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29. G-SCHMITT「STRUGGLE TO SURVIVE」 【音楽】

大学時代に知ってずっと音源がほしいなとは思っていて、最近になって本腰を入れて探したところ運良く相場の半額くらいで入手できたCDです。

G-SCHMITTはwikipediaもないし、調べてもあまり情報が出てこないけど(5年くらいしか活動してなかったインディーズバンドですし)先日の「ロートレアモン全集」と同じく退廃、厭世に惹かれる方には響くと思われるので。そういう方はぜひ。聴いてください。とりあえずyoutubeででも。

で、G-SCHMITTって何よ、というとわたしもリアルタイムで知っていたわけではないので(生まれてないですし)ネットで得られる情報しか持っていないんですよね。
活動期間は83年〜89年。ヴォーカルのSYOKOさんを中心に、バンドメンバーは入れ替わりが激しかったらしい、名前もほとんど出てきません。
今ではどこで何をしているやらさっぱり分かっていません。

限られた楽曲にしか触れていない状態で敢えて言えば、わたしはニューロマンティックの影響が強いと思います。
精神的にはパンクな要素もあり、歌詞は大抵、必死にもがいたり絶望したりしています。
父の評曰くRoxy Musicの影響を直に受けていて、アルバム内の一曲はまんまPink Floydとのことなので、その辺が好きな方も違和感なく聴けるのではないでしょうか。


☆ニューロマンティック
70年代後半〜80年代前半にほんの一時隆盛したUKロックの1ジャンル。
音楽的な共通点はほとんどなく、シンセサイザーなどを多用したポップなバンド・サウンド、らしいです。
音楽性より派手なファッションや奇抜なメイクが特徴で、それがヴィジュアル面なのかどうかはバンドによって違うと思いますが日本のヴィジュアル系バンドに影響を与えました。(その中にSOFT BALLETの名前もあって、ぐわぁと思いました。結局、わたしが好きになる邦楽って大体みんな親の趣味であるところの70〜80年代UKロックの影から逃れられない)
代表的なグループはVisageとかDuran Duran、Ultravoxとか。

Duran Duranはアイドルのごとく見目麗しいメンバーが揃っていたため女の子たちに人気だったらしいバンド。
Ultravoxの「vienna」なんかは聴いたら誰でもサビを知っていると思います。
G-Schmittの曲の感じはVisageの「Fade To Grey」に似ていると思う。


もうこれ以上全体的な説明ができないので、今回購入したCDの紹介に移ります……(笑)

まず、CDを手にしてびっくりしたのが、ケースのこと。
画像検索で出てくる写真は、当然のごとくジャケットの柄だと思っていたんですよ。
それがですね、ケースに柄が白く印刷されていたんです! なんと! 洒落ている……(実物を見ないとなかなか伝わらないかとは思いますが、是非貴方も「STRUGGLE TO SURVIVE」で画像検索して上記の様を想像してみてください)

中には歌詞カードとSYOKOさんの声明が入っています。歌詞カードはペラ1枚ですがちょっと特殊な加工をした紙を使っていてこだわりが感じられます。

1曲目は「Kの葬列」の荘厳な音から始まります。
同名の楠本まきの漫画からG-Schmittを知ったので、この曲が真っ先に聴こえてくるの本当に嬉しい。楠本まきの漫画との因果関係は不明。

蛇足的メモ:楠本まき「Kの葬列」の愛蔵版が先月末に発売したことを、久々に公式twitterを見たことにより知る。新宿の紀伊国屋書店で原画が少し展示されているらしい。金曜日には行けるからそれまで展示していてください〜!

その後、知っていた曲、知らなかった曲がないまぜに流れます。ひとつひとつの音はわりと単純なのだけれど、それらが組み合わさることで独特の神々しさというか、神秘性を醸し出しています。
この雰囲気は、揺らぎながら、芯は強いヴォーカルに負うところが大きくて、SYOKOさんの歌声はちょっとそこらにはいない響き。歌いながら傷ついているような、脆く尖った印象を受けます。声明の、「やがて来る死を見据え、何かを残すためにあがく」態度がまっすぐ現れた声です。

「farewell」はしっとり静かなバージョンとアップテンポなロックバージョンの2曲が収録されていて、歌詞と基本的なメロディは同じなのですが曲調が全く違うので、最初同じ曲だとは気付きませんでした。個人的には静かなバージョンの方が好み。SYOKOさんの声は張上げるより落ち着いて歌っている時の方が説得力がある気がする。

初めて聴いて一番印象に残ったのは「waltz 〈premavera vals〉」。珍しく希望を歌っていて、繰り返される“ワルツ”が耳に残ります。

歌詞が一等美しいのは「the 1001 nights」。

今ここに千と一夜の眠りの果て蘇る私

字面を眺めているだけでロマンを感じます。


とは言えやっぱり「Kの葬列」を最もよく聴くことになりそうなのは否めませんが……。
引き続きもう一枚のアルバムと、レコードも何枚か探し中です。


まとまりのないとっちらかった文章になってしまった。
ではまた。


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