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紙一重だった「死」

昨日、屋久島で一番ハードと言われる「モッチョム岳」に、一人で登りに行った。
カッコ良かったのと、登った人たちの感想に好奇心が湧いたから。

■夜の山

そこで、下山する前に太陽が沈んでしまった。

「山では、日の入り時間は里より一時間早い」と、後からきいた。

段々と、登山道を示すピンクのテープが見えなくなって、どちらに進めばいいのか分からなくなる。
そんな中でも、「もう少しで下山できるのではないか」という焦りから、不確かながら進みたくなる。

今思えば、その行動は死へのルートだった。
ピンクテープを見失ったら、動かず、そこで止まる。
それができないと、迷って、「遭難」になる。

次にどちらに行くべきか分からなくなり、焦り、辺りもいよいよ見えなくなってきたとき、電話が鳴った。

私が一人でモッチョム岳に登っていると知り心配した、山に詳しい知り合いの男性だった。

電話で状況を説明すると、「動かなくていい。迎えに行くから。」と言われた。

私は言われた通り、どんどん真っ暗になる森の中にただ座り、木の間から満月を見ていた。

しばらくして、彼ともう一人の男性が、真っ暗な中私を迎えに来てくれた。

(その二人はモッチョム岳に慣れていて、道を覚えていたから、夜でも山に入れたらしい。普通の人は真似しないでください)

彼らに足元を照らしてもらいながら、ゆっくり下山した。

登山道出入り口に無事到着したとき、二人が、そこにあった小さな神社に私を手招き、三人で深々と二礼二拍一礼をした。

■紙一重だった「死」

「紙一重だった」と言われた。

その日、私が登山をしていたことが、偶然彼の耳に入らなかったら。
彼が電話をかけようと思わなかったら。
あのとき電話が通じなかったら。
既に、私が登山道を外れてしまっていたら。

山の中で一夜を明かしていたか、レスキュー隊が出動していたか、死んでいた。

帰りの車の中で、山の危険性について、たくさんのことを教えてもらった。
何人もそこで遭難して見つかっていないことや、日が沈みパニックになってしまう人が多いこと、そうならないための準備のことなど。

私はそのどれも知らなかった。

■「生」と「死」と「宇宙」

家に戻り、めちゃめちゃ泣いた。

怖かったかと言われると、怖くなかった。

ではなぜ、めちゃめちゃ泣いたのか。

「生かされた」と思ったから。

屋久島に来て、宇宙と、自然と、自分とのつながりをずっと感じている。
まだうまく言葉にはできないけれど。

今回、様々な幸運が重なって私が生きて帰ってきたこと。
その様々な幸運を、私は、宇宙が起こしてくれたのだと感じずにはいられない。

日が沈む前まで、山の中で、私はもうずっと楽しかった。
本当に幸せな時間を過ごしていた。

岩なんて初めて登ったけど、登りながら物凄くしっくりきて、「私、四足歩行で岩を登っていた時代あったよなぁ」と何かを思い出したり、
緑の中で、自分が忘れている何らかの感覚が思い出せそうだったり、
とにかく、ずっとその、「宇宙や自然と自分とのつながり」を深めて、心が喜んでいた。

だからこそ、「私は宇宙に生かしていただいたのだ」と思って、物凄く泣いた。

■私は山が好きだった

帰り際、助けてくれた彼に、「せっかく山から生きて帰されたんだから、屋久島を出る前にもう一度山に登った方がいいよ」と言われた。

私には、その言葉が、彼の言葉というより、宇宙から、山からの言葉に聞こえて仕方がなかった。

私が山が本当に好きだ。
忘れていただけだった。
山が本当に好きだったことを思い出した。

そして、私は生かされた。
生かされたけど、一度死んだような気もする。

だから、今私は、一度死んだようなつもりでこの文章を書いている。

■死んだつもりで生きる

いざ「死」について考えてみると、実はもうそんなに死を怖がっていないことに気づく。
やり残していることがあるとすれば、「感謝をもっと伝えたい」ということくらい。

生も死も、どちらでも良い。
宇宙の意思に委ねますという感じ。

だから、もし私が何かで死んでも、私はとても安らかな気持ちだと思ってください。
あ、自殺はしません。地球めっちゃ楽しいので、命ある限り楽しみ尽くします。

ただ、死を受け入れると、怖いものがなくなる。
だから、書きたいことを書くし、やりたいことをやる。

今回書いた、宇宙とつながっている感覚の話なんかは、以前の私だったら、誰かに「この人は頭がおかしいのかな」と思われることを怖がって書けなかったことだったりする。

でももう、そういうことも、死を受け入れてしまえば怖くはない訳で。

合わない大勢の人たちに、うっすら好かれることは、もう要らない。
ただ、ありのままでいることを選ぶ。

今後も、言いたいことを言って、書きたいことを書いて、歌いたいときに心のままに歌って、やりたいことをやって生きていきます。

ありのままでいることを私はとても怖がっていたけど、いざそうしてみると、本当に豊かで、幸せです。

ありのままでいたいと願う全ての人が、そうあれるように願っています。

最後に、皆様、いつも本当にありがとうございます。感謝と愛を込めて🌿

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