「ヤクザと家族」を観てきた

観終わった後、重くて苦しくて何ともいえない気持ちになった。フィクションだし、ヤクザの知り合いもいないから、ヤクザの世界の実情もわからないけれど。

本当に、こんな裏側の悲しい世界があるのかな、と思えてくる役者さん達の演技が圧巻だった。

綾野剛。だいぶ前だけど、元々漫画が好きだった「ピースオブケイク」のあたりから、それまでクールな印象だったけど、優しくて憎めないダメ男みたいな役も意外としっくりきてびっくりして気になりはじめ、「怒り」の時の静かな役も印象的で。作品によって、本当に全然違う人に見えるのがすごくて、演技が好きな俳優さん。

今回の救いが無い、悲しいヤクザの役も見事だった。
初めの方の暴行シーンでは痛々しくてしんどい。あーゆーシーンはどこまでが本当なんだろう。血だらけで傷だらけの特殊メイクもすごいし、息づかいとか言葉にならない声の感じとかの演技がすごい。格闘技とかあまり得意じゃなくて、暴力的なシーンが長いとしんどい。
けど、そんな気持ちになればなるほど、そんな気持ちにさせてくれる役者さんを尊敬する。痛々しいシーンの記憶から、「百円の恋」の安藤サクラのボクシングシーンの感動を思い出したりした。

尾野真千子との出会いの頃のシーンとか、女慣れしてなくて不器用なのは分かるけど、扱いの酷さにあんな男絶対嫌だー!って思ったし、何で受け入れちゃうの!って何度もツッコミつつ、後半の穏やかなあたりは、このまま幸せに暮らしてほしいって願ったり。色々何でー!って思うけど、こーゆー優しくて強くて大きい海みたいな女の人がいないと強い様で弱い男の人は生きていけないんだろうか。戻ってこられる、安心な場所。でも、時代も心も変わっていくし、もう無理だよ。って苦しかった。尾野真千子はそんなに作品観てないけど、「きみはいい子」あたりから好きな女優さん。
尾野真千子と綾野剛の娘役の小宮山莉渚はそれまで知らなかったけど、綺麗で芯の強い感じが母娘っぽくて、合ってた。

市原隼人の役も、見ててしんどい。チンピラからヤクザになって、ヤクザやめてパパになって、あの最後。本当に憎んでるわけじゃなくて、どうしようもない、どうにもならない感情みたいなのが、伝わってきて苦しかった。更生しようとしても、どうにも無理なのか。
悲しすぎる。 少し前、市原隼人、顔変わってきたかなーって思ってたけど、今回、若い頃の役も違和感無くて。相変わらず、目がキラキラして眩しい表情の役者さんだなーって改めて、かっこよかった。学生の頃、「リリィシュシュのすべて」を観に行って、雰囲気が好きな映画だったんだけど。数年後に、主人公が市原隼人だったんだーって知って。改めて観返したいなと思いながら、そういえばずっと観れてない。

翼役の磯村勇斗。あんまり気にして見てなかったけど、今回すごく気になる演技。時代が変わっていくなかで、赤ちゃんから大人になるまでの変化が一番視覚的にわかる役柄で、あの翼がこうなったのかーって。あの環境で自然な成長なんだろうなぁ。最後のシーン、ヤクザの子供達が出会って、キラキラ終わっていった感もあったけど、どうなってくのかな。どこまでも負の感じが続いていかないといいなと願う。 
磯村勇斗、そういえば「今日から俺は!」で昨年見たけど、どちらも金髪の悪い役だから、全然違う真面目な役とか見たいかも。

翼のお母さん役の寺島しのぶ。すごい演技の印象があるので、今回そこまで強い演技は無かったから、やや物足りなさも。昔を掘り下げたシーンとかもあったら嬉しかった。寺島しのぶは「ヘルタースケルター」の時が自分のなかではすごく印象に残ってる。

舘ひろしの、優しくて凄みのある組長も良かった。時代と共に小さくなってく柴咲組で見せない辛さがたくさんあったんだろうけど、数は少なくても最後まで慕われて、悲しまれながら病気で亡くなるのはあの話に出てくるなかでは1番幸せだったんじゃないかとも思えた。舘ひろしが出てるから観に行こう、とはならないんだけど、存在感がすごいし、あの役は舘ひろし以外考えられない。

他にも、出てる役者さん、皆良くて。熱い演技と作品愛が伝わってきた。

色々読んでたら、そのなかでも改めて、綾野剛と市原隼人の演技や作品に対する熱さみたいなのが伝わってきて、今までも好きだったけど、もっと好きになってきて、他の作品もたくさん観たくなった。

この人が出てるから、観に行こう、とかこの人のこの演技が好きとかで映画を観ることが多くて、役者さんについて色々考えちゃうから、私の感想読んでも映画の内容、よく分かんないだろうな 笑。

時代が変わっていくなかで、不器用に生きるヤクザが描かれてる、悲しくて人間み溢れる映画でした。役者さんの演技がとにかく素晴らしくて、設定に違和感を感じるところは時々あっても、演技に違和感を感じるところが全然無い。

そして、色と映像が綺麗。始まりと終わりの海のなかの色と光、空の色、工場地帯の景色とか、綺麗な感じがすごく好きだった。

音楽も。世界観が合ってたし、歌詞がしっかり入ってきて、最後まで、ずーんとして、良かったなぁ。 

https://youtu.be/QyZDoDTB6cQ

このMV観て、また世界に浸って完結な感じ。

あー また観たい。

なんだか、ここ最近同じ映画を何度も観たくなってしまうので、観たい作品が多いと大変。緊急事態宣言中でレイトショーやってないのが痛いのです。

三浦春馬が観たくて、既に2回観た「天外者」。まもなく終わってしまいそうなので、3回目を観にいこうかとても迷ってる。。

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