京都は常に心残り
久しぶりに京都へ
日本酒について、新番組(配信)をはじめる。業界ではいろいろと敵も多い3人が珍しくやる気になっているので、早々に纏めた方がいいだろうと思い、オフラインで打合せをすることにした。集合場所を考えた時、すぐ「京都」が浮かんだ。
京都にはそういう力があると思う。浪速の狂犬(大阪)、浜松のジャックナイフ(静岡)、名古屋の松たか子(愛知)が集まるのだから地理的には中間地点の名古屋で良かったし、仕事やイベントがある時に東京で、という事もできたのだが、何故か呼ばれたように京都が良い、と思った。日本酒や料理への想いに、近しい場所だからかもしれない。
清和荘で昼食を
夜、京都から帰った私に、子ども達からの第一声は『清和荘の料理は美味しかった?』というものだった。行く前に私が清和荘さんの凄さを話して聞かせていたからだろう。『うん美味しかったよ。』と少し淡々と言うと、『反応薄いな、疲れたの?』と子ども達は訝しんだ。そんな事はないと答えたし、事実そんな事はなかった。
正直、行く前の私はかなり疲れていた。連日の過密スケジュールで胃はあまり美食を受け入れる体制が整っていなかった。日程変更したい、という気持ちすらあった。帰ってきた直後は、何事もなく、飲んで食べられて、打合せもうまくいき、安堵の気持ちの方が強かった。
――― 翌日。
朝起きて、洗面所に立って歯を磨こうとして、ふと思う。
美味しかったよなぁ・・・
もう少し食べておけば良かった。あの素晴らしい庭園を愛でながら、鳥のさえずりや水の流れる音にもう少し耳を澄ませておけば良かった。月の桂を飲みながら、もう少しだけ、長居をさせてもらえば良かった。
卒業生で頑張っている井上君とも、もう少し話せば良かった(多分w)。
京都は常に心残り
すっかり胃は回復し、遠くの山が見えない名古屋市内の景色を見ながら、日本酒への想いと京都の関係性について、書くのも野暮だなぁと思う。高浜虚子の客観写生のように、提供者はただ情景としての香味をうたいあげるだけでいい。感情をこめない方が伝わり、余韻が続く。残心とはよく言ったものだ。残された余白に、心が残る。また京都に行きたいと、もう思っているのだから。
というわけで、またうかがいます(笑)
皆様、ありがとうございました‼
(写真左から)石黒健大さん、松山順太郎さん、田中、辻学園卒業生井上君、清和荘ご主人竹中徹男さん