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#20 青森県について

今回の問題

生産地・青森県について述べよ。

自分の回答

200字回答

青森県は白神山地の湧水など上質な清水が豊富で、濃醇でしっかりした酒から、近年は穏やかな酸味とクリアで柔らかい酒が増えている。江戸時代から続く酒蔵が多く、明治期には純粋酵母醸法や四季醸造など革新的な動きが始まった。まほろば華酵母など独自の酵母開発を行っており、純米酒向きの華吹雪や吟醸酒向きの華想いなど、酒米開発にも力を入れている。酒米は概ね自県産で酒造りを担う自給自足タイプ。(188字)

回答の要素

酒質について
白神山地など上質な清水が豊富。
濃醇でしっかりした酒質の酒もあるが、近年は穏やかな酸味とクリアで柔らかいタイプも増えている。

歴史について
江戸時代から続く酒蔵が多い。
明治期には純粋酵母醸法や四季醸造など革新的な動きが始まった。

酵母や酒米について
まほろば華酵母(華酵母、吟酵母、醇酵母、芳酵母)など独自の酵母開発。
純米酒向きの華吹雪、吟醸酒向きの華想いなど、オリジナルの酒米開発にも力を入れている。
酒米は自給自足タイプ。

回答の構成

・白神山地、豊富な清水
・濃醇しっかり、穏やかな酸味とクリアで柔らかい酒
・江戸時代から続く酒蔵
・明治期に純粋酵母醸法、四季醸造
・まほろば華酵母
・純米向き華吹雪、吟醸向き華想い
・自給自足タイプ

回答の補足

純粋酵母醸法とは、酒母の代わりに純粋培養した酵母で酒造りを行う方法のようである。弘前の新進醸造家、福島藤助氏が和歌山県の溝端酵母研究所にて溝端久太郎より指導を受け、その実践を弘前にて行なった。これによって腐造リスクが下がり、四季醸造が可能になった。

純粋酵母應用に非常の興味を持ちて、目身職工と伍し熟心經營せらるるのは福島藤助氏で、氏は明治三十年に醸造業を開始し三十五年に溝端傳習所を出でし以來純粋酵母のみにて仕込を行ひ、著々改良を施し、現に千以上の造石を悉く純粋酵母のみにて仕込み、成功の緒に就きたりとは甚だ賀す可きである、然るに氏は尚之を以て足れりとせず、他人の學説に傾聽すること頗る切實である

江田 (1908) より

時間と手間がかかる上に腐造のリスクがある酒母造りの短縮化は積年の課題であり、速醸酵母や超速醸酒母(山田 他 1968)、高温糖化酛など、さまざまな醸造技術の開発が進んだ。

まほろば華酵母、華吹雪、華想い、とにかく華がある。青森県の日本酒は、田酒や陸奥八仙あたりが人気だろうか。

他の回答

先人たちの回答

青森県の酒造りは、伝統的には「濃醇で、しっかりした酒質」であるが、近年「穏やかな酸味で綺麗なタイプ」のお酒も人気を博している。江戸時代から続く酒蔵が多く、津軽エリアでは大規模な治水工事と新田開発によって、南部エリアでは東廻り航路に伴う近江商人の伝来によって、酒造りが活発化した。近年では「まほろば華酵母」の開発や、「華吹雪」など県オリジナルの酒米開発が盛んであり、酒米は自給自足タイプである。

すしログさん
https://sushi-blog.com/sakelog/sake-diploma-essay/

青森県は白神山地の湧き水など、上質な清水が豊富な地であり、その美しい水を思わせるクリアな酒質の酒も多い。明治期には純粋酵母醸法や四季醸造が始まった。独自の酵母や酒造好適米の開発にも力を入れている。酵母は花酵母、吟酵母、醇酵母、芳酵母の4種類からなる「まほろば花酵母」シリーズ、酒米は純米酒向きの「花吹雪」、吟醸酒向きの「花想い」などがある。酒米は自給自足タイプ。

えすにっくさん
https://ethnicsake.blog.fc2.com/blog-entry-165.html

参考文献

J.S.A SAKE DIPLOMA 教本(Third Edition)p. 110,111
江田 鎌治郎, 東北の酒造業 (其の四), 釀造協會雜誌, 1908, 3 巻, 7 号, p. 50-58
青森県酒造組合連合会, 酒風土記 青森, 日本釀造協會雜誌, 1971, 66 巻, 4 号, p. 317-319
レファレンス協同データベース, 溝端久太郎の経歴、溝端酵母研究所(和歌山県妙寺村)に関する情報を知りたい。, 2020年1月24日, 閲覧2023年9月28日
山田 正一, 小泉 武夫, 箕面崎 文彦, 超速醸酒母について, 日本釀造協會雜誌, 1968, 63 巻, 11 号, p. 1134-1136

※ 引用時に出典URLを明記したものは省きました。
※ 内容に間違いがある場合があります。ご指摘いただけると幸いです。

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