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羊だらけの北京料理

「ディープな北京料理屋に行きませんか?」

そんなお誘いを受けたら、もう5秒後に「行きます!」の返事しかない。

向かうは横浜の日ノ出町駅。実は降り立ったこともない駅。横浜はみなとみらいや桜木町、元町中華街などのキラキラ観光地のイメージしかないけれど、光の裏には影もあるわけで。

この界隈は旧遊郭街と言われていたらしく、さすがにその名残は大通り沿いには見られなかったけれど、見る限り下町感あふれる飲み屋街がずらっと軒を並べていて、なんとも誘惑の多い場所だこと、と思ったり。

到着したのはこちら。所見で期待しかないディープさ。そして今宵のメンバーも香港・北京にご縁のある方で囲むというなんとも嬉しい会。

壁にあるのが串メニュー。おそらく一頭買いしていると思われるほど、内臓系も豊富。ちなみに右から4番目の「羊寶」は、お宝の如く羊の睾丸。さすがにチャレンジできずだったけど、いつか誰かが頼むときに一口お味見させて欲しい。

今回のメンバーの多くが北京留学経験者。メニューを眺めながら「ここまで羊多いのは珍しい!普通牛や豚で作る料理が全部羊になってる!」なんていいながら楽しくオーダー。

羊肉串(ヤンロウチュワン)と言います

来ました来ました。なんとまあ立派な羊肉串!北京で食べてたやつより立派で柔らかくて、圧倒的に美味しい。

北京の街角の屋台で売られているやつはクズ肉固めたような小さくて硬っいやつだったよねー、だったり、竹串は使いまわされるから折って捨ててたよねー、などという中国アルアルな話などで盛り上がる。

龍年だから龍酒を飲もう!みたいなキャッチフレーズがそこらかしこにあり、聞くと中国のアルコール度数が高ーい「白酒」だそうな。

こちらも全員白酒にまつわる派手な失敗談やトホホ話などで盛り上がる。ちなみに私が持ってるネタは「内モンゴルで救急車」(笑)。

飲んべえはこちらをちびちびやりながら羊肉串を頂いてました
冷菜の豆腐の和え物、チーズのようなクセのある豆腐がまたグーなのです

北京料理といいながらも、コックさんはどこの人だろう?と首をかしげる。全員通訳学校経験者、なんなら通訳経験者ゆえ、ここぞとばかりに中国語で会話する。北京出身のコックだと聞いたけれど、あれ?おかしいなあ・・

なんというか、北京料理には珍しく、ほんのり甘い味付けが加わっている。美味しいんだけれど、「すこーし違う」のだ。きっとその人の手味というか家の味がそのままそっくり出るところも、料理の面白さでもあり、美味しさなんだと思う。

これもおいしかったな。薄焼きクレープを更に細切りにして炒めちゃうのです

話題は中国の話や今の日本の政治だったりと多岐に渡る。中華経験者なのかその人の特性なのか、お酒なのかは分からないけど、割とストレートな直球を投げたり投げ返す会話が繰り広げられる。オブラートに包みまくる日々から一気にむき出しの大陸に連れてこられた気分。

中国語という言語が、話し手同志が主張を繰り返しながら落としどころを見出していく主張文化であること、そしてその文化にどっぷり浸かった経験もにあるのかもしれない。

実際、上海万博を担当した経験のある女性は「中国の皆さんに日本のことを知ってもらいたい」という希望を胸に飛び込んだものの、実際は「言うことを聞かない中国のお客さんを叱り飛ばす毎日だった」と嘆いていた。

もう、ありえないような、でも中国ならありえる&過ぎてしまえば笑ってしまうようなズルッこに、爆笑しながら懐かしんだり、担当者の苦労を労っていた。

近くを流れる大岡川の夜桜が綺麗だったことも、今宵の食事会を鮮やかに楽しく彩ってくれるものとなった。

参加者の1名は来月からジュネーブに滞在で今絶賛荷造り中とのこと。一時期、中国及び中国語にどっぷりつかった私たち。そこからの中国の変化は言わずもがなだけれど、同時に日本を取り巻く経済状況もガラリと変わった。

まだまだ働き盛りの自分たちが、これからどうやって日本で、はてまた世界で働いていくのか、お互い刺激を受けながら、それぞれの持ち場に帰った夜でした。

やっぱり中華は元気が出る。私のエネルギーの源。

4月15日 サカシタカオリ










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