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【ADVゲームレビュー】CHAOS;HEAD NOAH/デイグラシアの羅針盤/STEINS;GATE

先日、急にはじまったアドベンチャーゲームブーム。
一応はまだ継続中であり、プレイしたゲームが溜まってきたので、また感想を綴っていくことにする。

なお、あくまで自分の中で、ではあるのだが、最近はもっぱらPS3が熱い。
一部を除いて、ここ10年間にリリースされたゲームがすっぽり抜け落ちている僕。
既に評価が固まった過去の名作が、ひと世代前のハードだからか、かなりの安価で手に入れることが可能。
うっかりネタバレを踏まないように気を付ける必要はあるものの、次にやるゲームのネタが尽きないし、どれも相応の充実感があるのだから、ボーナスステージのようなものだ。
そんなわけで、今後、需要がまったくない10年近く前のゲームのレビューが続く可能性があるのだが、自己満足として書いているものなので、どうかご容赦いただきたい。


CHAOS;HEAD NOAH / PlayStation3 (2012)

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科学アドベンチャーシリーズの第一弾。
2008年にWindows版がリリースされてから、Xbox 360、PSP、PS Vita等にも移植されているので、PS3版は、どちらかといえば後発となるのかな。
「STEINS;GATE」と「CHAOS;CHILD」はやりたいな、と思っていたので、世界観の原点を知らないことには、ということで手始めにプレイしてみた作品。

ダークファンタジーの世界観に、陰キャの主人公とギャルゲー要素をぶちこんだような設定。
"キモヲタ"が主人公という設定に賛否両論があるようで、実際、リリース当時のオタク文化と、陰キャの思考回路にシンパシーがないとストレスが溜まるのだろうが、残念ながら、僕はその点はそこまで気にならなかった。
テーマは、”妄想"。
それをゲーム上のギミックとした"妄想トリガー"が実質的なルート分岐の選択肢となるのだけれど、チュートリアルが特になかったので、1周目は一切何もせずに、普通のサウンドノベルとしてプレイ。
Switch等、最近のゲームに慣れていると、説明書を先に読むという行為が疎かになってしまうのだよな。

総括として、シナリオも、キャラも弱め。
常に緊迫感があってスリリングではあるのだけれど、最初から最後まで誰かを疑っている状態が続くため、シナリオを進めたい気持ちが途切れない一方で、メリハリがなくなってしまい、エンディングに辿り着く頃には息切れ感あり。
そのエンディングも、ノーマルエンドさえ見ておけば、トゥルーエンドは十分想像できる範囲内に収まってしまっているので、2周目以降は結果として、こなすだけになってしまった。
息苦しさを解き放つほどのどんでん返しがあれば、また評価は変わったのだけれど。


デイグラシアの羅針盤 / Nintendo Switch (2018)

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インディーズレーベルからのリリースということもあって、キャストボイスはなく、CGは少な目。
その分、シナリオに特化した作品と言えるのだろう。
未知の生物の登場や超常現象、脱出不可の状況や通信手段の遮断。
こういった要素に、いかに説得力をもたらすかがこの手のシナリオの醍醐味なのだが、"深海遊覧船の沈没"という設定により、ほとんど解決してしまったのには膝を打った。

"生存者を決めるのは、あなたです"というのが宣伝文句に含まれるも、実際には、シナリオを読み進めるだけの一本道で、選択肢はほとんどなし。
エンディングは3種類だけなので、6人の主要登場人物それぞれとの個別ルートがあるのかな、と期待していると、少し肩透かしにあう。
ただし、シナリオそのものはクオリティが高い。
ルート分岐についても、ラストシーンがちょこっと変わるだけのなんちゃってマルチエンドではなく、同じ設定で別の長編物語が3本入っているというレベル。
ダウンロード版のみのリリースとはいえ、これで1,000円を切るのは安い。

1周目で伏線を張り、2周目で重大なヒントを提示し、3周目で伏線を綺麗に回収。
主人公の名前を入れるのがいかにもゲームらしいのだが、それぞれの周回で、入れる名前の意味合いが変わってくる。
あまり書くとネタバレになってしまうので控えるが、3周目のルートに入り、このギミックの真の意味を知るときには、かなりドキドキした。
会話のテンポが悪いのか、立ち絵のパターンが少ないから単調に見えてしまうのか、1周目の物語が動き始めるまでが退屈なのは難点だが、ゲームとしてのギミックやマルチエンドに拘らず、一本道のノベルゲームでもシナリオが良ければ、というユーザーにはコスパが良いかと。


STEINS;GATE / PlayStation3 (2012)

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ADVジャンルとしては異例の累計30万本を出荷した金字塔。
科学アドベンチャーシリーズの第二弾。
フルアニメ化した「STEINS;GATE ELITE」が2018年にPS4、PS Vita、Switchでもリリースされており、今もなお現役コンテンツと言えるのだろう。
Switch版と迷ったが、情報量を重視するなら、テキスト式が良いだろうとアドバイスを受け、PS3版をプレイした。

アニメの評価も高かったようだが、そちらの文化には疎い僕。
まったく情報がない状況でスタートしたのだが、それがかえって良かったのだろう。
今更語るのもナンセンスなぐらい評価が固まっているゲームだとは理解しながら、それでも感想を綴りたくなるシナリオの良さ。
第一弾から化けすぎだろ、というレベルで、終盤に向けてのカタルシスや、個々のキャラ立ちが見事だった。
主要ヒロイン2人のノーマルエンドでも十分に納得感のあるのだが、トゥルーエンドでは、そこからもうひと波乱のストーリーが展開され、誰もが納得できる世界線に着地。
余韻に包まれたまま、シナリオの復習として、Netflixでアニメ版も一気見してしまった。

主人公の厨二病設定のせいで、序盤は会話がなかなかテンポ良く進んでいかない印象があり、どうにも無駄が多い気がしてしまうのだけれど、そのすべてが後半、伏線として回収されていくので、そこはスキップせずに耐えるべき。
中盤のとある場面をきっかけに、物語が一気に加速していくと、そこからは常に衝撃と感動の連続。
ストーリー分岐の肝となるギミック"フォーントリガー"がガラケー仕様なので、今プレイする前提だと違和感があるかもしれないが、ゼロ年代後半の2ちゃんねる文化に親しみがあるユーザーであれば、ある意味、今やるからこそ趣深さは倍増するのでは。
これを10年近く放置していたことで、人生損していたのだな、と割と本気で思った。


そんなわけで、今は「STEINS;GATE」のコンテンツ性に浸っている。
個々のキャラが立っていることに加え、複数の世界線という概念が、スピンオフ作品の作りやすさを担っているし、物語の隙間を埋めるドラマCDの役割も重要だったりするから、歴史を積み重ねるごとにファンを増やしていることにも納得である。
次回、ゲームレビューのコーナーは、シュタゲのスピンオフ作品特集になりそうな予感。
まったく、何年遅れだよ、って話だけど。


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