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#45 泡なし酵母について
今回の問題
泡なし酵母について述べよ。
自分の回答
200字回答
泡なし酵母とは、酒母や醪の発酵の際に高泡を形成しない酵母で、きょうかい酵母の場合は種別番号の末尾に「01」がつく。一般的な清酒酵母の1億個に1つほどの割合で存在する変異株を分離・実用化している。性質は泡ありの親株酵母とあまり変わらないが、発酵の高泡の期間中に、泡消し器を稼働させる必要がなく、泡立ちの高さを見越して仕込み量を減らす必要がない。現在のきょうかい酵母の頒布量の約7割は泡なし酵母である。(199字)
回答の要素
泡なし酵母について
酒母や醪の発酵の際に、高泡を形成しない性質をもつ。
きょうかい酵母の場合、種別番号の末尾に「01」がつく。
一般的な清酒酵母の1億個に1個ほどの割合で存在するといわれる変異株を分離・育成する。
現在のきょうかい酵母の頒布量の約7割は泡なし酵母。
泡なし酵母の利点
性質は泡ありの親株酵母とあまり変わらない。
発酵の高泡の期間中に、昼夜わたり泡消し器を稼働させる必要がない。
泡立ちの高さを見越して仕込み量を減らす必要があまりない。
仕込みタンクの内部の洗浄が楽。
一方、泡の表情の変化で発酵を確認したり、泡により生み出される微生物環境を重視したりする蔵は「泡あり酵母」を選択する。
回答の構成
・高泡を形成しない、末尾に「01」
・変異株を分離・実用化、親株と変わらない
・泡消し器不要、仕込み量ギリギリまで
・きょうかい酵母の約7割
回答の補足
泡なし酵母は、島根県の簸上(ひかみ)清酒にて1963年に発見された。高泡が立たず、当初は腐造と思われたが、問題なく清酒ができた。そこで、秋山裕一博士をリーダーとするプロジェクトが発足し、変異種である泡なし酵母の発見へと至った。
通常の酵母は、気泡の周りにくっついてしまう(疎水性)。そのため、気泡につられて表面に酵母が溜まり、高泡が発生してしまう。一方の泡なし酵母は気泡にくっつかない(親水性)。そのため泡が出ても酵母がくっつかず、気泡は表面に来たら割れ、高泡にならない。
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その後、研究が進み、泡なし酵母は「AWA1遺伝子」が欠損していることが判明した。AWA1は「アワ ワン」と読む。もちろん、この名前を持つ遺伝子がもともとあったわけではなく、高泡を形成する遺伝子ということが判明したので名付けられたものである。
我々は,この遺伝子が高泡形成に関与しているということからAWA1と命名した。この名前は,この研究が始まった当初から,高泡遺伝子が取れたらこの名前を付けようと研究室の仲間と話し合っていたものである。
他の回答
先人たちの回答
なし
参考文献
J.S.A SAKE DIPLOMA 教本(Third Edition)p. 97
日本醸造協会, お酒造りの小さな主役 -清酒酵母の話-Part 7 泡なし酵母物語, 2020, 閲覧2023年6月24日
大内 弘造, 泡なし酵母の歴史, 日本醸造協会誌, 2010, 105 巻, 4 号, p. 184-187
下飯 仁, 清酒酵母の高泡形成に関与する遺伝子AWA1, 日本醸造協会誌, 2002, 97 巻, 7 号, p. 474-480
※ 引用時に出典URLを明記したものは省きました。
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