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「ねえ紗絵、ホンって知ってる?」 彩花にそう聞かれたとき、まだ朝の十時半なのに早弁を掻き込んでいる最中だった私はすぐには答えられなかった。二時間目、数Ⅱの坂田がポリープの手術で自習。 「ううん、んんんい…ゴホッ!」 「ちょっと〜!紗絵のしめじ砲を食らうの、今週に入ってもう三回目なんだけど!」 うちのお母さんはほぼ毎日、私の弁当にしめじを入れる。詰めるときにラクだからと限りなく石づきに近いところで切り落とされたしめじは見事に全部繋がっていて、それを一口で食べようとしては