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3. かげきしょうじょ!!

※ややネタバレがあります。未見の方はご注意下さい。

先月末で最終回を迎えたアニメ「かげきしょうじょ!!」は、紅華歌劇団という女性が男役も演じる宝塚のような劇団に入るため、付属の音楽学校で切磋琢磨する少女たちの青春群像劇です。

わたしは原作は未読でアニメから入ったクチで、宝塚も歌舞伎も観たことなくても楽しめました。(歌舞伎はさらささんの過去に密接な関わりがあり、作中でかなり触れられています。坂東玉三郎の動画を見てから、一度ちゃんと観てみたいと思っています)

最初は元気で天然なさらささんのキャラが苦手だったのですが、色々な悩みを抱える思春期の少女たちに順々にスポットが当たり、お互いの関係性が深まっていくうちに無邪気すぎるさらささんの別の面が見えてきて苦手意識はなくなりました。
他の子たちもそれぞれ懸命に生きている素敵なキャラクターで、語ろうと思えば一話から順を追って説明しなければならないでしょう。語るより見るが早しです。

で、今回話したいのは最終話の、それもかなり終盤のところ。
感動と言うか、そんな大層なことではないんですが、声にならない感嘆が出そうになったシーンがありまして。


ーティボルト役に一票差で選ばれなかった優等生・紗和さんが、その一票をいれた先生に理由を尋ねるシーンー
大木先生「そうですね、今風に言うとすれば...渡辺ティボルトの方が若干...萌えが高かった」
紗和さんが池田理代子風驚愕の白目と手の動きで「萌・え!」とよろめく。

上品な先生が興奮のため少し早口で仰る「萌え」の破壊力たるや。
規律を重んじ、常に気高くあろうとする世界に差し込まれた、ユーモアとオタク的熱量の感じられるシーンです。
聞かされた側の紗和さんも重度の紅華歌劇オタクであるところもミソですね。ともすればきらきらしく遠い世界に思えてしまう夢追う少女の学舎が、ぐっと近くに感じられます。人間ぽさと言うか、わたしたちと地続きのところにいるような感じ。(現実でない世界観だと非人間的な人物が大好物なんですけどね...)

あとこのアニメはエンディングも良いのです。
メロディは同じで歌詞・歌手・イラストの違うパターンが幾つか存在し、回毎にその回で注目された登場人物が二人もしくは一人で歌っているバージョンが流れました。
心の機微が丁寧に落とし込まれた言葉が、華麗な曲に乗って聞こえてくると、自然と彼女たちの葛藤が思い出されてしみじみします。
それぞれの歌い方の違いも比較できて楽しいです。
Youtubeに公式のノンテロップEDがあがっているのでぜひぜひ。

ちなみに夏アニメのエンディングで一番ハマったのは「迷宮ブラックカンパニー」のリムちゃんとソラちゃんが踊っているやつ。
むちゃくちゃかわいいのでこちらもオススメです。三次元では再現できないかわいさ...。多分ラフな格好と、動く前の一瞬のタメがかわいさの源。

そういえば「かげきしょうじょ!!」少年版みたいなマンガがあって、町田粥さんの「吉祥寺少年歌劇」というもの。大筋はほぼ同じ流れですがキャラクターの性格や背景の違いで「かげき~」とはまた別の味わいなので合わせてチェックしてみたらいかがでしょう。
二つの作品の少女と少年の違いを(肉体面以外で)わたしはあまり感じていないのですが、「吉祥寺少年歌劇団」の方が色っぽい雰囲気です。
絵柄の違いなのかな?
それとも少年だから?


わたしは音楽が好きになれないと見終わった後すぐ忘れてしまうところがあって、だから「かげきしょうじょ!!」はこれからも折に触れて思い出す作品になるんじゃないかなあと思う。
それに文化祭の準備だけして本番がまだなので、2期に大いに期待です。

ではまた。

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