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哲学試論 新説「冬は必ず春となる」


哲学的に書いてみたの3回目です。よく使われる冒頭のことわざはじっとしていれば絶対いいことがある。つらいことは永遠には(長くは)続かないという意味で使用されることが多いように感じます。良いことが待ち受けている「春」を焦点に置かれています。しかし、本来の意味は別にあるような気がしてなりません。

(ことわざの出典)

「冬は必ず春となる」言葉は単発で出てくる言葉ではありません。この言葉が文献で最古に出てくる文書(妙一尼御前御消息を確認してみると、その前には「法華経を信ずる人は冬のごとし。」という文言が現れます。経の中身を見ると勧持品第十三という項目を確認するとその一部分の中にこのような記述があります。

「我等敬仏故 悉忍是諸悪 謂斯所軽言 汝等皆是仏 如此軽慢言 皆当忍受之」

(ことわざの解釈について)

周辺の文章を加味して意訳すると「この経を衆生に広めていくときには様々な迫害を伴うが、それを耐え忍ぶべし」ということが書かれています。経典の詳細な解説は行いませんが、厳しい状況に置かれる冬に焦点が置かれていて、困難に耐え忍ぶ覚悟があるかを問うています。
「嫌なことは長く続かない」という解釈では困難から逃げるということになります。世間一般にはそのほうが受入れやすいかもしれませんが、強かに生きていくことを弘めていくならば「冬は必ず春となる」の本来の意味は春を迎えるために冬のような厳しい状況に置かれることを覚悟しなくてはならないという解釈の方が指南として適しているように感じます。

企業や個人の業績が回復する様を表す言葉として「V字回復」があります。何もせずに下降している会社の業績を回復することはできないでしょう。痛みを伴う改革はできればあまり手を付けたくありません。しかし会社や組織の体質改善を行うことで初めて業績を上げられるようになります。個人においても仕事の評価や学力の向上を図るために意識を変えたことは誰しも経験したことでしょう。

(自分を振り返って)

受験や各種の試験時には「好きなことを全て我慢できるか?」と問われ勉学に取り組んだ他、仕事で大変だったことは事例に事欠きません。また様々な活動では個人の時間を惜しみなく費やして取り組んだこともありました。それなりの成果を出すために必死に取り組んできたのが思うところです。

総括になりますが、冒頭のイラスト「厳しさは必要」これはいつ時も変わらないと考えます。厳しさに正面からぶつかって乗り越えていく。その覚悟を持つことで初めて春に向かうスタートラインに立つことができる。それを表したのが「冬は必ず春となる」だと考えます。



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