私がプロレス撮影で心がけている7つのルール ~観戦当日編~
こんにちは、さかやきです。2021年最初の記事でございます、本年もよろしくお願い申し上げます。
と、言いつつ本稿は昨年から書きかけのまま放置していた記事ということを最初にお詫びしておきます。
そんなわけで、以前にプロレス観戦におけるやっておいた方が良いと思う「事前準備」について記事を書いたことがありました。
今回はプロレスの観戦当日に私がやっていることことについて書いていこうと思います。
プロレスの試合写真をカメラで撮った経験のある人、プロレス観戦の経験はあるけどプロレスの写真をこれから撮ってみたいと思っている人などに読んでもらえたら幸いです。
1. 記録メディアは空の状態に。
というわけで、まずはカメラに挿入されている記録メディア(SDカード、CFカードなど)はフォーマット(初期状態)して写真が記録されていない空の状態にしておきましょう。
この場合、もちろん以前に撮影したデータはすでにバックアップ済として話を進めさせていただきます。
市販されているデジカメにはだいたいカードを初期化する機能が備わっていますので、事前にPCなどで初期化しておかなくても当日会場に着いてからでも初期化の作業はできます。
では何故、SDカードを初期化するのを推奨するのか?
それはプロレスの試合撮影は枚数が必然的に多くなるからです。
普段の大会でも1大会あたり1,000枚を超えるのが当たり前で、ビッグマッチともなるともっと枚数は多くなります。(ちなみにリングサイドカメラマンの方は1試合あたり1,000枚を超えるそうです!)
枚数が多くなることに加えて私の場合RAWファイルで撮影するので、ある程度の大容量が必要になってきます。
過去の経験として、前回のデータを残したまま撮影し続けて試合途中にカードの容量がいっぱいになってしまい予備のカードも無かったので決定的瞬間を撮り逃すという苦い経験があります。
現在使用しているα7Ⅲはダブルスロット(SDカードが2枚挿せる仕様)なので片一方のカードが限界まで記録された場合、自動的にスロット2のカードに記録されていくように運用しています。もちろん2枚目のカードも空の状態にしておきます。
とはいえ、エントリーモデルなど比較的安価な機種はまだシングルスロット仕様のカメラが多いので高画質で記録したいという人はSDカードの容量には十分気をつけたほうが良いでしょう。
やっぱり空の状態にしておいた方がカードの残容量を気にしなくて済むので精神衛生上よろしいと思います。
2. カメラの設定は前説までに済ましておく。
2つめのルール。それはプロレスの観戦経験がある人はよく知っていると思うのですが、大会の開始前には前説が時間があります。(観戦時の諸注意や当日の対戦カードの発表などをリングアナウンサーやスタッフが説明する時間。)
例として私がよく観戦している東京女子プロレスでは大会の開始前に難波小百合リングアナによる前説があります。(もちろん撮影はOK)
私の場合ですが、あまりギリギリに着席するというより少し時間に余裕を持ってチケットに記載された座席に座り試合開始前の前説までにカメラ側の設定を済ましておきます。
ある程度の観戦経験を積んでくると自分の使っている機材における最適な設定が見つかると思いますが、私の場合はシャッタースピードとF値は変えず、ISO感度とホワイトバランスを会場によって変更しています。
ミラーレスカメラを使用していますので、リアルタイムでモニターに仕上がり具合が反映されるのが大変助かっています。
一眼レフを使用しているという方は、細かく何度も試し撮りをしておいて適正露出を決めておくと良いと思います。設定さえ決まれば試し撮りの写真は消していいでしょう。
3. 試合ごとにフォルダを分ける。
3つ目にして、ここが実は一番私がオススメしたい部分だったりします。
プロレスの興行の流れをざっくりと説明すると
アンダーマッチ(前座の試合、第0試合やダークマッチとも言う。大会によっては無い場合があります。)→前説(オープニング)→オープニングマッチ(第1試合)~ 第○試合(時と場合により変動します)→セミファイナル→メインイベント→エンディングという流れがあります。
私の場合、これらの場面や試合ごとに記録フォルダを作成して撮影しています。
例えば、とある大会の観戦に行ったとします。その日はアンダーマッチが1試合、前説の時間あり、本戦がメインまで含めて7試合、そして大会後の物販で選手の撮影が可能の大会だとしましょう。
その場合、観戦前には空の状態だったSDカードの中には大会が終える時に計10個のフォルダが出来上がる計算になります。
なぜそんな手間を増やすのかというと、これをしておくと編集作業の際に写真の選別・編集が格段に楽になるのです。
カメラのメニュー画面に「新規フォルダ作成」という項目があると思うので、それをすぐに呼び出せるようにカスタム登録しておくと便利です。
フォルダ作成自体は10秒もあれば出来てしまうので、試合と試合の転換中に忘れずにサッとやってしまいましょう。
騙されたと思って試してみることをオススメします。
4. とりあえず全試合・全選手撮ってみる。
前にツイッターのフォロワーさんのつぶやきだったと思うのですが、「プロレスの観戦時に好きな選手だけを撮るか、出場してる選手を全員撮るか」どちらの考え方をしている人が多いかみたいなことを書いていたのを見た気がするのです。
前者の気持ちは良く分かります。私だって人間なので好きで応援している団体や選手の試合は他の試合よりも気合が入ります。
逆を言えばそれほど興味を持てない選手がいることも事実です。
それでも私は極力、一つの大会で満遍なく選手を撮りたい派の人間です。
理由としてはいくつかあるのですが、1つは推しの試合だけ撮ろうが全試合撮ろうがチケット代は変わらないという貧乏性丸出しな考え方。
そしてもう1つは、自分はそれほど興味は無くても選手ご本人だったりその選手を応援しているファンの人が喜んでくれるからという考え方。
例えばの話、「友人(フォロワー)の〇〇さんは、〇〇選手のファンだから良い写真を撮ったら喜んでくれるかな!?」ということを以前より思うことが多くなりました。
いずれもうちょっと深く考えて、記事にもしてみようと思う部分ではありますがこちらの記事を参考にしてもらえると私が言わんとしていることが伝わるかと思います。(たかはしさん、いつもありがとうございます。)
撮影に慣れない内は選手に対する理解度(ファイトスタイル、得意技など)も低いし複数人が闘う試合など撮るのは大変かと思いますが、初めて試合を見る選手でも意外と撮ってみたら面白かったりするので私としては推しだけを追うより全選手を満遍なく撮ってみたら色んなスタイルにも対応出来るようになるしスキルアップにも繋がるんじゃないかと思ったりします。
知らないから見ない、知らないから撮らないというのは勿体無いですよ。
5. 試合の空間全体を把握する。
「試合の写真を撮っている人はちゃんと試合を見ていない」
たまに見るこういう意見に対して思うことがあるので、あくまで私の持論として言わせて欲しいのです。
「ちゃんと試合を見ていないと良い写真は撮れません」
プロレスという競技は1対1の試合もあれば、2対2、3対3、10対10、1対1対1など多種多様なルールで試合が行われます。
シングルマッチを除くタッグマッチなどの場合、試合権利のある選手以外はただコーナーでボサッと待っている訳では無いのはプロレスを見たことのある人なら誰でも知っていることです。
また自動車を運転したことのある人なら分かりやすいかもしれませんが、車を運転する際に運転中に見ているのは前方だけでは無いですよね。
運転中は常に前後左右の状況を把握しながら、注意深く運転するスキルが求められます。
「試合中はずっとファインダーを覗いているのか?」という質問を受けたこともあるのですが、結論から言うと「ずっとは覗いてません。」
主に試合権利のある選手を注視しつつ、ファインダーを覗いては離して肉眼で全体の様子を把握するということの繰り返しです。
特にズームレンズを使用していると視界が狭くなるので、死角から選手が急に飛び込んでくることがあるのでまだまだ未熟だなぁと思うことが多々あります。
6. 試合中に写真の確認をしない。
これもよくやりがちというか、個人のスタイルなので絶対にやってはダメというのは言えませんが私はしないようにしていることです。
デジカメには「オートプレビュー」という機能が付いています。
写真を撮ると、撮った写真が自動でモニターに表示されるアレです。
私の場合ですが、そのオートプレビュー機能はオフにしています。
何故かと言うと確認作業が無駄だからです。
※試合中は撮影に集中しましょう!
プロレスのみならず、スポーツの撮影は撮影者が撮影に成功しようが失敗しようが撮り直しが出来ません。
そして「今の瞬間ちゃんと撮れたかな?」と確認している間にも試合は続いているのです。確認作業をしている間に決定的なシャッターチャンスが訪れることも多々あります。
というわけで、試合中に撮った写真を確認する作業は無駄なので私はやりません。写真の確認は後でゆっくりやればいいのです。
7. その場で撮れた写真を完成品だと思わない。
写真用語に「撮って出し」という言葉があります。これは撮影した写真に何も編集で手を加えていないカメラで撮れたままの写真のことを言います。
私の持論ですが、ことプロレスの写真において撮って出しが許されるのはよく晴れた屋外での試合写真だけだと思います。(もちろん屋外での試合写真でも編集することは全然ありです。)
屋内で撮影した写真を無編集で投稿する勇気は私は持ち合わせてません。
つまり何が言いたいかと言うと、「カメラで撮れた写真がイマイチだとしても編集でいくらでも素晴らしい作品に仕上げられる!」ということです。
以前ツイッターにこのような写真を投稿しました。
この写真は沢山の人に見ていただけて、実際にお会いした方々からもお褒めの言葉をいただけて思い出深い1枚になりました。
では、ここで編集前の写真を見てもらいましょう。
関本選手の眉山は凄い技ですが、写真自体は対して面白みの無い凡庸な1枚だと思います。
それを編集によってここまで持っていきます。
全然印象が変わると思います。
いつの頃からか写真は「ありのままを写すもの」から「より自分を美しく見せるもの」という認識が一般的になりました。
わかりやすく言い換えると私にとって写真を編集するということは「盛る」作業なのです。盛ることによって完成形へと近づけるのです。
あくまでカメラで撮れた写真は食材のようなもの。その食材(素材)を美味しく料理・味付け(編集)できるかというのはその人の知識量・センスが問われると思います。
とりあえず、会場で撮った写真を見て一喜一憂する前に写真の編集作業を覚えるところから始めてみると写真の楽しさがわかると思いますよ!
まとめ ~プロレス撮影のPDCAサイクルを考える~
最後にPDCAサイクルはプロレス撮影にも当てはめることが出来るという持論を展開して本稿の締めとしたいと思います。
PDCAサイクルとは:
Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善)のサイクルを繰り返し行うことで、継続的な業務の改善を促す技法。
ではこれをプロレス観戦に当てはめてみます。
Plan(計画):当日の会場の情報(座席など)を把握出来る場合は把握しておき、事前に撮影に必要な機材を選定する。対戦カードなどからその日に出場する選手の特徴を事前に把握しておく。
Do(実行):実際に試合を観戦しながら撮影する。
Check(評価):撮った写真を確認、編集、SNSなどに投稿する。
Action(改善):上手く撮れなかった場合は何故上手く撮れなかったのか原因を見つける(機材の問題なのか、カメラの設定なのか)。そして次の観戦に備えて改善する(Planに戻る)。
プロレスの写真を上手く撮れるようになるには一朝一夕ではなく何度も繰り返し会場に足を運んで、何試合も試合を撮ることしかないと私は思っています。
しかしながら闇雲に何千枚、何万枚と撮っていたところで人は成長するとは思えません。
常に頭の中に理想を思い描きながら、その理想を実現するために最適な素材を仕入れる力を身に着けたいですよね。
最後に有名すぎるほど有名な野球選手の名ツイートを貼って終わりたいと思います。それではまた!!
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