声が出なくなった。
かかりつけの耳鼻咽喉科が休みで、違う耳鼻咽喉科を受診。
鼻からのカメラで診てもらったところ異常はなく、精神的なものかもしれないとネブライザーしてうがい薬の処方で経過観察となった。

3日後、声が戻らないのでかかりつけの耳鼻咽喉科を受診。
鼻からのカメラで診てもらうと、声帯の炎症がもう少し残っているとのことで、最初に処方してもらった薬を2週間分処方してもらった。
2週間しても声は戻らなかった。
再度受診。カメラでの診察で声帯に異常はないとのことで、大きな病院で診てもらうことになった。予約が取れたのは約1ヶ月後。

大きな病院の受診の日、声は戻っていない。
いよいよ何かの病気なのだろうと軽く気持ちを整えて病院へ向かった。
カメラでの診察と発声の検査、問診。
診断結果は痙攣性発声障害の可能性が高い、正確な診断、治療の為に、大学病院を受診してくださいとのこと。
痙攣性発声障害は珍しい病気で、治療できる病院が限られているとのこと。

予約の取れた約1ヶ月後、大学病院を受診。
カメラでの検査、発声検査、問診を経て、恐らく痙攣性発声障害との診断だった。
恐らくというのは、声帯の動き方、発声検査の結果からそうだと思うが、声が出なくなった状態が6ヶ月継続した時に診断が確定されるとの説明だった。この時点で私はまだ約4ヶ月経過したところだった。
原因を尋ねると、痙攣性発声障害は症例が少なく研究段階にあり、はっきりした原因が確定されていない。脳からの声帯への信号に異常があり、声を出そうとすると声帯の筋肉に力が入り過ぎてしまい、声が出ない。空気も出ないので、苦しい感じもある。精神的なことが関係していると言われているところがある。とのこと。
現在、治ることは難しく、治療は、漢方、声帯への注射、手術があるとのことだった。

治療は医師と相談してまずは漢方を処方してもらった。漢方で大分良くなる人もいるとのこと。
次回の受診は約3ヶ月後。

毎食漢方を飲んだ3ヶ月間。私にはあまり変化が出ず、毎食服用することがしんどかった。
声が出なくてもあまり気にしない性格もあって、私の日常生活に大きく困ることはなかった。外へ出ても優しく接してくれる人も多かった。
仕事では筆談を用いていたけど、業務内容によっては筆談で追いつけない場合も多く、段々と無理矢理言葉で伝えることが増えていった。
周りの人も最初は私の発生が聞き取れなかったけど、段々慣れてきたと伝わるようになっていった。
その中で、裏声を出すような発声方法で喋ると少し声が出るようになっていった。

2回目の大学病院の受診。
検査を経て、発症から6ヶ月が経過したのでやはり痙攣性発声障害と診断を受けた。
裏声の発声について、裏声を出す発声はもともと声帯の筋肉を緩めて発声するので、声帯に力が入りすぎてしまう今でも出しやすいのだと思うとのことだった。
相変わらず普通に声を出そうとすると、声は出ない。
漢方の服用がしんどかったので、医師と相談し漢方の服用は一旦やめることにした。
発症から6ヶ月が経過したので注射の治療も出来ますがどうしますかと尋ねられたが、裏声が出るようになってきたのでこのまま様子をみたいですと伝え、経過観察となり次回受診は半年後になった。

人によって症状や程あい、経過は違うと思うけど、私の場合の声が出なくなってから痙攣性発声障害と診断を受けるまでの流れはこんな感じだった。
noteでこの病気についての記事を読ませてもらって、私の場合についても誰かの何かになったらと思い書いてみた。
たまたまかもしれないけど、私の場合は自分で思うに、声が出なくなる約8ヶ月前から仕事がとても大変になり、気持ち的にも体力的にもしんどい日々が続いていたけど自分で気づかない振りを続けていたこと、声が出なくなった日はこれまた重要な仕事の日だったこと、声が出なくなった月にとても悲しいことと自分にショックを受けることがあったことなど、色々なことが重なってしまって、体がもう一旦休みなさい~と伝えてくれたのかなと思う。
本当は、つらかったり悲しいことがいっぱいあったのに、その気持ちと向き合うことが怖くて、気付かないようにしたり、平気なふりを続けてしまった。
休みをちゃんととること、1人で抱え過ぎないこと、つらいならつらいって誰かに伝えてもいいこと、頼りたい時には誰かに頼ったらいいこと、自分を大切にすること、とても大切でちゃんとしていかないとと思った。
生きていると色々なことがあるから難しかったりもするのだけど、これからは前よりかは上手にやっていけたらと思う。

今は声が出なくなって約1年。
仕事を辞めたら声戻るかな~と思って、3ヶ月前に仕事を辞めてみた。
やりたかった事をマイペースにやってみたりする日々を送っている。
今でも普通の発声方法では声は出ないけど、治療は何もしていなくても裏声の発声方法では普通のように出るようになった。
初対面の人や、病気を伝えていない人では病気のことは気づかないくらい。
医師も喋れるなら喋っていったほうが筋肉にもいいと言っていたので、喋るようにしている。次回の受診は11月。
色々調べていると完治した人もいるみたいなので、治ることもあるのかもしれない。
これからのことも考えていかないといけないけど、こんな時間があってもいいのかなと、これからの為にも今は心を緩めて自分を甘やかしている。

声が出なくなり、周りの人に助けてもらったこと、気遣ってもらったことが沢山あって、本当にありがたかった。
私も優しい人でありたいと思う。

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