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Sake note

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2022年9月の記事一覧

チューペット

「ケツの穴がおかしい。」 遠慮がちに私に向けられたケツの割れ目の中央にひっそりと佇む門は固く閉ざされ、その向こう側は見えなかった。 まあ、見えたところで私はケツの穴には詳しくないし、傷にはマキロンくらいの医療知識しか心得ていない。 その道の匠に所見を伺うため、うちの豪州人パートナーを連れ日本の肛門科の敷居をまたいだ。 宅飲みでぶっ飛ばしすぎて最初に潰れた人の運命を暗示しているようなこちらのイラストが、正しい受診体勢でして。 完全なる偏見やけど、このイラストに指示を仰

無益魔伝

この世には何故こうも悪が蔓延っているのか。 宋酎酎は、憤りを隠せなかった。 「黒血魔鬼…俺が必ず根絶やしにしてやる!」 超天脱解波紋功を会得してからというもの、酎酎はこれまで視えなかった江湖の常に苦悩した。 罪なき人々が流した涙が長江となったと言っても過言ではない。 武林人である前に人として、悪を許すわけにはいかないのだ。 燃え上がるような怒りは内功となり、酎酎の氣をより熱く色濃いものに変える。 そのときだった。 優雅に空を飛ぶ鷺が描いた線、西に広がる松林の風

角部屋

あれは、私が十数年ぶりに日本で部屋を借りたときのことだった。 久しぶりの日本での生活にわくわくし、日当たりの良い角部屋を借りた8月のこと。 シャワーのお湯がやたら熱く、何度か業者に来てもらったのに直らなかったことには物凄くストレスを感じていたけれど、それを除けば何もかも、順調だったように記憶している。 家具家電もやっとすべて揃ったお盆。早速愛着が湧き「末永く使っていけたら」と思っていた矢先にそれは起こった。 ジョボジョボジョボ… フリーランスの私はお盆なんて特に関係

風呂のドアが開かない

風呂というか、シャワー室のドアが開かなくなりまして、私はびっしょびしょの全裸でして。 どんなに引いてもビクともしないんですよね。 あんまりガチャガチャしすぎるとガラス戸なもんで、割れたら全身ズタボロ血みどろ男爵令嬢になるじゃあないですか。 こんなルートで貴族にはなりたくないなって思いまして、うちの豪州人(パートナー)を呼ぼうと思ったんやけれど、うちの風呂場、換気扇うるさいんですよ。 電気のスイッチ入れたら同時に作動する連動タイプの換気扇でして、全然換気いらんときも電気