女性の配属を渋られた あの頃
「あなたに言うのも忍びないけど、女性を配属されてもなあ。。」
もう10年以上前のこと。
新卒採用とその後の配属を担当していた私が、とある部門へ候補者のプロフィールの紹介に行ったときに言われた言葉がこれだった。
圧倒的男性社会であった会社にも、ようやく女性活躍、という言葉が聞こえ始めた時期だった。女性総合職の採用比率を2割、3割、4割と徐々に増やす採用計画を推進している最中での出来事である。
部門の担当者から冒頭の言葉を受けたとき、正直そこまでショックを受けることはなかった。むしろ予想していた反応だった。
私「あ、この時代に、そんな事言っちゃいますか?笑」
当時の私は、こうやって冗談めかす事しか出来なかった気がする。
A部門の人「わかっているでしょ。うちの部門は〇〇で、〇〇なんだから、出来たら男性が良いんだよね。」
〇〇に入る言葉は、部門によって業務量だったり、出張頻度だったり、厳しい上司や取引先だったり。少々のバリエーションはあれど、大きな差はない。
けど、この彼らなりの「いかに自部門が女性の配属に適さないか」の理由づけを聞くことは、配属調整における通過儀礼の1つであり、終いには
A部門の人「こんな部門に配属しちゃ、可哀そうだよ」なんて言い出すところを宥めつつ、
私「A部門が出していた希望のスペックにピッタリなんですよ、まずこの方ですが。。。」
と、ようやく候補者の紹介に入る。
そして渋~い反応を得ながらも、最終的にはどうにか受け入れてもらう、というのがお決まりのパターンだった。
当時の私にとっては、これは半ば「当たり前」のやりとりだった。
それなりに競争率の高い採用プロセスを経て入社してくれる後輩たちは、男女問わず、とても優秀だと思う。なのに、なぜだろう。
腑には落ちない。 けれど仕方のないことだと思っていた。
それから10年以上が経つ。
上記のようなやり取りは、徐々に、徐々に消えていった。
気が付けば、新卒採用の男女比率はほぼ半々になっている。
そして、かつて配属に苦慮した世代の女性社員たちが、
その部門で高い評価を上げている話を聞いたりする。
少しずつ、世の中は変わっているのだと思う。
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「日本のジェンダーギャップは未だに先進国の中では最低レベル。」
通っている大学院の講義の中で、もはや最頻出レベルで出てくるジェンダーギャップの話題。そして国別の数値。
私が「だいぶマシになった」と思う現状は、残念ながらまだまだ低水準というのが世界で見たときの評価だ。
10年前、女性配属に苦慮することを当たり前、仕方がないと受け入れてしまっていた自分に、今の私は、何を伝えられるだろうか。
そして、男女問わず自由にキャリアを歩める世の中のために、私が出来る事は何だろうか。