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無益魔伝

〜これは、ただ武侠っぽいことを書いてみたくなった凡人が深夜に異様なテンションで綴った恐ろしいほど内容のない壮大な物語(500字)である。〜

この世には何故こうも悪が蔓延っているのか。

宋酎酎は、憤りを隠せなかった。

「黒血魔鬼…俺が必ず根絶やしにしてやる!」

超天脱解波紋功を会得してからというもの、酎酎はこれまで視えなかった江湖の常に苦悩した。

罪なき人々が流した涙が長江となったと言っても過言ではない。

武林人である前に人として、悪を許すわけにはいかないのだ。

燃え上がるような怒りは内功となり、酎酎の氣をより熱く色濃いものに変える。

そのときだった。

優雅に空を飛ぶ鷺が描いた線、西に広がる松林の風音、雨上がりの土の香りが繋がった――。

酎酎は、無意識のうちに熟練者の域に達した。いや、熟練者よりも遥か上の境地かもしれない。本人はまだそれに気づいていないが、滞っていた何かを押し出すかのように、新たな拳法を編み出すことに成功した。

「雅空鷺松香拳法と名付けよう。きっと、黒血魔鬼との戦いで役に立つはずだ。」

ぐっと拳に力を入れ、酎酎は師父である秋光明のもとへと走り出した。

二千里は、もはや大した距離ではないのだ。


<終>

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