東京から2時間。”発酵の里”での日本酒キャンプが最高のひとときでした
”キャンプに合うお酒”といえば何を思い浮かべますか?
世間的には、ビールやレモンサワー、ハイボールあたりが定番でしょうか。少し前までわたしもそう思っていました。
ですが、これら以外でキャンプと相性抜群のお酒があります。
意外かもしれませんが、それは日本酒です。
今回おこなった日本酒キャンプでわたしはその魅力のとりこになってしまいました。
キャンプの舞台に選んだのは「発酵の里」の通称をもつ千葉県神崎町。
この記事では日本酒キャンプの魅力と、日本酒キャンプをするには絶好の地域である千葉県神崎町について紹介していきます。
キャンプと日本酒が相性抜群な理由
キャンプの楽しみ方は色々ありますが「お酒を飲むのが楽しみ」という方は多いと思います。
また自宅から遠く離れた場所を訪れるキャンプでは、その土地ならではの特産品を口にすることも外せないポイントです。この2つのニーズをどちらも満たしてくれるもの、それが”キャンプ先で地酒を買って飲む”という楽しみ方。
普段利用しているスーパーでは決して手に入らない旅先の地酒は、キャンプの非日常感をぐっと高めてくれます。
それに地酒というのはその地域の食文化によりそって生まれたもの。だから現地で仕入れた食材との相性もいいものです。
またキャンプ場と酒蔵はどちらも自然豊かな場所に立地しているため、近い場所にあることが多いのも特徴。酒蔵で気に入ったお酒を買い、すぐキャンプ場にチェックインできるのは嬉しいポイントです。
キャンプと日本酒が相性抜群な理由はまだまだあります。
ですが語りだすとキリがないので、以降は実際のキャンプの様子をお届けしながら紹介していきます。
日本酒キャンプの聖地? 発酵の里『千葉県 神崎町』
今回のキャンプの舞台『千葉県 神崎町』。この町は日本酒キャンプをするには、できすぎなほど条件がそろっています。その理由は主なものだけで次の4つが挙げられます。
町内と近辺に魅力的な酒蔵が4つもある
酒蔵から10〜30分圏内にキャンプ場が4つもある
東京から2時間というキャンプにベストな距離
車がなくても電車・バスのみで酒蔵とキャンプ場をまわれる
神崎町は江戸時代、利根川沿いにて酒造をはじめとする醸造業がとても栄えていました。その歴史からこの地域は”発酵の里”と呼ばれることもあります。そして今なお、川沿いを走るJR成田線沿線には4つの実力派酒蔵が健在(それぞれの酒蔵の詳細は後述)。
また、これらの酒蔵から10~30分の範囲内にキャンプ場が4つもあり、人数や好みに合わせてキャンプ場を選べます。
さらに都内からの距離は電車でも自動車でも2時間前後。日常から離れてキャンプするのに遠すぎず近すぎずのベストな位置にあります。
※黒いアイコンが酒蔵、紫のアイコンがキャンプ場です。
ほとんどの酒蔵とキャンプ場が電車のみで行けて、バスも使えばすべての場所に自家用車なしでアクセスできます。つまり車なしの徒歩キャンプも楽しめて、純粋なキャンプ地としてもレベルが高いです。
以上の理由から、この地域は日本酒キャンプをするには文句のつけようがない絶好のエリアだというわけです(各スポットの詳細は記事の最後に記載しています)。
酒蔵や道の駅でキャンプ飯の買い出し
ではここからは実際に日本酒キャンプに行ったときの様子をリポートしていきます。
『鍋店 神崎酒造蔵』で試飲しながら”今夜のお供”を選ぶ
まず訪れたのが『鍋店 神崎酒造蔵』。
1689年から300年以上の歴史がある老舗の酒蔵で、日本酒の生産量は県内でトップクラス。キレのある飲み口とすっきりとした爽やかさで飲みやすい『仁勇 純米吟醸酒』は高い人気と知名度を誇ります。
直売店の中にはバーカウンターがあり試飲もOK(今夜行くキャンプ場と近いので先に車を駐めて来れば運転手も試飲できます)。
「焼き鳥に合うお酒はありますか?」「熱燗にするならどれですかね?」など今夜のキャンプ飯に合わせたお酒をリクエストし、試飲をしました。
専門家がこちらの希望をもとに選んでくれたお酒を自分で味を確認してから買えるので、知識がなくても”自分にとってのおいしい日本酒”を購入できます。
スタッフの方が親切で、気づいたらこんなに試飲させていただいてました。
試飲したお酒はどれも美味しく「これが日本酒キャンプか、なんて素晴らしいんだ」と、まだキャンプは始まっていないのにひとりで感動していました。
迷いに迷って買ったお酒はキャンプ場であらためて紹介します。
まぶしいほど個性的な『寺田本家』の自然酒を購入
もう1軒、はずせない酒蔵があるのではしごしました。
寺田本家という蔵で、鍋店から徒歩5分という近さにあります。
この蔵は”無農薬米を使った自然酒”や”発芽玄米を使ったお酒”を製造するなどかなり個性的な酒蔵で、県内外に熱狂的なファンが多くいます。
正統派の鍋店と個性派の寺田本家。
千葉でも指折りの酒蔵がこんなに近くにあるのは奇跡的だといっても過言ではないと思います。日本酒キャンプの舞台としてこのうえなく魅力的なポイントです。
ただ残念なことに当日は新型コロナウイルスの影響で臨時休業しており、直売店での買い物はできませんでした。
かわりにここから歩いて3分の老舗酒屋に入店。寺田本家の自然酒を試飲して購入できました。
道の駅『発酵の里こうざき』で食材や発酵おつまみを購入
寺田本家より車で6分、道の駅『発酵の里こうざき』へやってきました。
ここには地元産の発酵食品(お酒、味噌、醤油、珍味など)にくわえ、日本中から選りすぐった発酵食品を販売する『発酵市場』がオープンしています。
さらに近隣の生産者から仕入れた野菜、肉、魚をあつかう直売所も併設。ここでキャンプ飯の食材、発酵系の調味料やおつまみを調達しました。
みなさんご存知のとおり日本酒と発酵食品の相性は抜群。今夜の日本酒キャンプ飯への期待はますます高まります。
この『発酵の里こうざき』の存在も、このエリアが日本酒キャンプに向いているポイントになります。
市営だから高コスパ『下総運動公園キャンプ場』
今回のキャンプは、道の駅『発酵の里こうざき』から車で10分の『下総運動公園キャンプ場』でおこないます。
同じく車で10分のところにかの有名な『成田ゆめ牧場ファミリーオートキャンプ場』もあります。ですが、そちらはすでに各種メディアで語り尽くされていることもあり今回はあえてこちらを選びました。
市営のキャンプ場で市民以外の利用料は1人1泊330円。炊事場やきれいなトイレもついてこの料金は破格です。
通りがけに見かけた成田ゆめ牧場の方は、ところせましとテントが並んでいましたが、こちらは空いていて(わたしを含めて利用者は2人)とても快適に過ごせました。
日本酒とキャンプ。最高の時間のはじまり
ではここで今夜のキャンプのお供を紹介します。
まずこちらが鍋店の『仁勇 山廃純米』のワンカップ。
山廃仕込みならではのコクと酸味のバランスがよく、キャンプでは定番の肉料理や脂っこい料理と相性がいいお酒です。
こちらは同じく鍋店の『神崎蔵 特別純米酒』。
地元で育まれた米と地下水を原料とした100%神崎産の地酒。すっきりと飲みやすい辛口で冷やでも熱燗でもキレのある味わいが楽しめる、まさにキャンプのためにあるようなお酒です。
2020年全国熱燗コンテストの最高金賞も受賞。
そして最後が寺田本家の『五人娘 純米吟醸 生酒』。
こちらは無農薬米100%で作られた自然酒。ろ過と火入れをしていない生酒で、自然米の香りと芳醇さを存分に味わえる逸品です。
使うおちょこも少しだけこだわっています。キャンプには木材を使った食器や酒器を使うと周囲の自然になじんで趣深く、気分もぐっと高まります。
こちらのおちょこは竹の風合いを活かしながらも洗練されたデザインがすばらしく、アウトドアでも自宅でも愛用中。見過ごしがちなこのひと工夫がキャンプの満足感を大きく左右します。
日も暮れ始めたところで火を起こし、いよいよ夕飯の時間です。
まずは炭火で焼き鳥。じっくりと、いい焼色がつくまで炙っていただきます。お供には『仁勇 山廃純米』を。
山廃純米の、いい塩梅のコクと酸味。そこに合わさる炭火の香ばしさと鶏肉のジューシーさ。顔のニヤけがおさえられず、ゆるみきった頬にいつまで経っても力が入りません。出だしからいきなり打ちのめされてしまいました。
おつまみにはいぶりがっこチーズと醍醐(豆腐のみそ漬け)の発酵コンビ。『五人娘 純米吟醸 生酒』と供に。
無ろ過の自然酒ならではの米のふくよかな香りは残しつつも、吟醸の生酒に仕立てることで雑味がなく上品かつフレッシュで飲みやすい。
そしてやはり発酵食品の複雑な旨みは、同じく発酵でできた日本酒の味や香りと相性がいい。
ため息が出るほど贅沢な時間です。
夜も深くなってきたころ。神崎産の自家製味噌で鍋をつくり、そこにチロリを浮かべて熱燗を準備します。
お燗にするのはやはり”全国熱燗コンテストの最高金賞”の『神崎蔵 特別純米酒』。
まだ肌寒い初春の夜に、温かい燗と鍋が冷えた体に染み渡ります。とくに燗を口にしたときのふわっと鼻からぬける心地よい香りに、こちらの身体も風船のようにふわふわと浮いてしまいそうです。
温めておいしいところも日本酒が野外の食事に向いているポイント。熱燗をつくるためのチロリは最高の夜を過ごすためにぜひ持っていきたいアイテムです。
夜に包まれた自然の静けさの中で味わう、火と料理と日本酒。それは言葉に尽くせないほどの最高のひとときでした。
キャンプというのは森や山や渓流などの、自然の豊かさや静寂を味わうもの。
そのようなシチュエーションではゴクゴクと流し込むタイプのお酒より、じっくりと味わいながら飲む日本酒のようなお酒の方が気持ちも穏やかになれるように感じます。
乾杯はどうしてもビールという方も、食事の途中からでも地元の日本酒をゆっくり嗜んでみてはどうでしょうか。その土地の自然に囲まれながら、その土地で生まれたお酒を飲む。その事実をかみしめ夜の空をながめるだけでも心地よく酔えてくるから不思議です。
酒蔵とキャンプ場の情報まとめ
今回紹介した酒蔵やキャンプ場
*「都心からのアクセス」は東京駅を出発点とした目安の移動時間です
鍋店 神崎酒造蔵
寺田本家
下総運動公園キャンプ場
成田ゆめ牧場ファミリーオートキャンプ場
記事で紹介しきれなかった酒蔵とキャンプ場
東薫酒造
馬場本店酒造
橘ふれあい公園キャンプ場
坂田ケ池総合公園キャンプ場
酒小町制作メンバー
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