造り前に今季の営業を振り返ってみる日記

日本酒造りの酒蔵に勤める蔵人見習いです。

今回は蔵勤めして初めて取り組んだ営業活動について振り返ってみようと思います。



営業をするに至った経緯

なぜ造りの僕が営業するに至ったのかといえば、単純に当蔵に営業がいないからです。

また、4年目にして自身が営業を買って出たのは、自身が企画した酒を説明できる人間が僕以外誰もいなかったことが挙げられます。


営業を始めるにあたっての準備

僕は営業をした経験が全くありませんでした。ですので、何を準備したら良いのか、どういう方法で酒販店へ向かえば良いのか、さっぱりわかりませんでした。

とりあえず

・商品案内は作ろう
・企画商品の値段を決めよう
・最初の営業先は既存取引先から練習しよう

ということを念頭に置いて準備を始めました。


商品案内を作るにあたって参考にしたのは、他社の商品案内です。既存取引先の仲良し従業員さんに頼んで、他社の案内がどういうものかを見せてもらい、それを9割5分参考にして作りました。

「うんうん。なんか商品案内っぽくできてるぞ(自画自賛)」

と自信を持てたので、暗中模索で脳内から空想で作る奇天烈なものを作るよりかは至極合理的な方法だったのだろうと思います。


企画商品の値段についてですが、本来であればこれは僕の決めることではなく、社長が決めるものだと思うのですが、相談した所、「見習い君。酒屋さん何件か回って相場を調べてきてくれ。」と言われたので、酒屋さんを何件か梯子して企画商品とスペックが同じものの相場を確認して、社長と決めることになりました。これ以降、商品の値段について深く考えることになるのですが、今回の投稿内容の本筋からは外れるので割愛します。


最初の営業先は既存取引先からにしたのは、練習というよりかは心の準備をするためという理由でした。正直、僕は営業向きの性格ではないと認識していたため、初回から新規営業先へ足を踏み入れたら一体どうなるかわかったものではなかったので、それを把握するためにも顔馴染みの既存取引先へ向かうことを決めました。

既存取引店へ伺ってわかったのは、配達で向かう時とは全く心境が異なる点でした。もう何度も顔を合わせていて気遣いもそこまでせずに世間話ができていた相手が、営業で会うとなると緊張してしまうのです。

「これが営業時の心持ちか…!」

と内心焦りました。これが新規だと一体どうなってしまうのかと。


こうして既存取引先を何件か回って営業の練習をこなし、4月中旬から新規取引先へ向かうことになりました。



新規営業先の開拓と営業内容

上述したように、僕は営業経験が0の製造です。そのため、営業回りの方法も知らないため、1日に何件回れば良いのか、滞在時間はどれくらいか、などで悩んだりしていました。

取り敢えず滞在時間は出たとこ勝負と考え、何件回るかを考えた際に、「向かうルートで行けるところは全部回ろう」という結論に至ったのです。


この結論で動いてみて分かったことは

・営業先での滞在時間が読めないため、次に伺う取引先の訪問時間が読めない。
・上記の理由から予定時間を伝えられない
・結果、アポの連絡が一軒目以降取ることができず、以降の営業が飛び込みになる。

ということでした。そして何より心身(特に心!)の負担が半端ではありませんでした。これを始めて2週間ほどで胃を痛め熱を出し、4〜5日起き上がれないという羽目になりました(造り明けの疲れが残っていたこともありますが)。

この反省を踏まえて、1日に回る営業は2軒、午前と午後で分けて向かう、ということにしました。それまでは伺う直前に電話してガンガン断られていた(急に来られるので当然)ので、メンタルやられまくりました。打たれ弱いので。


余談ですが、蔵へ出入りしている醸造機器メーカーの営業さんに新規開拓の話を振ったところ「疲れるでしょう。私も若い頃やっていたけど、知らない人と話すのは疲れますよ。本当に。それでも何回か顔を合わせて相手のことがわかってくると、疲れ方も変わってくるから、頑張ってくださいね」と励まされました。




滞在時間についてですが、短くて30分程度・長いと2時間は余裕で超えてます。その場でお取引開始に繋がることは稀で、大体が後日連絡を頂けるというものでした(電話が来ると天にも昇る気持ち!)。熱い気持ちがある酒販店さんですと、電話では気持ちが伝わらないといってわざわざ蔵まで来られて取引の意思を伝えてくれたりしました。これには感動しました。


そんなこんなで4月から9月まで営業を続けた結果、何軒かお取引先を増やすことができましたし、社長に頑張りを認められて給与も上がりました。初訪問時は毎回緊張から胃腸の痛みに苦しめられたりしましたが、努力が報われたり新しい酒販店さんとの交流で得られる刺激も増えたので、今は営業に出て良かったと思っています。

また、以前は営業へ出る前は製造と営業は別と考えていましたが、今では当蔵のような小規模酒造は製造が営業に出ないと良い酒は造れないのかもしれないと思うようになりました。



そろそろ仕込みが始まるので営業はここまでですが、外に出て得た刺激を酒造りに落とし込んで、昨年よりもっと良い酒にするよう頑張ります。


ということで、振り返り、お終い。


貧乏見習いなので、サポートして頂けるととても喜びます。