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母との関係①

一卵性双生児(姉)として生まれたが、脳性麻痺で重度身障者の妹とは子どもの頃に死別。
育ちの過程で背負ったものをこじらせたままおばさんになった。
自分の本音を言えない、人に甘えられない、頑張っていないと不安になる、自分を労われない…。そんな自分との決別を目標に書いています。


***
育ち①〜⑤の章で記したように、私はとにかく頑張って子ども時代を生きた。母に愛されたい、母に認められたい、母にとっての一番手になりたい、その一心で。

一方で、どんなに頑張っても母の思うようにできないことがあること、頑張り続ける私は同じ年頃の子からしたら奇異な存在であること、自分が他人と人間関係を築くことが苦手であることをだんだんわかりはじめた。小学校高学年になったあたりだ。

キラキラした女子達がクラスの中心となり、話題はオシャレな服とアイドルとテレビ番組。
いまだファミリアの紺色の服を着て、早朝から新聞を読んでいるような私とは縁遠い世界。お呼びでない。

もともと、友達づくりは得意ではなかった。自分から声をかけて冷たくされるくらいなら、一人でいる方が傷つかない。集団に入ったところで後回しにしてもいいような、都合のよい扱いを受けるだけ。

でも、このままじゃダメなんだろうな、私も友達の輪に入りたいなという気持ちもあった。
母も、特定の親友がいない私を心配したのか、いやちがう、そんな私が負け組に見えたのであろう。友達作りを頑張れと叱咤激励をはじめたのだ。

母の望むようにしっかり真面目に生きているのに!
文句ひとつ言わずに与えられた服をきているのに!
遊んでいても、母の決めた門限を守るために途中で抜けてきているのに!

親友ができなくても仕方ないでしょ?
なんなら、全部母のせいじゃない?
それなのに責めないでよ!

心の中では怒りが沸き立っていた。
今まで頑張ってきたことが全て否定されたような気持ちになった。
悔しくてイライラした。
それでも、やっぱり母に嫌われたくない気持ちのほうが勝った私は、母の期限を伺いながらおそるおそる希望を伝えてみた。

**
みんなが見ているテレビドラマがおもしろそうだから(記憶によるとスケバン刑事シリーズ)週に1回でいいから見たいなあ。

→お父さんがドラマ嫌いだから無理。だいたいみんなって誰?名前を全員言いなさい。
…即撤退。

**白じゃない靴下も履いてみたいなぁ。黒のしましまとか、リボンついてるのとか。

→そんな派手なのが好きになったの?気色悪い!白がどんな服にも合うから白でいいの。
…うまくいったらファミリアの服じゃないのが着たいって言おうと思ってたのに。

**
本も読みたいけど、漫画雑誌もよみたいな。友達と付録の交換したいな。

→頭悪くなってもいいならお小遣いで買ったら。付録なんてゴミになるだけよ。
…即諦め。当時私のお小遣い月額300円、なかよしとか、ちゃおは380円くらいだったので。

すべてがこの調子だった。
この頃の私は反抗したり口答えすることができずにいた。

母には愛されたい!認められたい。
でも、私は母のことを好きじゃないかもしれない。
そんなことにも気づきはじめた。

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