第26回 20年も待たせるな!(国際公務員労働組合)
ちょっと時期がずれたが、3月8日は国際女性デー。女であることを喜び、女をみくびる慣習や意識にたたかい続けようと誓い合う日だ。
国際女性デーのスタートは1911年と言われている。毎年、世界のあちこちで祝いの行事がある。この日が祝日の国もある。
このポスターは、今年の国際女性デーに向けて国際公務員労働組合(PSI)が作った。
女性が思いっきり口をあけて叫んでいる。「20年も待たせるな!」
そう、20年前の1995年、中国で第4回国連世界女性会議が開かれた。世界190カ国から約4万人が北京に集まった。熱気と興奮に包まれて「北京行動綱領」が採択された。
女性の貧困や女性への暴力の撲滅、教育・経済・政策決定への平等なアクセス、メディアの固定的性役割描写の根絶などなど。「北京行動綱領」は、各国政府に対して、戦略を立てて実行せよと迫った。しかし、実態は…私もポスターの女性にならって叫びたい気分だ。
PSIは1907年に創設された。世界154カ国の公務職場で働く約2000万人がメンバーだ。本部はフランスのフェルネ・ヴォルテール。事務局長はイタリアの女性で、彼女は女性の働く場を奪う「緊縮財政」と「民営化」に強く反対している。
さて日本では、3月8日、渋谷ハチ公前で「女性と政治キャンペーン」があった。翌4月に統一地方選を控えたこともあって、「女性議員を増やせ」がテーマだった。東京近郊の女性たちが集まって、日本列島に多く残る「女性ゼロ議会」を減らそう、女性議員を増やそう、とピンクの大きな旗でアピールした。
「北京行動綱領」には、あらゆる政策決定の場に少なくとも30%の女性を、と明記されている。
だが日本の議会は30%どころか約10%だ。「ブレイク・ザ・チェーン(連鎖を打ち砕け)」が歌われると、フラッシュモブと呼ばれる即興ダンスも始まり、通行人も交えての路上パフォーマンスが続いた。
ところが、お隣の中国は事情が違った。国際女性デーに合わせてセクハラ根絶を訴えようと準備していた女性運動家少なくとも5人が、直前の3月6日、7日に公安に拘束された。「セクハラをなくして安全な社会に」「警官よ、セクハラ男を捕えろ」と書いたステッカーを配る計画だったとか。「騒動挑発」の容疑で拘束された後、容疑は「公共の秩序を乱した」に切り替わった。
世界中から抗議が殺到し、拘束は約1カ月後に解かれたという。国境を越えて共闘する、国際女性デーの勝利だった。
(三井マリ子/「i女のしんぶん」2015年6月10日号)
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