【いちばんすきな花】第5話を観て

今期のいちばんすきなドラマである『いちばんすきな花』の第5話を観ました。
早いところでもうこのドラマも折り返しです。
秋ドラマが終盤にさしかかるということは、今年ももうすぐ終わってしまうということです。早いですねぇ。。

ここまで観ていて、いつまでも観ていられると感じた。
4人が出会ったことでそれぞれが感じていた生きづらさが軽減し、それと向き合っていく。生きづらさが無くなることはないが、それを言語化して話せる、いい意味で気を遣わない友達になった4人の日常は何も事件が起きなくても観ていられる。

今回の第5話は紅葉の回だった。

冒頭のモノローグのシーンで、

  • 孤独を感じたことはなかった、たくさんの友達がいてみんなと仲良かった

  • 明るくて優しいと言われた、誰とでも仲良くなれた、みんなから必要とされた

  • 友達がいなくて1人でいる人、余っている人を見つけて、一緒にいてあげた

  • いじめをしている人、いじめを見て見ぬふりをしている人よりも最低だ

と言っていた。(文言は少し違うかもしれないがニュアンスはだいたいこんな感じだったはず)

「いじめている人、いじめを見て見ぬふりをしている人よりも最低だ」
最初は、この意味がよく分からなかった。
でも、これは紅葉が篠宮のアトリエで話した内容に繋がっていた。

篠宮は、友達がいなくて1人でいたところに紅葉が声をかけたことで仲良くなった。紅葉のおかげで1人ではなくなったし、黒崎という友達もできた。明るくて優しい、友達もたくさんいる紅葉が自分と一緒にいてくれたことに感謝していた。

紅葉の視点では、実は友達なんていなくて、目立ってるやつと一緒にいて良いように利用されているだけ。でも、冒頭で言っていた「明るくて優しいと言われた、誰とでも仲良くなれた、みんなから必要とされた」という風に周りからは見られていて、それがしんどかった。
だから、クラスに友達がいなくて1人でいる人を見つけては一緒にいてあげた。そういう人は俺なんかと一緒にいてくれて、一緒にいてあげるだけで喜んでくれるし裏切らないから。
紅葉はそんな自分のことを優しいふりをして近づいた最低なやつだと思っていた。

高校時代のシーンで印象に残ったのが、紅葉が廊下で篠宮を見かけて声をかけようとしたときに篠宮と黒崎が一緒にいて声をかけるのを躊躇ったシーンだ。
2人とも紅葉とは友達だし、篠宮と黒崎の間を取り持ったのも紅葉なのだから声をかければいいと思う人もいると思う。
これは勝手な想像だが、紅葉はどこか篠宮や黒崎の様な人を下に見ていたのだと思う。自身は目立っている人達と一緒にいて、明るくて優しい、友達がたくさんいる、みんなから必要とされていると評価されていた紅葉は、友達がいない人と「一緒にいてあげた」と上から目線ともとれる言い方をしていた。
でも、廊下で見かけた篠宮は黒崎という友達がいて、そこで2人組になっていた。
友達がたくさんいると思われているが、実は友達はいない紅葉からすると、今まで下に見ていた篠宮達が自分よりも上に行ってしまったと感じたのではないだろうか。

友達が多いと思われているが実際には友達と呼べる人はいないうえに、一緒にいてあげた篠宮には友達ができていたことで生まれた劣等感と、実は優しいふりをして一緒にいてあげていたことの罪悪感を篠宮のアトリエで打ち明けた紅葉。
それに対して篠宮は、今でも紅葉の行動は「優しさ」と捉えていた。そして「そっちの勝手な罪悪感でこっちの良い思い出を塗りつぶさないでよ」と言った。

このシーンは今回の話の核になっていると思った。
まず、篠宮が紅葉に仕事を回してもらえるように頼んでおくと言った理由を、「優しさ」と言った後に「優しいふり」と言い直した。これは紅葉のしたことと同じことを今度は篠宮が紅葉にしている。
帰り際に紅葉が「お邪魔しました」と言ったのに対して、篠宮は「バイバイ」と返した。序盤に紅葉が春木家を出る時にも同じセリフがあったが、その時に椿は「またおいで」と言っている。この対比で、篠宮と紅葉がこれから再会することはないことが示されていると思った。

次に、順番は前後するが篠宮がアトリエで黒崎と電話するシーン。
ここで篠宮は高校時代に紅葉と一緒に描いた公園の風景の絵を黄色で塗りつぶそうとしている。
これは「そっちの勝手な罪悪感でこっちの良い思い出を塗りつぶさないでよ」というセリフを表現している。黄色は春木家で紅葉が選んだマグカップの色で、紅葉のことを表している。篠宮の思い出の公園の絵を紅葉の罪悪感で塗りつぶしているのではないか。

最後に、春木家でゆくえと紅葉が2人で話しているシーン。
ゆくえが篠宮の絵と紅葉の絵をどちらも優しい感じがするといって同じタイプだと言った。紅葉自身は自分のをと篠宮の絵を全然違うタイプと思っていたが、ゆくえは「実際にどうなのかよりも、それを見た人がどう思うかじゃない?」と言う。つまり、ゆくえがどちらも優しい絵だと思ったのなら優しい絵でよい。
今回の話で言えば、篠宮が「優しさ」と捉えているのなら、実際には「優しいふり」だったとしても「優しさ」ということでよいということになる。

最後のゆくえの言葉は、紅葉に響いていたように表情からは読み取れた。
前回まででも、ゆくえが夜々や紅葉に言った言葉が2人にとっても、視聴者にとっても響く言葉だなと感じた。
「良い悪いには理由が要るが、好き嫌いには理由は要らない」、「お人形にならないでね。夜々ちゃんは夜々ちゃんのままでいてね」など。


まだまだ書きたいことはたくさんあるが、長くなりそうなので今回はこの辺までにしておきます。
次回は赤田が春木家にいる場面が予告であったので、めちゃめちゃ楽しみです。(なんでいるの?)

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