続々・親方と僕

今季も僕が勤める蔵へ南部杜氏の親方が来てくれました。今年で77歳、猫を4匹飼っています。そして極端な変化を嫌う人です。


今季は蔵の中も微妙に設備を変えて、新しい試みも行ったり、昔から使われていた仕込み道具とは大分異なるものも多数導入しています。それら全て、親方の意見を参考にしたわけではなく、僕がセンターの先生や社長と相談して判断して導入したものです。


蔵へ到着した親方にそれら変更点を伝え、その意図を説明し、使用するのに難色を示すようであれば控えることも覚悟していました。

ですが親方はそれらを全て受け入れてくれて、何なら「挑戦してみるか」と言ってくれるくらい前向きな言葉をかけてくれました。また、新しいものに対しては自身のこれまでの経験から起こり得る懸念点なども指摘し、わざわざそれを検証することまでしてくれたり。改めてこの人が親方で良かったと思える瞬間でした(勿論腹立つ時もありますが笑)。


僕の親方は28歳で杜氏試験に合格し、29歳から集団を率いる杜氏として活躍されています。その最初の年から様々なトラブルに見舞われ(例えば醪を送るポンプのモーターが壊れて動かなくなった)、それら全てに頭をフル回転して対処し(モーターでいえばコイルを夜に巻き直して動くようにしたり)、結果につなげ、歳上の同僚たちに杜氏としての存在感を示してきた方です。


そんな親方に対して、過酷な環境にもなく、トラブルがあってもそれを既に何十回と経験してきたベテラン杜氏(つまり親方)がそばにいてくれて安心安全に造りのことをゆっくり勉強できる自分は幸せ者だなとふと思ったので、そのことを纏めた内容のことを書きたくなったので書いただけのnoteでした。


終わり。


貧乏見習いなので、サポートして頂けるととても喜びます。